「私は万年ダイエッターです」

自身の事をそう語るのはパーソナルトレーナーの林健太さん。

「よくダイエットをしている人の中には自分を卑下してそのように言う人もいますが、これは胸を張っていいことだと思います。健康的な食生活という意味のダイエットが継続できるのは素晴らしいことです。ただし、減量という意味でのダイエットには必ずゴールを設定するべきです」

近年ではダイエット=減量と捉えられがちだが、本来の意味は健康的な食生活。ダイエットと呼ばれるのであれば、体重に固執したダイエットは減量ダイエットと分けて呼ばれるべきだろう。

そんな体重減少だけに目を向けたダイエットを一生続けている人がいるとすれば、それは大きな問題。

無理のない範囲である程度の期間を設けて実施し、成功した後は健康的な食生活に切り替え継続していくというのが本当のダイエット。

では減量から健康的な食習慣に切り替えるタイミングはいつがいいのだろうか。

ここからは減量を目的としたダイエットについて、やめ時や食事の切り替え時について、林さんに聞いてみた。

①目標体重が2ヵ月程度キープできたとき

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まずは一番の目的でもある体重減少。スタート時に決めた目標値に達して、それが一定期間キープできたときに食習慣を少し緩くしてみよう。

ここではキープが一つのポイントになると林さんは言う。

「体重はホメオスタシスの影響も受けるので、一度痩せたからといって簡単に維持できるというわけではありません。目標の体重がベストだと体に教え込む期間も考慮しておきましょう」

目標体重に達した途端にチートデーやご褒美で食べ過ぎてしまう人も多いが、それは非常にもったいない。食事管理を一時的に緩くする程度にとどめ、元の体重に戻らない体質を作るためには一定期間の維持が非常に重要だ。

また、それとは逆に目標体重を下方修正して無理な減量を続けてしまう人も少なくない。スタート時に決めた目標をクリアしたからといってさらに欲を出すと、今度は失敗への道も開けてしまうので要注意。

②見た目に対する新たな理想が出てきたとき
ダイエットのやめどき
Yulia Naumenko//Getty Images

ダイエット前はお腹周りが気になっていたのに、今度はそれ以上に後ろ姿や姿勢が気になるように。

新たな理想が出てくるということは、自分自身がステップアップしている証拠。

体重が減って体への負担も少なくなってきたのであれば、そこからはトレーニングにも精を出して、苦手部位や気になる部位を徹底的にトレーニングしてみよう。

全体の脂肪をそぎ落とす方法は既に身に付けているのだから、過度に体重を落としてしまうよりも一度トレーニングで筋肉を付け、その後の減量も健康的に行える体質を作ってから再開しても遅くはない。

見た目に対する新たな理想を叶えるためには、一時的にダイエットを止めることも必要だ。

③運動が習慣化できたとき

運動の習慣化ができた人は、しっかりとエネルギーを消費する体を作り上げる準備ができた証拠。毎日ではなくとも有酸素運動や筋トレ、ストレッチなど様々な種類の運動に取り組めているかどうかも視野に入れておこう。

ただし、ここでの運動とは日常活動以上の運動と定義してほしい。

テレワーク等で日常活動が驚くほど少なくなったにも関わらず、毎日の30分のウォーキングを運動と定義はできない。8000歩程度のウォーキングは最低限の日常活動と考えておこう。

週2回のトレーニングができたからと言って、週5日テレワークで座りっぱなしでは体重が増えてしまう可能性もある。

一日一日で考えるよりも、一週間を通しての活動量なども見直しながら運動習慣をキープしていこう。

④食べ過ぎが気にならなくなったとき
ダイエットのやめどき
Kseniya Ovchinnikova//Getty Images

食べ過ぎた翌日は食事を節制したり、いつも以上にトレーニングを頑張ってみたり。

体重を気にしていた時はそういった回避策を試行錯誤していただろうが、いつからかそこまで気にならなくなった、一日くらいの食べ過ぎは解決できると思うような心の余裕はでてきていないだろうか。

「そう思えるということは痩せ方が分かり、自分自身で体重コントロールができるようになったことの裏返しです。体重を減らすことに必死になっていた時ほど、食べ過ぎはダメ、翌日は膨大な運動が必要などの気持ちが先走っていたと思いますが、体重コントロールが身についてくれば、一日くらいの食べ過ぎは大した罪悪感もなければ、翌日のトレーニングに対しても前向きに楽しめるようになってきます」

ダイエットは一朝一夕に成し遂げられるものではなく、長期的な目線で捉えることが重要だということを理解し、実践できた人にしか出てこない心身の余裕かもしれない。

⑤誰かにアドバイスを求められたとき

「最近痩せたね、ダイエット方法を教えて」

そんな言葉を近しい人からもらうようになれば、自信をもって伝えるべきだと林さんは言う。

「結果を出した人にしかアドバイスは求められませんから、自分自身の頑張りが認められた証拠だと思い、やってきたことを話してみてください。アウトプットすることで振り返りにもなり、自身への戒めにもなり、さらにダイエットやトレーニングへの意欲も増すことでしょう。もし誰かがあなたのアドバイスで変わることができたなら、それはもっと自信につながります」

人に伝えることができるのも、ダイエット方法が身についている証拠。

過去の自分がそうであったように、思っている以上にダイエットに嫌悪感を抱く人が多いと知った時、自分自身が一歩先に進んでいることも実感できるだろう。

ダイエットのやめ時はスタート時の自分に的確なアドバイスができるか、ダイエットがきちんと説明できるかが一番大きな目安だ。

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林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/