ここ数年、欧米で爆発的に注目を集めたヘアケア法と言えば“米のとぎ汁”で髪を洗うというもの。TikTokで #ricewaterというハッシュタグを検索すれば5億回近く再生されていて、多くの人がポジティブな意見を寄せている。中にはキム・カーダシアン、カーディ・B、ラ・ラ・アンソニーといったセレブリティも「米のとぎ汁によって髪の健康状態が改善された」と称して参加している。とは言え「実際どうなの?」というのは誰しもが気になるところ。今回は、実は日本人とも関係が深い米の研ぎ汁とヘアケアの関係から、気になる科学的根拠、そして挑戦してみたい人におすすめのやり方までご紹介。

キム・カーダシアンもやっている米のとぎ汁ヘアケア

米のとぎ汁でヘアケアするセレブ
Alberto Rodriguez/E! Entertainment//Getty Images

何かと話題が絶えないキム・カーダシアンは、ゴシップクイーンなんて呼ばれているけれど、さまざまなビジネスを手掛ける敏腕実業家であることはご存知の方も多いはず。現在コスメブランド「KKWビューティ」を設立し、美容業界でも存在感を発揮している彼女の美容法に注目している人は少なくない。

そんなキムのトレードマークが、艶のある美しい黒髪。「さぞ、その黒髪にはお金をかけてケアしているのだろう」と思いきや、かなりの低コストだから驚き。

キムの姉でカーダシアン家の長女であるコートニー・カーダシアンが運営するライフスタイルサイトPooshで、キムが美髪のために使っているのは「米のとぎ汁」だと言うのだ。

実は日本人に深い関係がある?!米のとぎ汁とヘアケア

米のとぎ汁は、米を浸水させた後に残るでんぷん質の水。髪をサラサラにし、ツヤを出し、髪の成長を早める効果があると、ここ数年Tik Tokを中心に話題を呼んでいる。

私たち日本人の食卓に欠かせない主食・米。実は日本でも古くから食べるだけではない使われ方をしてきた。遡ること平安時代。日本の平安時代の女性は床まである美しい長い黒髪が印象的だけれど、ある研究によると、そんな髪の毛を米のとぎ汁に浸して健康にしていたんだとか。

この話を現代に置き換えたものが、中国にも存在する。中国の黄洛瑤集落に住むヤオ族の女性は、平均して1.4メートルの長さの髪を持っていることで有名。さらにヤオ族の女性は80代になっても白髪なしの艶髪だと言う。そして、ヤオ族の女性の髪の美しさを保つ秘密は、何を隠そう米のとぎ汁で髪を洗うこと。

そんな伝統がここ数年で欧米の美容関係者や商品開発会社の目に止まり、米のとぎ汁の流行が始まったようだ。

科学的にはどうなの?

これはtiktokの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

米のとぎ汁でのヘアケアに人気が集まるにつれて、その効果についてのさまざまな逸話もTik Tokを中心に増えている。けれど、その主張が科学的に証明されているのか否かということは気になる人もいるのでは?

2010年の論文によると、米のとぎ汁が髪の表面の摩擦を減らし弾力性を高める可能性があることを指摘している。けれど、この研究は歴史的な例に頼って裏づけのない結論を導き出しているので、信憑性は乏しいと言えるかも。

と言うことで、今のところ米のとぎ汁の髪への効果は科学的には証明されてはいない。米のとぎ汁の髪への効果に関する逸話を裏付けるためには、さらなる研究が必要と言える。

けれど、知っておいて損はないのは米のとぎ汁が含んでいる成分。米のとぎ汁には、タンパク質、ビタミンCやビタミンEなどの必須ビタミン、ミネラル、アミノ酸、抗酸化物質が含まれている。これらの成分が髪の内部まで浸透し、髪を強化・修復するのに役立つと言う見解を述べている専門家も多くいることから、今後研究が進んでいく可能性も大。その知られざる効果が分かってくるかも。

科学的には証明されていないけれど、口コミでここまで広がった米のとぎ汁でのヘアケアだから、気になる人は試してみても良いかも? ただし一部のTikTokユーザーは、米のとぎ汁で髪を頻繁にすすぐと、髪の毛の水分が失われたり乾燥したもろい髪になったと言っている人もいるので注意して。

米の研ぎ汁でヘアケアをしてみよう

米のとぎ汁でヘアケア
Mayara Klingner / EyeEm//Getty Images

米のとぎ汁はお米を浸水させる時間をたっぷりとるのが理想的。

ちなみに、米のとぎ汁を支持する人の中には、発酵させたお米のとぎ汁は普通の米のとぎ汁よりも効果があると主張する人が多くいるようだ。2012年の研究によると、発酵した物質にはより多くの抗酸化物質が含まれていることが分かっている。米のとぎ汁を発酵させるには1日寝かせるだけ。

前述した通り、お米のとぎ汁はあまり頻繁に髪に使用しないようにしたいもの。月に1〜2回のケアとして始めてみて、もしあなたの髪が乾燥して脆く感じはじめたら、注意サインかも。

【ヘアケア用・発酵させた米のとぎ汁の作り方】

  1. 米1合を洗い、水気を切る。

  2. 洗って水気を切ったお米をジャーなどの密閉容器に入れ、1カップの水を加える。冷蔵庫に入れず、24時間放置。

  3. お米の水気を切り、スプレーボトルなどに発酵米とぎ汁を入れる。

  4. 乾いた頭皮と髪に、3のとぎ汁を塗布する。

  5. 20〜30分放置した後、通常通り洗髪する。

※とぎ汁は、作ってすぐに使用することをおすすめします。

※保存は冷蔵庫で。2日以内に使い切ることをおすすめします。

※お肌に合わない場合は使用をすぐにやめて、必要であれば専門医に相談して下さい。

※全ての人に効果が見られるとは限りません。

気にはなるけれどヘアケアのために米のとぎ汁を自分で作るのは「ちょっと......」という方には、米のとぎ汁を使ったヘア用品がいろいろと販売されているので、そちらもチェックしてみて。

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桑子 麻衣子
ライター

1986年横浜生まれ。2013年よりシンガポール在住。幼少期よりクラシックバレエの練習に励みバレリーナになることを目指していたが、思春期に恋愛に走ってしまう。ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーの経験を活かし、現在は国内外のウェルネスやフィットネスなど健康周りの情報を中心に発信するライターとして活動。根っからの健康オタク。
Instagram: @mic_kwk