もうすぐ大好きなテレビドラマが始まる時間。でも、ポップコーンを用意しようとキッチンの棚に手を伸ばしたら肩がズキン。赤ワインのコルクを抜こうと思ったら肩がズキン。最近は肩を激しく使う運動もしていないのに一体なぜ? アメリカ版ウィメンズヘルスから見ていこう。

「肩は人体でもっとも可動性の高い関節なので問題が生じやすいんです」と説明するのは、米ニューヨークシティの理学療法クリニックFinish Line Physical Therapyに所属する理学療法士のマイク・リカルディ。「肩関節は複雑な構造をしているため、肩の痛みには複数の要因が絡んでいると思われますが、最大の原因は姿勢の悪さです」(いま背筋を伸ばしたでしょう?)

リカルディの話では、姿勢が悪いと筋肉のバランスまで悪くなり、過度に緊張する筋肉や、逆に伸び切って弱くなる筋肉が出てきてしまう。「こうして筋肉の緊張と強度のバランスが悪くなると、上腕骨(その名の通り上腕の骨)と肩甲骨がうまくかみ合わなくなってしまいます」。このアンバランスの原因は多くの場合、1日中パソコンに向かって座っていたり、肩を丸めてキーボードを打っていたりすることにある。だから、肩の痛みを治して肩本来の動きを取り戻すには、姿勢の改善が絶対不可欠(高い棚からポップコーンを取って食べるためにも!)。

肩関節が複雑と言われる理由は「いろいろあります」とリカルディ。「肩関節は上腕骨と肩甲骨の連結部分。上腕骨は肩甲骨にくっついた状態で、肩甲骨は胸郭にくっついた状態で動いているんですね。肩関節には、胸骨と肩甲骨をつなぐ鎖骨も関係しています。そのため、筋挫傷、靭帯捻挫、腱板断裂、関節唇損傷、滑液包炎、脱臼、亜脱臼、靭帯弛緩などがすべて肩に影響し、痛みや不快感を引き起こします」

姿勢は決して悪くないのに肩が痛い場合は、いくつかの理由が考えられる。ケガの中には、使いすぎや間違ったフォームでエクササイズをしているなどの理由で生じるものと、腱板断裂や関節唇損傷のように外傷性のものがある。「肩の痛みの原因が運動や交通事故とは限りません。使いすぎや外傷がなくても肩が痛くなることはあります」とリカルディ。「その一例がインピンジメント症候群。2本の骨がうまくかみ合わず擦れるせいで、頭上に手を伸ばすような動作をする際に、引っかかりや筋を違えたような痛みを感じます」。痛みが長引く場合は必ず医師に相談し、高いところにある物を取るときは踏み台を使うことも検討しよう。

リカルディいわく姿勢をよくしたいなら、まず胸を開くこと。フォームローラーを縦向きに寝かせ、その上であおむけになり(フォームローラーが背骨に沿うようにする)、腕を左右に広げてヒジを90度に曲げれば、胸筋が開かれて背中の緊張がある程度ほぐれるはず。でも、これは一時的な解決策。ひどくなる前に医師や理学療法士に相談し、長期的な解決策を見つけよう。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Alison Feller Translation: Ai Igamoto

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伊賀本 藍
翻訳者

ウィメンズヘルス立ち上げ直後から翻訳者として活動。スキューバダイビングインストラクターの資格を持ち、「旅は人生」をモットーに今日も世界を飛び回る。最近は折りたたみ式ヨガマットが手放せない。現在アラビア語を勉強中。