イギリスのパブのカウンターにランニングシューズが置かれることはまずないけれど、今年の1月は例外だった。

アシックスは、ドライジャヌアリーの精神にのっとり、ロンドンのレキシントンパブでランニングシューズの無料配布を行った。これは、短期的にも長期的にも飲酒より運動を選んでほしいという同社の想いから、1月25日と26日の16時から18時に行われた限定イベント。ピカピカのランニングシューズが欲しい人はバーカウンターで「アシックスのDRY RUN」を頼むだけ。ただし、在庫限りの先着順。

アシックスは1月初旬~中旬に行ったアンケート調査の結果を受けて、このイベントの実施を決めた。このアンケートでは、対象となった英国在住の2000名のうち4分の1が2024年のドライジャヌアリーに挑戦したものの、4人に1人は開始から1週間以内に諦めていたことが分かった。

このイニシアティブにより、お酒を飲むより走ることで自分の気分をよくしようとする人が増えることが期待される。2022年に発表された研究結果も、たった20分でも運動すれば、お酒を飲んだとき以上に気分がよくなることを示している。

運動がメンタルヘルスに及ぼす影響に関する研究の第一人者で理学療法士のブレンドン・スタッブス教授も、この研究結果を支持している。「ドライジャヌアリーに、お酒を1~2杯飲んだときの“よい気分”が恋しくなっても大丈夫。運動すれば、お酒を飲んだときよりもよい気分になれますからね」とスタッブス教授。「科学的な研究により、適度な運動はエンドルフィン、ドーパミン、セロトニンの分泌量を増やすことが分かっています。たった20分でも運動すれば、アルコールを摂取したときに比べて気分が50%よくなるという研究結果もありますよ」

もちろん、この20分をきっかけに健康的なライフスタイルを築いてほしいというのが私たちの願い。そして、ランニングシューズをタダでもらった人には、1月が終わってもランニングを継続し、運動を習慣にしてほしい。

アシックスEMEAの代表取締役副社長ゲイリー・ローチャー氏は次のように述べている。「ドライジャヌアリーで新年に弾みをつけるのはいいですが、もっと長い目で健康的な習慣を築くことも大切です。アシックスは、スポーツと運動は体と心の両方によいという信念に基づいて設立されました。だから、私たちは『(もし神に祈るならば)健全な身体に健全な精神があれかしと祈る(べきだ)』(アシックス社HPより)を意味するラテン語のAnima Sana in Corpore Sanoの頭文字をとってAsicsーアシックスと呼ばれています」

実を言うと、アシックスはもともとバスケットボールシューズのメーカーだった。でも、いまはランニング界の中心的な存在として、高性能のカーボンプレート搭載シューズや普段使いのスタビリティシューズ、丈夫なトレイルシューズといった幅広い商品を展開している。

※この記事は、イギリス版『Runners World』から翻訳されました。

Text: Rachel Boswell Translation: Ai Igamoto

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Rachel Boswell
Senior Content Writer

Rachel is Runner's World UK's Senior Content Writer, covering all running-related topics from training advice and gear reviews to race reports and elite runner profiles. Formerly a Website Content Editor and Content Manager at London Marathon Events and The Running Channel respectively, Rachel is well-versed in the running scene and understands what it takes to put on some of the biggest running events in the world. A 2:50 marathoner, she would much rather run 26.2 miles than race a 5K and has currently completed 11 marathons, including five of the six Abbott World Marathon Majors in a sub-3 time. She now hopes to run the Tokyo Marathon to complete the set and become a Six Star Finisher.

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ウィメンズヘルス立ち上げ直後から翻訳者として活動。スキューバダイビングインストラクターの資格を持ち、「旅は人生」をモットーに今日も世界を飛び回る。最近は折りたたみ式ヨガマットが手放せない。現在アラビア語を勉強中。