数年前から、“ハワイの朝食”として日本でも知れ渡り、女性を中心に人気を集めてきたアサイーボウル。その言葉を知らない人は少ないだろう。ただ、ここ数年、人々の健康志向の上昇から、スーパーフード市場は盛り上がりを見せ、その存在感は薄れてきてしまったように思える。ただし、一時的なブームとして終わらせるにはあまりにももったいない食材。今回は、“アサイー”の健康効果やメリットについて、管理栄養士の藤原朋未さんにお話を伺った。(「」内藤原朋未さん・以下同)

アサイーってどんなフルーツ?

「“アサイーボウル”の印象が強く、ハワイのフルーツと思われがちですが、中央アメリカおよび南アメリカの熱帯地方が原産のヤシ科の植物です。赤紫色の実は直径1cmほどの大きさで、中身のほとんどが硬い種のため、実際に食べることのできる部分は5~10%ほどと言われています。アサイーの実は劣化が早いので、日本では生食ではなく冷凍ピューレやフリーズドライといった形で手に入れることができます」

アサイーの栄養価は?

basket with acai fruit euterpe oleraceain amazon region, brazil
Ricardo Lima//Getty Images

無糖の冷凍アサイー(100gあたり)

エネルギー:62kcal、たんぱく質:0.9g、脂質5.3g、炭水化物:5.0g、塩分相当量0.0g

「見た目が似ているブルーベリー(エネルギー:48kcal、たんぱく質:0.5g、脂質0.1g、炭水化物:12.9g)と比較すると炭水化物が少なく、脂質が高めなことが分かります」

※日本食品標準成分表2020年版(八訂)より

アサイーを食べることのメリットは?

①アンチエイジング効果が期待できる

「注目される栄養成分の一つは、濃い赤紫色の色素成分であるポリフェノール。抗酸化作用が強く老化予防に期待ができます」

②腸を整える

「整腸作用のある食物繊維が炭水化物5.0g中4.7gと豊富に含まれているのも特徴。食物繊維は便のカサを増して便通を促したり、腸内で善玉菌のエサとなり腸内環境を整えます」

a man holding an acai, granola bowl
Photographer, Basak Gurbuz Derman//Getty Images

 

「その他、カルシウム・マグネシウム・鉄・マンガンなどのミネラル類、ビタミンA・Eなどの抗酸化ビタミン、たんぱく質の代謝に関わるビタミンB6などさまざまな栄養素を含みます。

人を対象とした研究では、健康目的でアサイーの使用を指示するエビデンスはありません※1。ただし上記栄養素を含むことから、それぞれの栄養素における健康効果は期待できるといえるでしょう。ポリフェノールは体の中で蓄積しておけないので、毎日食べ続けることによって効果が発揮されます。ポリフェノールを補給する食習慣の一環としてアサイーを取り入れることは推奨できます」

参考記事:
※1厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』

アサイーはダイエットに効果的なの?

「正直アサイーだけで『減量』という目的を実現するのは難しいと言えます。便通改善のために、ヨーグルトなどと一緒に食べたり、筋肉の疲労回復のためにビタミンB群の補給として取り入れるのはおすすめです。

一見、ヘルシーと思われがちな、アサイ―ですが、市販の冷凍ピューレやジュース類は砂糖類が添加されているものも多いので、食べすぎ・飲みすぎには注意が必要です。

ダイエット中の方は無糖のピューレやフリーズドライの商品を選び、甘さはご自身で調整されるのがよいでしょう」

アサイーと一緒に食べ合わせるのにおすすめの食材は?

a bowl of smoothies with blueberries, kiwi, almonds, banana, nuts
Vita Taikhryb//Getty Images

「アサイーに含まれる鉄は植物性のため『非ヘム鉄』と呼ばれ体への吸収率は高くありません。鉄の吸収率を高めるにはたんぱく質やビタミンCを含む食材(いちごやキウイフルーツなど)と一緒に摂るのがおすすめ。ピューレならヨーグルトや牛乳などの乳製品と、フリーズドライなら納豆や豆腐へふりかけて、たんぱく質食材と一緒に楽んでみるのもよいでしょう」

 

参考文献:
・スーパーフード辞典 BEST50 主婦の友社 監修 齋藤糧三 2016年発行
・スーパーフードの教科書 マイナビ出版 監修 生活の木 小林理恵 2016年発行

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藤原朋未
管理栄養士 健康・食育ジュニアマスター

プロの管理栄養士・料理研究家による「食 」のプロデュース・レシピ開発を手掛ける(株)エミッシュ所属。健康・美容・栄養などの切り口で管理栄養士ならではのレシピ提案・コラムの執筆を行う。乳幼児食指導士の資格を持ち、離乳食や幼児食に関する情報をブログにて発信中。ブログ:ママ楽ごはん(http://tomomi-fujiwara.blog.jp/)エミッシュ(所属)(http://e-mish.com

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Aoi Nakashima
エディター

アシスタントエディターとして、主にSNS周りを担当。ウィメンズヘルスを一緒に作るコミュニティー、Fit Girlsのコミュニティリーダーも担う。セレブ・ファッション・フードなどのカテゴリーの中で、トレンドを日々リサーチし、投稿や記事へとつなげる。特技は20年続けた硬式テニス、2023年はサーフィンにも挑戦する予定。座右の銘は“一日一幸”♡