徐々に気温が高くなり、薄着をするようになってきたら、日焼け止めが欠かせない季節の到来。

しかし、米国皮膚科学会が米国の成人1000人を対象に行った調査によると、80%の人が2時間おきに日焼け止めを塗り直す必要があると知っているにもかかわらず、実際にそうしている人は33%にとどまっているということが明らかになった。

さらに、42%の人が日焼け止めの塗り直しをまったくしていないか、肌が濡れたときだけ塗り直しているという結果が出ている。

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でも、それは大きな間違い。UVカット加工の服を着ていない限り、日焼け止めは、肌の色にかかわらず、死に至る可能性のある皮膚がんや、老化の原因となる日光によるダメージを減らすために不可欠なアイテムなのだ。

とはいえ、日焼け止めについては少しわかりにくいのも確か。容器に書かれている数値は一体何を意味しているのか、なぜ塗り直さなくてはいけないのか――など、よくある日焼け止めの誤解について専門家に解説してもらい、対策を教えてもらった。

誤解1:SPF値が高ければ高いほど、塗り直しは不要

SPF値が30でも100でも、少なくとも2時間ごとに塗り直す必要がある。なぜならSPFとは、日焼け止めの持続時間ではなく、紫外線をどれだけカットできるかを示すものだから。

ワシントン大学医学部の皮膚科部長であるポール・ニエム医学博士によると、日焼け止めが2時間しかもたない理由は、日光と湿気が保護化学物質の一部を分解、または洗い流してしまうことにあるそう。そのため、携帯電話のアラートなどを利用し、2時間たったら十分な量を塗り直すように心がけるのがベター。

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ニエム博士はまた、「政府がSPF値を算出する際に想定している量の、3分の1程度しか日焼け止めを塗っていないのが我々の現状です」と説明する。つまり、SPF30の日焼け止めでも、SPF10程度の効果しか得られないということ。

全身をカバーするにはショットグラス1杯分ほどの量が必要だが、厚く塗るのが苦手な人は、SPF50以上のものを選ぶようにしよう。

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誤解2:車の窓は紫外線をブロックする

車のフロントガラスにはUVBとUVAをカットするラミネート加工が施されているが、サイドや後部のウィンドウは加工されていない。つまり、UVBをカットするだけで、肌の奥深くまで届くUVAはカットできないということ。

『Journal of the American Academy of Dermatology』誌に掲載された研究によると、運転をする人は、顔や体の窓側(太陽にさらされる運転席側)に皮膚がんが発生しやすいことがわかっている。実際、メラノーマ(悪性黒色腫)の患者の74%が、左側に腫瘍を患っていたのに対し、右側に患っていた人は26%だったとか。

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幸いにも、解決策は至ってシンプル。車内で数分以上過ごす場合は、日焼け止めや長袖シャツなどのUVカット加工がされている服を着用するようにしよう。さらにニエム博士によると、UVAとUVBを防御するコーティングが施されたサングラスを着用すれば、まぶしさを軽減し、白内障の予防にもなるという。

誤解3:日焼け止めを使うと、ビタミンDの量が減る

ロンドンにあるセント・ジョンズ皮膚科研究所の実験的光生物学の名誉教授であるアントニー・ヤング博士は、日焼け止めを塗った状態で通過した少量のUVBでも、体内でのビタミンDの生成には十分な効果があると言う。“太陽のビタミン”であるこのビタミンDは、骨の健康に不可欠で、免疫機能や筋肉の働きにも関与している。

また、デトロイトにあるカルマノスがん研究所の皮膚科医、スティーブン・デイヴルイ博士は、「食事からもビタミンDを摂取することができます」と言う。ビタミンDを多く含む食品には、ニジマスやサーモン、ツナ缶、卵、キノコ類、オレンジジュース、豆乳、オートミルク、牛乳などがある。

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ビタミンDが不足している場合は、医師から1日1回のサプリメント(600~800IUが目安とされる)の摂取を勧められることもある。

誤解4:日焼け止めは自作できる

ヤング博士は、「市販の日焼け止めは、安全性、有効性、処方の質が非常に厳しく規制されていますが、自家製の場合はこれらの要素を評価する方法がありません」と指摘。自家製はSPFレベルをテストすることもできないし、効果的な成分は消費者が簡単に購入できるものではなく、配合も簡単ではない。

ただし、肌に染み込む特定の成分が気になるという場合は、酸化亜鉛や酸化チタンなどの紫外線散乱剤を含む、フィジカル(ミネラル)サンスクリーンを選ぶといい。デイヴルイ博士によると、こうした日焼け止めは「肌の上にとどまって日光を反射させる」もので、「肌に吸収されないので、皮膚がんから身を守る以外の作用を心配する必要もありません」とのこと。

誤解5:日焼け止めは、大人より子どもの方が重要

子どもの頃の日焼けが、大人になってからの皮膚がん、特にメラノーマ(悪性黒色腫)の危険因子であることは事実だが、年齢を重ねてからの継続的な日焼けも同じくらい危険。「日光を浴びるたびに、皮膚がんのリスクが高まることが証明されています」とデイヴルイ博士は説明する。

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ほとんどの人が20歳までに浴びる紫外線量は、生涯の25%に過ぎないことを考えると、ダメージを拡大させないための時間は十分にある。日光にさらされているときは、大人でも日焼け止めを塗るべきだが、子どもの頃にほとんど日焼け止めを使わなかった人は特に注意が必要。

日焼け止めには、肌を焼くUVBと、肌を老化させるUVAの両方(どちらも皮膚がんの原因となる)をブロックする、ブロードスペクトラム(広域スペクトラム)タイプのものを選ぶのがいいよう。

日差しが厳しくなる夏はさらに、こまめに塗り直しをしたり、運転時も日焼け止めを塗るなどして、UVケアを心がけたい。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

Photos: Getty Images Translation: Masayo Fukaya From Prevention

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Kate Rockwood

Kate Rockwood is a freelance writer based in New York.