吸収型サニタリーショーツのブランド「Period.」の代表である寺尾彩加さんによる連載、2回目は彼女自身が体験した生理ハックによる変化についてご紹介。

 みなさんは普段どのような生理用品を使っていますか? また、月経の日ごとにアイテムを使い分けたり、生理や月経周期の自分の体調に合わせて何かアクションを起こしたりしていますか?

 「毎月きているから健康なんだ」と生理前の不調や辛い生理痛に耐えたり、肌のトラブルを抱えながら生理用品を使用していた「耐える生理」はもう終わり! 自分に合った生理との付き合い方を知り、生理ハックすることで1ヶ月をもっと充実したものにできるのです。今回は、わたしの生理との付き合い方だけではなく、最近付き合い方が変化したというチェルシー・有彩さんのエピソードとともにご紹介します。


パンツをはいただけなのに

 わたしは、吸収サニタリーとの出会いにより生理の概念が変わったことで、「この新たな体験と快適さを多くの人へ伝えなくては!」という使命感に駆られPeriod.を創業しました。

 実は冒頭で書いたように、生理が毎月きているから自分は健康で、生理痛もほとんどないから生理の悩みはないという思い込みをしていました。生理用品も紙ナプキンとタンポンしか使用したことはなかったですし、その不快感を言ったところで特に何も変わらないと思っていたので、何の疑問も持たずに今あるものを使用していました。

 しかし、ひょんなことで出会った吸収ショーツによりこの考えがガラッと変わったのです。

 特に何も不便はないと思っていた生理ですが、吸収ショーツを身に付けてから、生理が始まりそうなときの下着選びに悩んでいたことに気づきました。思い返せば、生理がきそうと読んでサニタリーショーツと紙ナプキンを身に着けておいた日に限ってこなく、まだ大丈夫といつもの下着を身に着けた日にはきてしまい、何度もショーツをダメにした経験があったのです。

 けれど、吸収ショーツと出会ってから下着をどうするかを考えることがなくなり、生理がくるこないで一喜一憂する必要性がなくなりました。そこで、初めてあの下着選びは自分にとってストレスだったと気がついたのです。

 その他にも、バックは小さめのものが好きで生理用品の替えを持ち歩くのが嫌いでした。また、替えを持ってくるのを忘れ、外出先のコンビニや薬局で買った回数は数え切れません。このような心配や失敗をすることがなくなり、自己嫌悪する場面を減らすこともできました。

 今まで特に気にも留めずにしていたことが、実はこんなにもストレスだったんだと感じた驚きと、たった一枚のパンツでそれらが解消できるということから、わたしには吸収ショーツが必要不可欠な存在となりました。

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寺尾さんが手掛ける吸収型ショーツはこちら


嫌悪していたピルが、悩みを解消

生理との付き合い方を知るには、生理用のアイテムだけではなく自分の生理について知ることも重要です。最近、自分の生理について考えアクションを起こしたことにより、生理の悩みから解放されたエピソードをご紹介します。

 生理が重い月があり、ひどい時には吐き気まで催し、仕事にも手が付けられなかったという話をしてくれたチェルシー有彩さん。今までは痛み止めを飲んでその期間を乗り切っていたそうです。

「わたしはアメリカで生まれ、日本で育ちました。海外ではピルを飲むことが比較的一般的だと知ってはいましたが、副作用があるのではないかと懸念し、薬に頼ることを何となく避けていました。また、日本で生活する中で日本人の友人たちとピルに関して具体的に深い話をしたことがなく、ピルを服用することを積極的に考えたことは残念ながらありませんでした。

 しかし、ここ最近、周りに女性支援の活動をしている友人が増えてきたこともあり、生理についての話が以前よりも話題に上がるようになりました。オープンに話ができる環境下での理解ある友人との対話のおかげで、自分のカラダへより意識を向けるようになり、知りたかった情報も得ることができました。その結果低容量ピルの服用をはじめる決心がついたのです。

 服用をはじめてから、今まで以上に自分の生理周期を把握できるようになったこと、食欲や気ダルさなどのカラダや心の変化がホルモンバランスからくることが理解できるようになったため、完璧でない自分を責めるのではなく「そんな時もあるさ」とありのままの自分を受け入れることができるようになりました。

 以前から兆候に気付きながらも野放しにしていたPMSに関しては、特に効果テキメンでした。それまでの気分の上がり下がりがまるで嘘のように和らぎ、感情の波に左右されないだけでなく、毎日がハッピーだとさえ感じられるようになりました。

 さらに、ホルモンバランスを日頃から整えて、今よりもっと健康的に生活したいという思いから睡眠を意識するようになりました。良い睡眠を取るために、音楽やアロマを使っていかにリラックスできる空間を作れるかどうか色々と試してみたりもしました。その他には、食べ物や運動、仕事との向き合い方、人との関わり方などキツイ時には無理をしない、または出来ない時もあることを許容できる生活を心がけています。そのお陰もあって、以前に比べると自分の機嫌は自分で取れるようにコントロールしやすくなった気がしています。

 また、友人と生理のトピックスを話す機会が増えたなかで、意外にも多くの人がPMSで悩んでいることを知りました。PMSは身近な人にも関わってくる問題で特に親密な関係であればあるほど、その影響を受けやすい傾向があります。にもかかわらず、女性個人だけで抱え込んでいるケースが多く、ネットでもこのような情報はまだまだ少ないのが実状です。「メンヘラ女子」と言うのは簡単ですが、何がどうなっているかという医学的な理解とアプローチが進んでいくことで解決されること、よりハッピーになれる人はまだまだ多いはずです。

私が体験談を発信していくことで、周りの人々が声を上げやすい環境を作っていくことができれば嬉しいですし、最終的には家族や身近なパートナー、友人、職場の関係者などの各方面からの理解や認知を広げ、一人でも多くの個々人をエンパワメントしていきたいと思っています」

contraceptive pills
South_agency//Getty Images


できそうなことからはじめてみよう

 今使っている生理用品から違う製品に変えてみる、これからの夏に備えて月経カップや吸収ショーツを使用してみる。いつもと違うことをしてみると新たな発見があると思います。  

 PMSや生理痛で悩んでいるのならば、一度婦人科を受診してみると良いでしょう。わたしの個人的な意見ではありますが、どのクリニックへ行ったら良いか分からない場合はターミナル駅にあるレディースクリニックへ行くのが良いでしょう。同じような悩みを持つ人が毎日訪れていると思うので、さまざまな対処法を教えてくれるはずです。

 また、近くにそのようなクリニックがない場合でも大丈夫。ピルのオンライン診療を実施しているスマルナでは、チャットで医師に相談しながらピルを処方してもらうことができます。

 いきなりすべてを変えていくのは難しいと思います。普段の生活で感じる少しの違和感や不調を知ることが大切です。そして、今の自分にできそうなことからはじめながら、自分ならではの生理ハックを一緒に見つけていきましょう。

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Kiriko Kageyama
エル・グルメ編集長/ウイメンズヘルス編集長

『エル・オンライン(現エル・デジタル)』のファッションエディターを経て、フリーランスに。女性ランナーによる企画集団「ランガール」を設立。その後女性誌立ち上げやWebメディアの立ち上げを経て2017年にウィメンズヘルス』日本版ローンチ時から編集長に。2023年夏よりエル・グルメ編集長も兼務。趣味は料理を作って友人たちに振る舞うこと。