専門家に話を聞いた。
シドニーの裁判所は2019年5月、ヴィーガンの食事で幼児期の娘を重度の栄養不足に陥らせたとして、1組のヴィーガン夫婦に育児放棄の判決を下した。そしていま、オーストラリア中のハッピー&ヘルシーなヴィーガン家庭が、この夫婦と一緒にされたくなくて、迷惑しているのだとか。今回はオーストラリア版ウィメンズヘルスより、子どもにヴィーガン生活をさせるのが安全なのか、問題提起した記事をご紹介。
シドニーからゴールドコーストに移った栄養士のロビン・シューターは、豪オンラインメディア『7News』に対し、「幼児や子どもの虐待やネグレクトの訴訟は多いですが、両親の食事の好みが問題になったことはありません」と話す。シューターは、現在18歳の息子と14歳の娘をヴィーガンとして育ててきた。プラントベースの料理番組『Chefs In The Raw』のクリエイターでシドニー在住のトリシュ・ヘイウッド(62歳)も数十年前、2人の息子をヴィーガンとして育てたママ。当時は確かに珍しいことだった。でも、現在30歳と38歳の息子たちは、いまもヴィーガンの食生活を続けている。「今回の訴訟は間違いなく虐待に関するもので、ヴィーガニズムとは全く関係ありません。ヴィーガニズムが現実ではなく言い訳として使われたと思います」とヘイウッド。
南海岸の社会科学者で作家のアニータ・アーマディザデは7年前、夫と共にヴィーガンに転向してから、3歳半の娘をヴィーガンとして育てている。「夫婦ともども健康でしたし、ヴィーガン女性の妊娠や幼少期のヴィーガン生活に関する文献が数多くあったので、何の疑問も感じませんでした。反感を抱かれることもありましたが、聞かれたことにはうまく答えます。私たちは、無謀にトレンドを追いかける10代の若者ではありません。ヴィーガンであることが正しいという信念と裏付けに基づいて、意識的な判断をしています」
10年前からヴィーガンの神経心理学者、アッシュ・ナヤテ博士は、4歳と3カ月の息子2人をヴィーガンとして育てている。「妊娠中は高血圧になることも妊娠糖尿病になることもなく、とても健康でした。私はエビデンスを重視します。そもそも私がヴィーガンになったのも、確固たるエビデンスがあったからです」栄養士のシューターは、数十人の赤ちゃんを含むヴィーガン家庭の食生活を問題なく支えてきた。その彼女によると、健康のカギは慎重な計画にある。国立保健医療研究評議会のオーストラリア食事指針とニューサウスウェールズ州の健康サイトは、母親と赤ちゃんの両方が必要な栄養を全て摂取できるよう同じアドバイスを掲載し、栄養士のコンサルティングを勧めている。
ヴィーガンの小児科医、レイラ・マッソンも来院する親たちに慎重な食事計画の重要性を伝えている。「私のクリニックを訪れる方はみな、とてもよくやっています。オーストラリアは重大な肥満問題を抱えており、わが国のスタンダードな食事はとても良い手本とは言えません。プラントベースの食生活を送った方が肥満のリスクは圧倒的に低いです」
小児科医歴22年のマッソンによると、最近は、子どもが生まれたばかりの親や若い同僚のヴィーガン転向が目立つそう。「家畜の飼育が気候変動に与える影響から、エコフレンドリーな方法で子育てがしたいと考える若者は間違いなく増えています」ただ、小児科医の間にもジェネレーションギャップがある。「年配の小児科医はヴィーガンやプラントベースの食生活をクレイジーだと思っていますが、若い小児科医は前向きで、自分の子どもに対してもヴィーガンやプラントベースの食生活を検討します」しっかり栄養管理さえ行うことができれば、子どものヴィーガン生活を問題視する必要はないのかも。
※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text: Chris Hook Translation: Ai Igamoto
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