バランスいい食事が摂れる、「マクロダイエット」ってどうやるの? その効果とは。
専門家に話を聞いた。
「IIFYM」は、マクロの摂取量を守ることが前提のダイエット法。でも、この「マクロダイエット」、響きからして難しそう。そこで今回はオーストラリア版ウィメンズヘルスより、このダイエットの詳細と実際の効果のほどを専門家に聞いてみた。
マクロとは?
「マクロ」は「マクロ(主要)栄養素」を短くした言葉で、正常な身体機能に必要な糖質、脂質、タンパク質という3種類の主要栄養素のことを指す。
この3種類のマクロ栄養素を全て含む食品はあるけれど、ほとんどの食品には1~2種類しか含まれない。例えば、肉はタンパク質、パンは糖質、オリーブオイルは脂質が主な構成要素。
「IIFYM」とは?
IIFYMは“If It Fits Your Macro”の略で、1日のマクロ摂取量を守ることが前提のダイエット法。
各マクロの理想的な摂取量は?
「一般的に理想的とされるマクロ栄養素の摂取量は、いくつかのガイドラインによって示されています」と話すのは、公認管理栄養士のローレン・マクガキン。
「このようなガイドラインは、現在のダイエットトレンドや欧米食の中身から推定される慢性疾患の発症リスクだけでなく、マクロ栄養素と共に摂取できるマイクロ(微量)栄養素の割合も考慮に入れて作られています」
マクガキンが参照するガイドラインによると、1日のエネルギー(カロリー)摂取量のうち、糖質は45~65%、タンパク質は15~25%、脂質は20~35%であることが望ましい。
マクロの計算方法は?
自分に必要なカロリー量とマクロ栄養素の割合を計算したら、今度は各マクロ栄養素の摂取量を計算する。
体脂肪を減らしたい人には、一般的に40:40:20の比率が推奨される。1日2,000kcalのカロリー摂取を目指す場合のマクロ栄養素の量は以下の通り。
糖質:1日2,000kcal×4.0(糖質から摂取するカロリーの割合)=800kcal÷4(糖質1gあたりのカロリー量)=糖質200g
タンパク質:1日2,000kcal×4.0(タンパク質から摂取するカロリーの割合)=800kcal÷4(タンパク質1gあたりのカロリー量)=タンパク質200g
脂質:1日2,000kcal×2.0(脂質から摂取するカロリーの割合)=400kcal÷9(脂質1gあたりのカロリー量)=脂質44g
IIFYMの支持者は大抵、食べ物の重量を測るためのキッチンスケールを買い、分量を正確にコントロールする。あとは、食事のたびに主要栄養素の含有量を計算し、『MyFitnessPal』などのアプリでマクロの摂取状況を随時チェックすればいい。
「食べている物(と自分のミス)を正確に把握しなければなりません」と話すのは、公認管理栄養士でトレーナーのソフィー・ガイドリン。
「女性にはタンパク質が不足しがちです。また、会社のデスクに隠してあるミューズリーバーや仕事帰りのワインによって、いつの間にか糖質を摂りすぎる傾向にあります。『MyFitnessPal』のようなトラッカーを使い、その日の献立(夜のデザートを含め)を事前に決めて、食事内容を正確に把握しましょう。そうすれば、午後3時にクッキーが食べたくなっても、それがマクロにフィットするか分かります」
マクロの供給源も大事なの?
カロリーを戦略的に摂取したい人にとっては、ある程度融通の利くIIFYMが向いている。
「糖質は毎日摂りますし、チョコレートやハンバーガーも頻繁に食べていますが、何時間もトレーニングはしませんよ。糖質、脂質、タンパク質を適切に組み合わせ、ワークアウトの燃料にしています。スマートな(最小限の時間で最大限の結果を出す)トレーニングをするだけで、特別な物を食べたり、特定の食品群を排除したりはしていません」とソフィー。
チョコレートが自分のマクロにフィットするなら食べればいい。でも、節度は保たなきゃダメ。
内科医のアレクサンドラ・ソワも「1食目にチョコレートケーキ、2食目にタンパク質と野菜のサラダを食べても、バランスのいい食生活とは言えません」と注意を促す。
目標とするマクロの範囲内で食事とスナックを摂取すれば、活力レベルが安定し、空腹に悩まされることもない。糖質と脂質のコンボにしても、ドーナツと、オリーブオイルでローストしたサツマイモなら、後者のほうが断然ベター。
「カロリーは単なるカロリーじゃありません。それぞれのマクロは、体内でまったく違う使われ方をしますから」とローレン。
マクロ計算は絶対するべき?
「マクロ計算に費やすだけの時間があって、それが自分に合っているなら、すればいいと思います。私にとっては、現実的でも、長く続けられるものでも、簡単に日常の一部にできるものでもありません」とローレン。
食事内容を意識するのと同じだけ、導入しやすい方法を選ぶのも大事。
ローレンは“プレートモデル”という方法を使っている。
「お皿の真ん中に線を引いて、その半分を野菜で埋めます。残りの半分を2等分して、片方にタンパク源、もう片方に全粒穀物を少なめに盛り付けます。比率や重量を計算するよりは、少なからず現実的な方法です」
ローレンによると、マクロ計算に固執しすぎて、食生活が不健康になることもあるので要注意。
※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text: Lauren Williamson Translation: Ai Igamoto
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