皆さんはダイエットを始める時どのようにスタートしただろうか?

運動を始めてみる、食事を減らしてみる……手を替え品を替え様々な方法にチャレンジしたに違いない。

「もちろん個人差もありますが、ハードな運動ばかりをしなくてもむやみに食事を減らさなくても、体重はある程度減っていきます。現代は適度な運動と健康的な食事のバランスが崩れすぎているだけなので、それを元に戻すだけでも期待するくらいの減量は可能でしょう」

パーソナルトレーナーの林 健太さんは、ダイエット前に今の状態を知っておくことも非常に重要だという。

そこで今回は、これからダイエットを始める人には是非スタート前に実践してほしい、5ステップを教えてもらった。

「ダイエットは明日から」となかなか始められなかった人はラッキー。すべてを厳密に分析する必要はないけれど、自分の現状をしっかりと把握することで、効率的にダイエットを進めていく参考にしてみて。

①体重や体脂肪率を計る
woman standing on the weight scale
Francesco Carta fotografo//Getty Images

まずは第一のステップはみんなが目標にする体重や体脂肪率。

これを測っておかなければなかなか数字の目標が立てにくい。ダイエット=減量と考えての取り組みであれば、この2つの現状をしっかり把握しておこう。

ただしこれはあくまで今の自分を可視化した数字。すべてが正確かと言われればそうではないと林さんは言う。

「体重は重力を可視化したものなので、北海道と沖縄でも違いますし、食事やトイレに行く前後でももちろん変わります。体脂肪に関しては家庭で正確に測ることは難しいでしょう」

体重計には常に同じ時間や状況で乗ることを心掛けておき、今後そのタイミングを逃した場合は乗らなくてもいい。数字ばかりを追ってしまう人は特にそのことを心がけておいた方がストレスにもならないだろう。

そしてもう一つの体脂肪率はあくまで目安と考え、一番は鏡に映る自分の姿をしっかりと記録、記憶しておこう。

もう戻れないダイエットの第一歩をしっかりと記録しておくことは、最後に大きな自信につながる。

②基礎代謝を計算する

自分の今の外面を数値化できたら次は内面、すなわち基礎代謝や消費カロリーを計算してみよう。

インターネットで検索すると様々な計算方法が出てくるけれど、一体どれを使えばいいのだろうか。

「基礎代謝は様々な条件や要素を考慮した数式があります。体重はもちろん身長や年齢も重要ですが、脂肪がたくさんあっても基礎代謝は上がらないことから、体脂肪率を考慮した数式がおすすめです」

その中で最も簡単に計算できる式が「370+21.6×除脂肪体重」。

体重80kg、体脂肪率10%の場合は1925kcal。これが一日中ゴロゴロしていても消費されるエネルギー量だ。すなわち生きていく上で最低限必要なエネルギーと言い換えてもいいかもしれない。

食べていないのに体重が減らないという人は、この基礎代謝を下回る食事を長期間続けている可能性が高いと林さんは指摘する。

生きていくための最低限のエネルギーが入ってこないのであれば、体は基礎代謝を下げるほか生き延びる方法はない。これによりどんどん代謝が下がり、痩せにくい体を作っていくので要注意。

③一日の消費カロリーを計算する
directly above shot of colored pencil with note pad and calculator over blue background
Sanga Park / EyeEm//Getty Images

基礎代謝が算出できれば、活動量なども加味しておおよその消費エネルギーを計算してみよう。

ほとんど家から出ないテレワーク中心の人でも×1.2。

通勤や通学、最低限の日常活動がある人は×1.5。

肉体労働や定期的な運動を行っている人は×1.7。

アスリートや筋肉量が多く、運動量も多い人は×1.9。

こちらも基礎代謝同様に目安の数字になるので、それぞれの数値の間を取っても構わない。前項で例に挙げた人がテレワーク中心でほとんど家から出ないと仮定すると1925×1.2=2310kcalとなる。

これを大幅に上回れば太る原因になり、大幅に下回れば痩せにくい原因になる。

「仮に収入が10%程度減っても支出を大きく減らすよりも貯金に回す額が少なくなる人が多いのではないでしょうか。エネルギー収支も家計と似ていて、10%程度であれば基礎代謝を下げずに貯金、すなわち体脂肪に回すエネルギーが少なるということです」

毎日231kcal程度を減らしていく方法であれば、代謝も落とさずにダイエットができると考えると、体脂肪1kg(7200kcal)を減らすには約一か月が目安だということがわかる。

ダイエットを始める人の多くが、いつまでに何キロ痩せたいという目標を立てがちだが、長期的に健康で美しいボディラインを手に入れていくのであれば、逆算して目標を立てることも大切だ。

④今の食事内容と運動習慣を見直す

ここまでくればあとは現状の把握と実践あるのみ。まずは今日から一週間程度の食事内容とカロリーやPFCバランスを記録してみよう。今はカロリー計算をしてくれる便利なアプリや、加工品には栄養成分表示が義務化されたので思っているほど面倒な作業ではないだろう。

「便利な反面、食事は写真からの判断だけだと精度が低いものもあります。また、加工品の栄養成分表示も誤差が認められているので正確ではありません。ただし、まずは実践してみることが何よりも大切。自分が食べていたものが意外に高カロリーなこと、炭水化物や脂質の比率が多くなっていることなどに気づくでしょう」

日常の歩行活動に関してはスマートフォンなどで歩数も簡単に知ることができる。

厚生労働省が推奨する歩数は一日1万歩。10分の歩行が約1000歩に相当するので、最低限その不足を補う計算は簡単。

まずはその気付きを元に実践に変えることが、ダイエットの本当のスタートラインだ。


⑤今までよりも健康的な生活を実践する
open appointment book
Mark Weiss//Getty Images

実際に摂取しているカロリーや日常の活動量、食事内容が把握できれば、あとはそれをほんの少し健康的と思われる方向に近づけていくことだ。

まずは自分に必要なカロリーをできる限り過不足なく摂ること、最低限の運動量を確保することを目標にしてみよう。

「食事に関してはそのカロリーをどの栄養素から摂っているかが重要です。いわゆるPFCバランスですが、最初はあまり深く考えず、揚げ物を控えたり甘いものを控えたりすることから初めてみましょう。そして普段の食事では一汁三菜を心掛けるだけで大きく変わるでしょう」

ダイエットの言葉の意味は健康的な食生活。すなわち健康的な食生活を送るだけで体重はおのずと理想の数字に近づいていく。

体形を気にしだす多くの人は知らず知らずのうちに活動量が減り、食事のカロリー源比率が糖や脂質に大きく傾きオーバーしているだけなのだ。

高たんぱく質・中炭水化物・低脂質と言われる和食を心掛け、菓子パンやジャンクフードを避ける。そして普段から座りっぱなしになることに注意し、少しジョギングやウォーキングなど運動に精を出してみるだけでも十分なダイエットだ。

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林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/