「食事8割、運動2割」

いつからかボディメイクやダイエットにおいては運動よりも食事が重要だと言われるようになってきた。

「間違いではありませんが、人それぞれの目的や目標によってその割合は変わってくるのは当然です。継続の先には5:5の割合でどちらの重要性も理解できていると理想的ですね」

パーソナルトレーナーの林健太さんもトレーニング以上に食事の内容で体脂肪率や見た目が変わってくることを自分自身で実感しているという。

それほど口から取り入れるもので体は変わってくるということだが、もちろん運動という外部からの刺激も疎かにできない。

「ある程度の運動経験や筋力のベースがある場合はいいのですが、食事と運動の比率を考えるのは最低限の日常の活動量や運動習慣があってこそ。座りっぱなしでほとんど運動習慣のない人が、食事が重要だと精一杯力を注いでも理想とする体はもちろん、決して健康にはなれないでしょう」

林さんは最低限の日常の活動量や運動習慣をベースに置いた上で、その後に優先するべき事項を目的別にこう挙げる。

①ダイエットは食事管理の積み重ね

ダイエット本来の意味は日常的な食事や食習慣を意味する。

我々の体は毎日食べているものから作り上げられているのだから、それを管理するのが言葉の意味としても最も正しいだろう。

「健康的な食生活や食事管理は難しい、面倒だと思っている人も多いですが、難しく考えすぎる必要はありません。昔から良いとされている一汁三菜や野菜たっぷりの献立を心がける。揚げ物や脂っこいお肉は極力控えるようにする程度でも十分なダイエットです」

そうした結果、できあがるのが本来の体であり体重。つまり、今よりも健康を心がけた食事を摂る、そしてそれを積み重ねることがダイエットの神髄であることを肝に銘じておこう。

②食事制限でしっかりと減量

ダイエットと減量が今ではほぼ同じ意味で用いられていますが、ここでの減量は肥満からの脱却だ。

様々な判断材料があるが、厚生労働省が定義するBMI=[体重(kg)÷身長(m)²]を基準とすると35以上が高度肥満とされている。

それに加え、体脂肪率が男性で25%以上、女性で35%であれば決して健康とは言えない。

「上記の場合は無理に運動をすると関節への負担も大きくなってしまいます。日頃からの活動量を落とさないように、まずは食事を制限して、ある程度の減量をすることから始めてみるほうがいいでしょう」

おそらく普段から大幅に摂取カロリーがオーバーしていることが考えられるので、ここでの食事はカロリー制限を重要視したい。

もちろん栄養バランスも大切だが、食べないのではなく、必要以上に食べ過ぎないこと。最初は空腹感も強いが、通常の食事の量を体に覚えさせる訓練だと思って続けて。

③部分痩せは姿勢改善で解決

女性が気になる部分痩せ。

一部分だけの脂肪を落としていくことはほぼ不可能に近いが、筋肉を鍛えることは可能。もちろん気になる部位のトレーニングを徹底することで筋肉と脂肪の割合に変化が出て、引き締まったように感じることは多い。

「もう一つ効率的かつ大きな原因解決の方法としては姿勢の改善があります。猫背による巻き肩は二の腕を太く見せますし、骨盤後傾は下腹をポッコリ見せてしまいます。食事管理や運動を行っていて全体的には体が変わってきたのに一部分だけ気になってしまうという方は姿勢改善が解決の糸口かもしれません」

特に肩甲骨と骨盤(股関節)のポジションは非常に重要。

両者の動きは連動していると言っても過言ではなく、骨盤が正しく立っている姿勢であれば肩甲骨も正しいポジションにセットされる。

偏った姿勢を続けることを極力避け、片方ではなく双方の可動域を高めるようにストレッチやトレーニングを取り入れてみよう。

④筋力アップはもちろん筋トレ最優先

これは言わずとも当たり前のことかもしれないが、いくら食事だけを整えても筋肉は大きくならない。十分な栄養と筋トレが交わったときに筋肉は最も成長する。

筋肉を大きくするためには強度の高いトレーニングが必要だが、それは必ずしもジムが必要という意味ではないと林さんは言う。

「体操選手やボルダリング選手の体はダンベルやバーベルで作り上げられた体ではなく、自分の体重をコントロールすることによって発達した筋肉です。もちろん競技特性や個人の目的、目標にもよりますが、自重トレーニングも疎かにはできません」

トレーニング3つの原理に過負荷の原理、特異性の原理、可逆性の原理がある。

「これを簡単に説明すると、いつもと同じではなく一定以上の負荷を与えながら目的、目標に応じた運動を継続しましょうということです。

自重トレーニングもこの原理を頭の片隅に入れながら行えば、十分に筋力アップが可能です」

筋肉を付けたいのにランニングをしていては目的と手段が合っていないし、心肺機能を向上させたいのに毎日同じコースを同じ速度で走るだけでは健康維持が限界。

人生の大切な時間を無駄にしないためにも、目的に合った方法で効率よくトレーニングやボディメイク、ダイエットをしていきたい。

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林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/