私たちの大半は風邪をひいたりインフルエンザにかかったりしたことがあるので、必然的に治し方を知っている。でも、世の中には、こうすると風邪をひきやすいとか、こうすると風邪が治りやすいという迷信が星の数ほど存在する。例えば、熱があるときは何も食べないほうがいいとか、体調が悪いときは髪を洗ったほうがいいとか。

そこで今回は、デジタルヘルスコーチングサービス『LIVA Healthcare』のメディカルディレクターで、英国のテレビやラジオに数多く出演している総合診療医のロジャー・ヘンダーソン医師が、風邪とインフルエンザに関してよく聞く6つの噂の真相を教えてくれた。

迷信その1:風邪をひくのは人のくしゃみを浴びたときだけ

真相:風邪を引く可能性は、人のくしゃみを浴びたときより、ウイルスで汚染されているドアノブ、タオル、電車やバスの手すりを触ったときのほうが高い。握手も病原菌を媒介することで広く知られる。また、ウイルスが付着した指で目や鼻をこすってしまい、そこからウイルスが体内に侵入することもある。一方、インフルエンザの場合は、人のくしゃみやせきを通して空気中に放出されたインフルエンザウイルスを含む飛沫を吸い込んで感染することが多い。

迷信その2:風邪のときはガッツリ食べて、熱があるときは何も食べない

真相:あえて腹ペコになるのはNG! 風邪やインフルエンザで苦しんでいるときは、固形物より栄養たっぷりの温かい飲み物やスープを。熱い液体を摂取すると鼻と口の中の温度が上がり、ウイルスが早く死滅する。感染症にかかったときは、とにかく水分補給が大事。

迷信その3:髪が濡れたまま外に出ても風邪をひくことはない

真相:この迷信は最近ウソであることが証明されたが、体が冷えたせいで風邪をひく可能性はゼロじゃない。私たちが寒さでブルブル震えると、全身に大きなストレスがかかって免疫機能が低下する。すると、普段から私たちの鼻の中に住んでいる細菌がその隙をついて体内に入り込む。「暖かくして出掛けなさいよ」というおばあちゃんの言葉は、やっぱり正しかったのかも。

迷信その4:同じ風邪を2回ひくことはある

真相:普通の風邪のウイルスには約200種類もあって、私たちは毎冬平均2~3種類の風邪をひく。でも、その風邪が治る頃には免疫ができているので、まったく同じウイルスに再び感染することはない。

ただし、1回目と違う種類のウイルスに感染することは当然あるので、健康的な食生活と定期的な運動、十分な睡眠とこまめな手洗いうがいで免疫機能を最高の状態に保ち、しっかりと風邪を防ごう。

迷信その5:寝ていれば早く治る

真相:風邪を早く治したいなら、寝てばかりいるよりも新鮮な空気を吸って軽い運動をしたほうがいい。逆に、インフルエンザの場合は休息がマストなので無理せずベッドへ! 

迷信その6:風邪とインフルエンザは抗生物質を飲まないと治らない

真相:抗生物質が効くのは細菌感染症のみで、風邪やインフルエンザのウイルスには効かない。抗生物質が処方されるのは、風邪がこじれて気管支炎などの二次感染が起きたときだけ。

※この記事は、『Netdoctor』から翻訳されました。

Text: Medically reviewed by Dr Louise Wiseman MBBS, BSc (Hons), DRCOG, MRCGP and Dr Roger Henderson Translation: Ai Igamoto

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伊賀本 藍
翻訳者

ウィメンズヘルス立ち上げ直後から翻訳者として活動。スキューバダイビングインストラクターの資格を持ち、「旅は人生」をモットーに今日も世界を飛び回る。最近は折りたたみ式ヨガマットが手放せない。現在アラビア語を勉強中。