重曹は本当にシャンプーとして使えるの？

日頃から髪と頭皮を間近で見ている専門家に言わせると、研磨作用の強い重曹を使えば確かに髪の油分や汚れは落ちるかもしれないけれど、頭皮が炎症を起こしたり、髪がひどく傷んだりする可能性も捨て切れない。

ニューヨークのヘアサロン『Penny James Salon』の毛髪学者、ペニー・ジェイムズは「毎日のようにシャンプーの頻度やシャンプーが髪に与える影響を聞かれます。リンゴ酢で髪をリンスするのはいいですが、重曹で頭皮と髪を洗うのはよくありません」と答えてくれた。

イェール大学医学部の臨床准教授で皮膚科医のモナ・ゴハラ医学博士も、重曹シャンプーに懐疑的。「私は好きじゃありません。DIYに反対はしませんし、私自身、少量のミネラルオイルを頭皮に使うのは好きですが、重曹は本当に頭皮を傷める可能性がありますから」

高校の化学の授業で、リトマス紙を液体に浸し、その液体が酸性か塩基性（アルカリ性）かを調べなかった？　実を言うと、重曹には重炭酸ナトリウムという別名がある。重炭酸ナトリウムのpH値は9なので、超塩基性。

「pH値が高ければ高いほど、その商品は髪を傷つけます」とジェイムズ。「希薄した重曹で髪を洗うとキューティクルが開き、毛幹が乾燥してしまうので、髪がまとまりにくくなりますし、枝毛になるかもしれません」

ゴハラ博士いわく重曹は、毛幹ばかりか頭皮を傷つけることもある。
「頭皮の自然なpH値は5.5で、少しだけ酸性ですから、それと同じpH値の商品を使うべきでしょう。重曹で髪を洗うと、頭皮の発赤、炎症、かゆみが生じてもおかしくありません」

重曹シャンプーを勧めるブログは、商品のpH値が高くても、酸性（pH値3）のリンゴ酢をリンスに使えば中和されるので大丈夫と主張する。ジェイムズによると、これはあながちうそじゃない。
「酸性の溶液を使うとキューティクルが閉じるので、髪にツヤが出て毛幹の水分も保たれます」。でも、ジェイムズは自分のクライアントに対して、刺激の強い重曹は使わず、リンゴ酢のリンスだけを使うようアドバイスしているそう。

ジェイムズによると、重曹はベーキング用や掃除用に取っておき、2日に1回、低刺激のシャンプーを頭皮にもみ込み、泡を毛幹に行き渡せるといい。
「空気中の汚染物質、頭皮に蓄積したスタイリング剤、頭皮の過剰な油分および乾燥は、髪にダメージを与えます。だからこそ、pH値が5.5のシャンプーで髪を健康な状態にキープしましょう」
いまのところシャンプーのパッケージにpH値を記載する必要はないけれど、pH値が頭皮と同じ5.5であることを売りにするメーカーもある。
ノープーを始めるために重曹をストックしてしまった人は、自家製パンを焼いてみて。

※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。

Text: Marisa Cohen　Translation: Ai Igamoto

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