スーパーフードとして今注目を浴びているヘンプシード。都内のスーパーや、SNSで見かけることはあっても、その多くは謎に包まれたまま。今回はこのミステリアスな食材が体に一体どんなメリットをもたらしてくれるのか? おすすめの食べ方や食べる際の注意点を含め、管理栄養士の中村りえさんにお話を伺った。
(「」内中村りえさん・以下同)
目次
- ヘンプシードとは
- ヘンプシードの効果・効能は?
- ①良質なタンパク質が摂取できる
- ②必須脂肪酸が含まれている
- ③食物繊維が豊富
- ④ミネラルを補える
- 1日どのくらい摂取するべき?
- ヘンプシードを食べる際の注意点は?
- ヘンプシードのおすすめの食べ方(レシピ)
- エディターおすすめのヘンプシード
・ヘンプシードとは
「ヘンプシードとは麻の実のこと。身近なものだと七味唐辛子に入っています。七味唐辛子の中では、ちょっと大きめに見える丸い粒が麻の実です。実は意外と身近なところにあるんですね。麻というと大麻とか、薬物に近いのかなって思われがち。属性は同じ麻科なんですが、その大麻から精神に作用する成分を抜いたものが、麻の実です。麻の実として七味唐辛子に入っているものはもちろん、ヘンプシードという名前でスーパーフードとして売ってるものは、薬物としての精神作用はないので、安心して召し上がっていただけます」
・ヘンプシードの効果・効能は?
①良質なタンパク質が摂取できる
「ヘンプシードは100gあたり、29.9gと多くのタンパク質が含まれています※。タンパク質はたくさんのアミノ酸により構成されていて、体にどれくらい吸収されやすいかの数値を評価する『アミノ酸スコア』というものがあるのですが、その数値が高いのでヘンプシードは良質なタンパク質を含むと言われています」
※出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
②必須脂肪酸が含まれている
「ヘンプシードには、必須脂肪酸と言われているオメガ3とオメガ6が豊富です。これらは、美容のコンディションを守る働きがあると言われています。これらは体で作ることができないので、食べ物から摂取する必要がある栄養素です。熱に弱い栄養素なので、加工食品に含まれる量は少なく、現代人には不足しがちと言われています」
③食物繊維が豊富
「ヘンプシードの魅力と言ったら食物繊維が多いこと(100gあたり、23g。その内の21.8gが不溶性※)。食の欧米化が進んだことにより、海藻類などの摂取量が減ってしまった日本人には、不足しがちな栄養素の一つです。スッキリはもちろんですが、食物繊維には健康を守り、体環境を整えるという作用があります。特にヘンプシードに含まれている食物繊維は不溶性食物繊維といって、水に溶けない食物繊維です。水に溶けない食物繊維は、おなかの中で水分を含むと膨れるんですね、特に美容に役立つと言われています」
※出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
④ミネラルを補える
「マグネシウムや亜鉛もヘンプシードには含まれています。マグネシウムには、食物繊維同様、水分を抱え込んでくれる働きがあり、スッキリにはおすすめですね。
あとは、亜鉛。これらは不足すると、体のコンディションに影響を与えるので、不足しないようにしたい栄養素ではあります」
・1日どのくらい摂取するべき?
「1日の摂取量は製品に書いてある推奨量を参考にしてください。ものによっては書いてないものもあると思いますが、大さじ一杯くらいを目安にしたらいいと思います。ヘンプシードはナッツの一種なのでエネルギーもあります。やみくもに食べなければ食べすぎの心配はないと思います」
・ヘンプシードを食べる際の注意点は?
「不溶性食物繊維が多いので、朝からスッキリしたい時に、なるべく水分と一緒に摂るようにしてください。あとは食品はなんでもそうですが、いくら栄養素がいろいろ含まれているといっても、その食品一つでまかなえるわけではないので、それだけ食べることはおすすめしません。たくさん食べたからといって健康効果が期待できるものでもないので、毎日少しずつ、週に何回かでもいいので、ちょっとずつ続けてください。100gあたり、470カロリー※と意外とエネルギーがあるんです。いっぱい食べてしまうとエネルギー過多になってしまうので、ティースプーン一杯を1日のどこかで食べるという食べ方をした方がいいと思います」
※出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
・ヘンプシードのおすすめの食べ方は?
「ヘンプシードは、無味まではいかないんですが、クルミとかカシューナッツのようなちょっと香ばしいような、甘いような風味があります。食感はナッツに近い感じ。前述したように不溶性食物繊維が多いので、スムージーやスープにトッピングするのがおすすめです。ポイントとしては、不飽和脂肪酸が含まれているので、できれば加熱しないで摂ること。不飽和脂肪酸は加熱してしまうと成分が変わってしまうので。できればのせて焼くとかではなくて、クルトンの代わりにサラダにかけたり、生で食べる方法がいいと思います。意外とご飯との相性もいいので、私は塩と青のりと一緒にすりつぶして、ふりかけにしてご飯にかけて食べるのが好きでした」
・ヘンプシードのおすすめレシピ
ヘンプシード玄米おにぎり
recipe by AYUMI
調理時間:3分
【材料(2人分)】
・しょうゆ…小さじ3
・ごま油…大さじ1
・ヘンプシード…30g
・玄米…1合
・めんたいこ…少量
・海苔…適量
【手順】
1.小さな器にしょうゆとごま油を入れ、混ぜ合わせる。
2.炊いた玄米に1を入れてざっくりなじませ、ヘンプシードを入れてさらに混ぜてめんたいこと海苔を添えて完成!
・エディターおすすめのヘンプシード
実際に自宅で食べていますが、クセのないナッツのような風味でどんな食事とも相性がいいので、とても使用しやすいです。私のおすすめは、朝食のヨーグルト、バナナ、はちみつの上にトッピングでかけること。かけるだけで、手軽にバランスのとれた栄養価が摂取できるのが、忙しい毎日にうれしいアイテム(エディターAOI)
プロの管理栄養士・料理研究家による「食 」のプロデュース・レシピ開発を手掛ける(株)エミッシュ所属。健康・美容・栄養などの切り口で管理栄養士ならではのレシピ提案・コラムの執筆を行う。日本の米文化を守りたいと米食レシピや米粉レシピを発信中。ブログ:米粉おやつLabo(https://komeko-oyatsulabo.com/)エミッシュ(所属)(http://e-mish.com)