スーパーフードやサプリメントは次々と新しい商品が登場し、今は何が流行っていて、何が健康に良いのか、情報を精査するのも一苦労。それでも、あなたがトレンドを追いかけるなら、今注目すべき最新のスーパーフードは「モリンガ」。

登録栄養士であり認定スポーツ栄養スペシャリストのキレン・ボグデンさん曰く、モリンガ・オレイフェラ(モリンガ)は主に南アジアやアフリカに自生する植物であり、世界で最も成長の早い木の一つだという。霜や干ばつに強く、耐久性に優れており、「ドラムスティック・ツリー」とも呼ばれるモリンガには、アミノ酸、ビタミンC、カリウム、カルシムなど栄養素が豊富に含まれていることが特徴。

特に生のままで摂ることが体に良いとされ、葉には(アレルギー症状を誘発する)ヒスタミン反応をブロックする抗酸化物質のケルセチンや、血糖値を安定させるクロロゲン酸が含まれている、とボグデンさんは説明する。

「モリンガがこれほど人気を集めている理由は豊富な栄養素だけでなく、カフェイン摂取に伴うようなネガティブな副作用なく(※一部の人には副作用が出る可能性がある)エネルギーを補給できることにあります」とボグデンさん。

とはいえ、モリンガの効能の正当性と安全性を確かめるためには、ヒトにおけるより多くの研究が必要、というのが専門家の意見。

モリンガの潜在的な効果、摂取する上でのリスクとは。

専門家紹介:キレン・ボグデン(登録栄養士・認定スポーツ栄養スペシャリスト )はスポーツ栄養学と機能性医学の専門。さまざまなメディアで紹介され、全米のイベント等で講演を行なっている。


モリンガによる健康効果とは?

ある研究によると、モリンガは80もの病気の治療に役立てることができるという。しかし、モリンガの効能を示すエビデンスの多くは、細胞や動物実験によるものであることを心に留めておきたい。つまり、ヒトでも同じように作用するかどうかはまだ不確かなのだ。最適な摂取量を定め、モリンガに含まれる活性化合物間の相互作用を明らかにするためには、より多くの研究が必要となる。

1. 感染症への抵抗力

      モリンガには病原体に対する抗感染作用があり、バクテリア、真菌、ウイルス、寄生虫への治療に使うことができることが、2020年の薬理学専門誌『Frontiers in Pharmacology』のレビューで明らかにされた。特に、葉と種子は他の部位よりもその薬効範囲が広いとのこと。

      2. 血糖値をコントロール

      医学誌『Nutrients』(2020年)のいくつかの動物実験のレビューによると、モリンガを摂取することで糖尿病患者の血糖値のコントロールに役立つ可能性があるという。研究者は、モリンガに含まれるイソチオシアネートなどの化合物による効果だと考えているが、ヒトを対象としたさらなる研究が必要。

      3. コレステロールを下げる

      動物実験では、モリンガはフラックスシード(亜麻仁)やオーツ麦などと同様にコレステロールを下げる作用が示された。これは心臓病のリスク軽減に関与する抗酸化物質が含まれているため。

      4. 血圧を下げる

      抗酸化物質であるケルセチンを含むため、血圧を下げる効果があるという研究結果がある。

      5. エネルギー補給

      モリンガには、タンパク質、鉄分、ビタミンAなど、エネルギーレベルを最適に保つために不可欠な栄養素が含まれているため、エネルギー源として適しているという研究結果がある。

      6.消化をサポート

      医学誌『Journal of Ethnopharmacology』のある研究では繊維質の鞘が便秘などの消化器系の問題の治療に役立つとされ、別の研究では大腸ガンの予防に役立つと発表された。

      7. 関節炎や関節痛に効果がある

      ある動物実験では、モリンガのエキスが関節リウマチ(関節の炎症性疾患)の症状軽減に役立つことが示された。ヒトにおける研究が必要だが、葉のエキスが炎症誘発性分子を抑制するためと考えられている。

      8. 炎症と闘う

      モリンガの葉、鞘、種にはイソチオシアネートと呼ばれる抗炎症化合物が含まれており、これにより動物実験では心臓病やガンのリスクが軽減される可能性が明らかに。

      また、2020年のレビューによると、喘息、潰瘍性大腸炎、代謝性疾患などの症状における慢性炎症を抑えることができることも明らかにされた。

      毎日摂取してもいいの?

      医師の許可があれば、毎日摂取しても問題なし。特に、スムージーにモリンガの粉末を小さじ数杯入れたり、モリンガの葉からお茶を作るのが望ましいとボグデンさんは述べる。

      「一般的には、1日1〜2杯のお茶、または小さじ1〜大さじ1杯の粉末をオートミールやスムージーなどに加えるのがベストだと言われています」とボグデンさん。「カプセルで摂取したい場合は、1日に約500mg〜2gで効果があることが臨床結果で示されています」

      副作用はある?

      他のサプリメント同様に、モリンガの摂取によって起こりうる副作用には注意が必要。FDA(アメリカ食品医薬品局)による規制はないため、モリンガを含むあらゆるサプリメントの摂取前には、医師に相談するようボグデンさんは助言する。

      信頼できるサプリメントを探す際は、まずGMP(Good Manufacturing Practice)に認定されたものかどうかをラベルで確認すべきだとボグデンさんは続ける。また、アスリートの人はドーピング検査で陽性反応を出さないために、スポーツ用のNSF認定サプリメントであることも併せて確認する必要がある。

      「多くの人は副作用を感じない一方で、摂取量や方法、頻度、既往歴などによって一部の人は胃腸の不調や子宮収縮、低血圧を引き起こす可能性があり、危険な状態になることもあります」とボグデンさん。

      モリンガを摂取してはいけない人

      多くの食品、薬、サプリメントと同様にモリンガを避けた方がよいグループはあり、それは妊娠中や授乳中の人だとボグデンさん。

      また、糖尿病や高血圧、甲状腺疾患の治療薬を損なう可能性があるため、これらに該当する人は事前に医師に相談するのが望ましい。

      結論:モリンガは他のスーパーフードと同じような健康効果が期待されているが、研究結果は限定される。健康習慣に取り入れる前に、医師へ相談を。

      ※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
      Translation: Ai Ono From Women's Health

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      Emilia Benton
      Contributing Writer

      Emilia Benton is a Houston-based freelance writer and editor. In addition to Runner's World, she has contributed health, fitness and wellness content to Women's Health, SELF, Prevention, Healthline, and the Houston Chronicle, among other publications. She is also an 11-time marathoner, a USATF Level 1-certified running coach, and an avid traveler.