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マネされた時のモヤモヤ、どうしたらいい?【臨床心理士・南舞さんのあるある!ココロの相談室】第8回

答えが出ない時こそ役立つ、【曖昧さ耐性】とは。

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相談室

体と同じく、ココロも健やかな状態でいたいものだけど、メンタルケアは何かと根性論や「気の持ちよう」で語られがち。悩みは、実は心理学的なテクニックで対処できるものも多いという。そこで、臨床心理士の南 舞さんが、読者のお悩みに具体的な対処法をレクチャー。今回のお悩みは、「信頼していた人にアイデアをマネされて、もやもやする……」という30代女性の場合について。

相談していたのに、なぜ……?

マネされた パクられた
Jamie Grill

相談者Hさん「信頼していた人に意見をパクられた!」

相談したいのは、仕事仲間Aさんとの関わり方についてです。職場が一緒ではないけれど、同業者という関係です。私はAさんのことを尊敬していて、信頼していることもあり、仕事での人間関係とか、仕事のアイデアのことなど、わりとざっくばらんに相談していました。

また、私が悩んでいる時は親身に話を聞いてくれ、アドバイスしてくれることもありました。その日も、いつもの感じでとあるアイデアについて相談していたのですが、その数日後……なんと、私が話していたアイデアをAさんが自分の意見として周囲の方に披露していたことを知りました

以前、他の人に私のアイデアを丸ごとマネされたことがあり、それをAさんに相談していました。だからこそ今回の出来事に対してショックが大きいのと、『どういうつもりなの!?』とAさんに対して怒りが沸いてきています。

しかし、『マネしないでください!』というのは違う気がするし、何ならこのことに対して怒りを感じている自分も小さいのかな?と思い落ち込みます。こういったもやもやの気持ちをどう対処したら良いのでしょうか?

臨床心理士・南さん「”曖昧”にしてみましょう」

Hさん、お悩みありがとうございます。これは、もやもやする出来事ですね……。しかも、以前マネされたことを相談していたのなら、なおさらのこと。信頼している人から裏切られた。きっとそんな心境なのではないかなと思います。

このAさんの心の中が知れたら、どうしてそういうことになったのか理解することができるかも知れないけれど、残念ながらそれは難しいこと。Aさんに対して言いたいことを言って、今後関わらなくて良いということであれば、伝えてスッキリするということもできるかも知れないですが、Hさんからのメッセージの文面を見たところ、今後もお付き合いが続いていく可能性は高く、それはなかなか難しそうですね。そのあたりを考えた上で、対処法のヒントになりそうなことを考えていきます。

答えを曖昧にしておくことは、自分を守ってくれる時も

マネされた パクられた
GretaMarie

今後もAさんとの付き合いが続くようなので、今回の場合は答えを出そうとせずに、あえて曖昧にしておくことによって、Hさん自身を新たな傷つき(Aさんとの関係が壊れる、Hさんに対するマイナスな評判がたつなど)から守るということにフォーカスした方が良いのではないか?と思いました。

心理学で『曖昧さ耐性』という言葉がありますが、様々な物事を目の前にした時に白黒つけない、いわゆるグレーの状態を維持することです。

曖昧なこと=中途半端などネガティブなイメージを持たれがちですが、ストレスを軽減し心の健康を保ってくれる、人間関係のトラブルから回避できるなど、実はプラスに働いてくれることも多いのです。次の項目で、曖昧さ耐性を築くためにできることをいくつかお話ししますね。

『曖昧さ耐性』を作るための方法とは?

directional sign with yes no maybe words
porcorex

【1】まずは自分の中にある感情を受け止めよう

一生懸命作り上げたものをマネされたことや、相談していたのに裏切られる形になってしまったことに対する『怒り』や『悲しみ』、あるいは、マネされることに対して寛容になれない自分への『恥ずかしさ』など、様々な感情がHさんの中にあるのではないかと想像しているのですが、いかがでしょうか?

もしこうした感情があるのだとしたら、まずはこの感情を受け入れてあげることから始めてみましょう。自分の中にある気持ちを否定しようとすればするほど、よりその感情が強く湧き上がってしまいます。『イライラしてるなぁ』とか『悲しかったんだなぁ』と、自分の気持ちを抑えようとせずに、そっと受け止めるようにしてあげて。今、自分自身にできることに意識を向けてみて上で紹介した『曖昧さ耐性』を高めるために役立つのが、いま自分が具体的に取り組めることに焦点を当てて過ごしていくことです。

【1】で紹介したように、もやもやとした自分の気持ちを認めてあげたら、その気持ちを時には一旦片隅に寄せておきながら、今自分ができることに取り組んでいきましょう。ポイントは、排除せずに共存しながら過ごそうとするというところ。出来事が起きて直後の感情が強いうちはなかなか大変かもしれませんが、今できることに意識を向けて取り組んでいると、少しずつ感情と距離が取れるようになってきて辛さが少しずつ軽減してくると思います。

【2】いざという時に役立つ、呼吸法

分かってはいても、思考や感情を調整するのは難しいと感じる時もあるかもしれません。そんな時は、体からアプローチする方が有効だったりします。様々な方法がありますが、その中でもオススメなのが呼吸法を行うこと。怒りや緊張などを感じている時、呼吸は浅くなり、それに伴って心拍や血圧の増加、筋肉の緊張状態を促します。そして、それらがさらに怒りや緊張を高めるといった悪循環を引き起こします。呼吸法を行うことで、その悪循環を断ち切り、【1】【2】をしやすい状態を作る手助けになってくれます。たかが呼吸と思いがちですが、されど呼吸。いざという時に役に立ってくれるはずです。

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誰かと気持ちを共有するのも良いかも

two women are sitting and talking woman psychologist practicing with patient women coach session between girlfriends therapists gestures female talking and drinking a cup of tea
Fiordaliso

もやもやな気持ちを曖昧にし続けるって、精神的にもけっこうきつい時も多いと思います。そんな時は、Hさんが信頼できる、仕事などの利害関係を絡まない方にお話ししてみてはいかがでしょうか?

誰かに受け止めてもらえたという体験はスッキリしたりするものですし、話すことで見えていなかった自分の本当の気持ちが見えてくるということもあるかもしれません。Hさんの中でAさんと付き合っていくことへの折り合いがうまくつけられていくことを祈ってます!

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Headshot of 南 舞
南 舞
ライター

臨床心理士。岩手県出身。多感な思春期時代に臨床心理学の存在を知り、カウンセラーになることを決意。大学と大学院にて臨床心理学を専攻し、卒業後「臨床心理士」を取得。学生時代に趣味で始めたヨガだったが、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングと近いものを感じ、ヨガ講師になることを決意。現在は臨床心理士としてカウンセリングをする傍ら、ヨガ講師としても活動している。   公式HP: mai-minami.com Instagram: @maiminami831  

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