ダイエットに関する運動や食事指導をしていると、様々な疑問や質問を投げかけられるというパーソナルトレーナーの林 健太さん。

「ネット上には多くの情報がありますが、それが万人に当てはまるということはありません。ましてや発信者はトレーニングの上級者や経験値が高い人が多いので、これから取り組む初心者は参考程度にしておくほうがいいことも多いです」

効率のいい方法や、憧れの体の持ち主の真似をしたくなるのが人間の性。

しかし情報だけが大きく先行してしまうと、いざ実践となったときに高い壁を感じて挫折してしまうこともしばしば。

そこで今回は、林さんが指導をしている中で聞かれることの多い質問と、その回答を教えてもらった。情報よりも行動を優先させることはもちろんだが、これらを知っておくと精神的にも気楽になるかもしれない。


①「どんなトレーニングが効果的?」

“スクワットは腹筋〇回分の効果”

こんな謳い文句を書いてスクワットを勧める記事も多いが、そもそも別のトレーニングなので効果を比較すること自体がナンセンス。

こういった情報からか、一番効果のある運動を聞かれることも多いという林さん。筋トレや有酸素運動など質が異なる運動もいろいろあるが、果たしてどれを選べばいいのか。

「もちろん目的によって方法を選ぶことは重要ですが、まずは自分が楽しい、やりたいと思う運動を始めることが一番です。結果は一回ではなく継続することでしか得られません。ストレスなく続けられるということが一番でしょう」

同様に効果的な運動の時間帯も聞かれるというが、それもその人のライフスタイルに合わせるべきだと林さん。効率のいい運動方法や時間帯を求めるよりも、自分にとってストレスが少ないことを判断基準にしていこう。


②「筋トレは一日おきがいいというのは本当?」
トレーニングのぎもんを解決
JulNichols//Getty Images

筋トレは超回復のために一日おきが有効。

こんな話も聞いたことがあるかもしれないが、これも上級者の考え方だと思っていいそう。

「慣れない運動は強度に関係なく筋肉痛になることも多いです。もちろんあまりにもひどい時は怪我の恐れもあるので休むべきですが、そうでなければ全く問題ありません。まずはそのトレーニングに体を慣れさせることを優先してみましょう」

日ごろから運動習慣がある人でも、今までやらなかった運動を少しするだけで筋肉痛になったという経験はあるはず。

それと同じで、運動習慣のない人が運動を始めると最初は必ず筋肉痛がセットになると考えていい。運動に慣れてくるとその痛みも軽減してくるので、最初は激しい筋肉痛が起こらない程度の強度で続けて、徐々に運動強度を上げるように心がけてみよう。


③「プロテインは一日何回飲むべき?」

プロテインブームで様々な種類が手に入るようになった反面、それらをいつどれだけ飲めばいいかが分からないという人も多い。

「トレーニングを始めたての人は、プロテインに頼るほどタンパク質をたくさん摂る必要はありません。まずは食事を見直し、仕事などでどうしても食事が摂れない時の緊急用として備えておく程度でいいでしょう」

プロテインは食事から補いきれないタンパク質を補うためのサプリメント。飲めば飲むだけ筋肉にいい影響を与えてくれる魔法の粉ではない。

最初からプロテインが必要ということは、正しい食事管理ができていないことの裏返しでもあるので、まずは信頼できるトレーナーに食事内容をチェックしてもらうことから始めよう。


④「食べすぎてしまったときはどうすればいい?」

enjoying takeaway meals at home
Oscar Wong//Getty Images

ダイエットを頑張っていると、どうしても食欲が爆発してしまう日もある。

罪悪感と後悔、せっかく積み上げてきたものが音を立てて崩れるような挫折感を経験した人も多いのではないだろうか。

「一日食べ過ぎたからといって急に体脂肪が増えることもなければ、罪悪感に打ちひしがれる必要もありません。それまでに積み上げてきたことのほうが何倍も重要なので、気にする必要はありません。気にしすぎることでのストレスや、それ以降のダイエット計画が崩れてしまうことのほうが悪影響なので、1日くらい食べすぎたことは忘れてしまいましょう」

食べ過ぎたものはもう元には戻らない。後悔するよりも気持ちを切り替え、また新たにスタートできるかがダイエットには重要。

さらには食べ過ぎたからといって、次の食事を抜いてしまったり、翌日の食事を極端に抑えてしまったりすることはやめてほしいと林さん。

あくまで今まで通りに軌道修正するという意識でいいそうなので、安心して。


⑤「食べていないのに昨日より体重が増えたのはなぜ?」

前項で述べたように一日で体脂肪が急に増えることはない。

つまり昨日より今日の体重が重くなることは、水分量や便の残量が大きな原因。また、計量時間によっても変化はあるのでまずは気にしないでと言う林さん。

「ダイエットをしていれば体重が気になるのは当然のことですが、単日ではなく1~2週間の推移がどのように変化しているかが重要です。

増減を繰り返しながらジグザグな右肩下がりのグラフが描けているかチェックしておいてください」

日々の体重はあくまで自身のコンディションチェック程度に考え、それをしっかり記録しておき長期的なグラフを手元で確認できるようにしておこう。

Headshot of 林健太
林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/