そろそろワークアウトのメニューを入れ替えたい? このトレンドリストに目を通せば、いいアイディアがどんどん湧くはず。今年のフィットネス業界はテクノロジーの進化と共に成長と拡大を続けている。定番のワークアウトに対する新しいアプローチも目白押し。2024年中盤以降は、そうしたワークアウトに対する自分の体の反応をより深く理解する時間にもなるだろう。

グーグルの検索データや独立機関によるアンケート結果をもとに、英国のジムPureGymが作成したフィットネスレポートによると、ダイエット&フィットネスの世界的一大ブームは一向に冷める気配がない。2024年のトレンドには、自然に還る“ターザン運動”や間食感覚で短時間のエクササイズをする“エクササイズ・スナッキング”などがあり、広く知られる高強度インターバルトレーニング(HIIT)の検索件数は今年に入ってから83%増加した。

逆に、TikTokで話題となったウエイト付きフラフープは人気が低下。アイヨガやフェイシャル・エクササイズといった風変わりなトレンドも衰退傾向にある。

でも、このレポートの中でなによりも顕著なのは、多くの人が健康の重要性をこれまで以上に認識し、健やかな心身を保つための目標を決めて頑張っているということ。そして、このトレンドリストを見る限り、身近な運動を日常生活に組み込んで、持続可能な習慣にする方法は無限にありそう。オーストラリア版ウィメンズへルスから詳しくみていこう。

1.ホルモン重視のワークアウト

healthy young female weight training in gym
Mike Harrington//Getty Images

真新しいトレンドではないけれど見事に返り咲きを果たしたのがホルモン重視のワークアウト。具体的には、体内におけるホルモンの産生とバランスを最適化する目的でデザインされたエクササイズのことである。ご存じの通りホルモンは、さまざまな生理学的プロセスにおいて重要な役割を果たしており、代謝や筋肉の成長、全体的な健康状態にも関係している。よって、ワークアウトの内容を調節し、ホルモンレベルにいい影響が出るようにすれば、運動パフォーマンスと健康全般にもいい影響が出るという考え方だ。

ホルモン重視のワークアウトに有酸素運動は含まれておらず、休憩もない。しかも、スピード重視なので早ければ15分で終わってしまう。そんなに短くて大丈夫?と思うかもしれないけれど、高強度のエクササイズなら、少しでも筋肉を疲れさせ、ヒト成長ホルモンを分泌させることができる。

2.フィットネスミラー

フィットネスミラーはスマートなホームジムに付け加えたい最新アイテムで、ケイト・ハドソンやジェニファー・アニストンといったセレブも愛用している。ハドソンの話では、娘のラニちゃんを産んでからワークアウトに戻る際にも、このツールが大いに役に立ったそう。フィットネスミラーを使えば、自宅にいながらグループでのレッスンやカスタマイズされたトレーニングがリアルタイムで受けられる。バーチャルのパーソナルトレーナーとも言えるような存在だ。

3.Pvolve

young female athlete lifting kettle bell while crouching in gym
Westend61//Getty Images

公式サイトによると「Pvolveは、衝撃の少ないファンクショナルトレーニングと体に抵抗をかける器具を組み合わせることで、従来のワークアウト以上の結果をもたらす科学的なメソッド」。Pvolveのエクササイズの多くは、伸ばす、回転する、曲げるといった日常的な動作を模倣している。例えば、実際に走っているようなイメージで後ろ足を蹴り上げるエクササイズ。箱を持ち上げる動作や、キッチンの高い棚にある瓶に手を伸ばす動作に似せたエクササイズもある。

4.Hyrox

クロスフィットのシンプルバージョンであるHyroxは国際的なフィットネスレースで、世界中から集まった参加者はみな1kmのランニングとファンクショナルエクササイズ1種類を計8回繰り返す。巨大なスタジアムの中で行われるため、雰囲気も独特。このレースには優れた心肺持久力と筋力、ある程度のモビリティが求められるので、体をバランスよく鍛えるのに適している。リスクの高い動作や高度なテクニックを要する動作は必要ない。

5.ターザン運動

動物と原始人から着想を得たターザン運動。木登りはもちろんのこと、四つん這いになって熊のように歩いてみたり、木の枝でプルアップをしてみたり。ターザン運動は体にいいだけでなく、人間が進化の過程で失った自然とのつながりを取り戻すうえでも役立つ。

6.ウォールピラティス

home workout handstand on the wall
Anna Mardo//Getty Images

TikTokを使っている人やフィットネスに少しでも興味がある人なら、“ウォールピラティス”という言葉を一度は聞いたことがあるはず。12-3-20ワークアウト、75ハード、75ソフトと同じように、ウォールピラティスはTikTokで拡散されて視聴回数は驚異の4260万回を記録している。ウォールピラティスは文字通り壁を使って行うピラティスで、壁はリフォーマーピラティスで抵抗性を出すために使われるフットバーの役割を果たすそう。

低価格・低衝撃であるにもかかわらず、ウォールピラティスにはリフォーマーピラティスと同様の効果があると言われている。でも、自宅でピラティスをするときと同じく、先生にフィードバックをもらったりアライメントを直してもらったりすることはできない。ウォールピラティスの効果を最大限に引き出すためには、正しいアラインメントで正確な動作をし、呼吸を上手に使いながら適切な筋肉を動かすことが大切。初心者の人は、もう少しサポートが必要になるかもしれない。

7.リフォーマーピラティス

リフォーマーピラティスの人気も冷めやらぬどころか高まる一方。

リフォーマーピラティスは、従来のピラティスの原則(中心、集中、コントロール、正確性、呼吸、流れ)を受け継いでいるけれど、マットの上ではなくリフォーマーというマシンの上で行われる。リフォーマーピラティスを続けていると筋力、柔軟性、バランスが向上するので、結果的に姿勢がよくなり、体の動きとメンタルヘルスが改善する。

2024年はテンポ/パワーピラティスや、ローイングと掛け合わせたローフォーマーのような新しいタイプのリフォーマー系ワークアウトが注目を浴びる予感。

8.エクササイズ・スナッキング

エクササイズ・スナッキングは間食感覚で1分ほどの短いエクササイズをすることで、一貫して行えば驚くような成果が出る。まずは、自分のスケジュールと好みに合ったエクササイズを選ぶことから始めよう。階段を上ったり廊下を2分間歩いたりするのはもちろん、空いている会議室のドアを閉めて、椅子スクワットやジャンピングジャックをするのもいい。立ち上がって体を動かすことなら、ほぼ何でもエクササイズ・スナッキングにカウントされる。

最近の研究により、エクササイズ・スナッキングは心肺機能と代謝機能というフィットネスの重要な構成要素にプラスの影響を与えることが分かっている。この2つの機能が改善すれば、2型糖尿病と心疾患のリスクが下がる。

9.サイクル・シンキング

menstrual cycle over the female hand contraception, pregnancy planning concept minimalistic collage
Lari Bat//Getty Images

サイクル・シンキングはワークアウトの内容を生理周期に合わせて調整することを指す言葉で、考え方としてはホルモン重視のワークアウトと類似している。女性アスリートやコーチ、この分野の研究者たちは、生理周期を通じたホルモンバランスの変化に伴い、運動パフォーマンスも変化するのであれば、それに合わせてトレーニングの内容を少しずつ変えればいいということに気付いた。活力が高い週はハードなトレーニングを行って、低い週はリカバリーに重点を置くというのも、サイクル・シンキングの一例である。

10.75ソフト

数年前に登場した75ソフトの人気は、いまだ衰えることを知らない(2024年に入ってからはグーグルの検索数が83%アップしている)。TikTokユーザーのスティーブン・ギャラガー(@StephenGFitness)が考案した75ソフトは4つのルールを基軸にしたチャレンジで、その名からも分かる通り、先発の75ハードよりはるかに易しい。4つのルールは:

  1. しっかり食べて、お酒は社交の場でしか飲まない。
  2. 1日45分のトレーニングを75日間継続する。週に1日はアクティブリカバリー。
  3. 1日3リットルの水を飲む。
  4. 好きな本を1日10ページ読む。
     

※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Nikolia Ilic Translation: Ai Igamoto

Headshot of 伊賀本 藍
伊賀本 藍
翻訳者

ウィメンズヘルス立ち上げ直後から翻訳者として活動。スキューバダイビングインストラクターの資格を持ち、「旅は人生」をモットーに今日も世界を飛び回る。最近は折りたたみ式ヨガマットが手放せない。現在アラビア語を勉強中。