サイクルパンツを履いて長い距離を自転車で走り、お尻を痛めることだけがサイクリングだと思っていない? サイクリングとはむしろ、心血管系の健康が向上し、日常のストレスを緩和でき、励まし合えるコミュニティ仲間に出会えること。でも正直、サイクリングによる恩恵はこれだけにとどまらない。屋内でフィットネスバイクを漕ごうと、屋外で自転車を走らせようと、このスポーツはペダルを踏む毎に心身の健康に多くのプラスをもたらしてくれる。

「サイクリングは、精神的、感情的、身体的なストレスや緊張を解してくれます」と話すのは、世界最大のインドアサイクリングスタジオ「Cyclebar」でトレーニング部門の責任者を務めるカレン・マクスウェル。「脂肪燃焼を促し、心臓の健康を向上させ、筋肉の持久力を高めるのに素晴らしいエクササイズで、体への負担も少ないんです」

自転車(室内用か屋外用)を手に入れるか、サイクリングのクラスに参加しさえすれば、あなたもすぐにサイクリングを始められ、自分のペースで持久力、筋力、体力を鍛えていくことができる。

ここからは、室内でペダルを漕ぐか、屋外でサドルに乗るかに関係なく、サイクリングをすることで得られる具体的なメリットをアメリカ版ウィメンズへルスから詳しくみていこう!

サイクリングのメリット13選

1. 体への負担が少なく、初心者に優しい

サイクリングは、関節や腱、靭帯に余分な圧力や強度を加えずにできる低負荷な運動。そのため、スポーツ医学誌『Current Sports Medicine Reports』によると、サイクリングは運動を始めたばかりの人や怪我をしている人、リハビリが必要な人、変形性関節症を患う人にとっても好ましいエクササイズ。とはいえ、なにか新しいことを始めるときは、必ず医師に相談してから行うように。「サイクリングはフィットネスのレベルに関係なく、誰もが取り組みやすい有酸素運動です」とマクスウェル。「ベテランのアスリートにもフィットネス初心者にも最適なスポーツですね」

2.  筋力がつく

「サイクリングはまさに全身ワークアウトです」とマクスウェル。「自転車にかける抵抗(屋内の場合)や坂の勾配(屋外の場合)次第で、筋肉や筋力をいくらでも鍛えることができます」。筋トレの効果を上げるには、抵抗や傾斜を加えて下半身の筋肉をしっかり鍛えるようにしよう。腕や体幹などの上半身の筋肉は、自転車に乗っている間のバランスと安定性を維持するために常に使われているんだそう。研究によると、屋内のフィットネスバイクは足の筋力(とバランス)を増強させることがわかっている。

3.  心臓の健康が向上する

サイクリングは有酸素運動とみなされており、その主なメリットは心臓や血管、肺を鍛えられること。なぜなら、米国スポーツ医学会(ACSM)によると、有酸素運動は大きな筋肉群を使う運動で、長い時間継続でき、一定のリズムやペースで行うことができるから。つまり、サイクリングをするたびにあなたは、心臓の健康改善に努めているということになる。

「サイクリングを習慣化することで、持久力もアップします。これにより、さらに長い時間、より体力を必要とする活動を継続して行えるようになるでしょう」と話すのは、オンラインフィットネス「Peloton」のインストラクターであり、認定パーソナルトレーナーのオリビア・アマート。

4.  新しい音楽に出会える

happy young woman with headphones and smartphone rides a bicycle in a sunny park listening to music
Maksym Belchenko//Getty Images

「Cyclebar」のような、屋内のサイクリングクラスで流れる元気いっぱいの音楽と、サイクリングをすることで放出されるエンドルフィンが組み合わさることで、瞬時に気分が高揚し始める。「たとえストレスでヘビーな気分でクラスに参加したとしても、帰る頃にはみんな心がかなり軽くなっているんですよ」とマクスウェル。国立国際医療研究センターによれば、音楽に合わせて汗をかくことで、スタミナまで増すみたい。

5.  CO2排出量が減る

サイクリングのスキルに自信がついてくると、用事や仕事の通勤がもはや面倒なことではなく、アドベンチャーのように楽しみになってくる。また、自転車通勤をする人々は、自転車に乗らない人よりもCO2排出量が84%少ないことが研究で示された。おまけにガソリン代まで節約できるから、いいことづくし!

6.  関節の健康が向上する

関節炎財団によると、サイクリングは関節にとって2つのことに有利になる。1つ目は繰り返し関節に負荷をかけることがない。2つ目は関節を守る膝や足首、脚の筋肉を強くすることができること。

7.  新しい友達付き合いができる

friends riding bicycles together
Morsa Images//Getty Images

長距離サイクリングは、誰かと一緒に行くほうがきっと楽しい時間になる。今では、気軽に参加できるサイクリングコミュニティもいっぱい。初心者向け、女性限定、ロードバイク、グラベルロードバイク、マウンテンバイクなど、自分にぴったりなグループを見つけることができる。人間は帰属意識が必要で、実際に米国疾病予防管理センターは、強い社会的なつながりが心臓疾患や脳卒中、認知症、うつ病、不安障害のリスクを減少させると表明している。

社会的なつながりを持つことは、ヘルシーな習慣や運動を確立するのに役立ち、睡眠の質まで改善する。「誰かと一緒に運動やサイクリングをすることで、運動によりコミットできるようになりますし、同じ志を持つ仲間たちとの関係を築くことができます」とマクスウェル。「Cyclebar」のような屋内のサイクリングスタジオでも、屋外で一緒に走る仲間を見つけることは簡単。

8.  外で過ごす時間が増える

息抜きに自転車に乗るくらいの程度であっても、外に出て新鮮な空気を吸うことによってたくさんのメリットを得られる。環境科学誌『Environmental Research』に掲載された研究によると、自然環境に身を置くことは、コルチゾール(厄介なストレスホルモン)が減少するだけでなく、血圧や心拍数、コレステロール値の低下にもつながるとのこと。

9.  快感ホルモンが分泌される

髪を風になびかせながら自転車で坂を下る瞬間は、心臓が高鳴るほどウキウキする体験になる。上り坂ではちょっと自分を追い込んで、下り坂では思いきり楽しむこと。新しいチャレンジをする準備ができた人は、さらに多くの機能を兼ね備えたマウンテンバイクを試すといいかも。違った景色を眺められるし、新しいスキルも習得できる。アマートいわく、サイクリングをした後で放出されるエンドルフィンは、ワクワク感と心の健康にプラスに作用する。「サイクリングはストレスを和らげ、気分や自尊心が高まり、今この瞬間に自分のために取り組んでいるアクティビティに意識を集中させることによってマインドフルネスを実践できるので、精神的な幸福感が向上するのです」

10.  ダイエットに有効

欧州肥満学会誌『European Journal of Obesity』に掲載された2018年の研究によると、サイクリングを週に一時間半以上行った参加者は、まったくしなかった参加者に比べて体重が少ないことがわかった。サイクリングをする時間をさらに増やすと? 研究によると、サイクリングをする時間が長いほど、腹囲と体脂肪率が低いという結果が示されている。アマートいわく、サイクリングは時間に余裕がない人にもオススメな効率のいいワークアウト。「10〜15分という短い時間でトレーニングができるHIITエアロバイクは、多忙な生活を送っている人たちに有益なエクササイズです」

11.  性生活がよくなる

passionate couple is having sex on bed
Witthaya Prasongsin//Getty Images

これは本当! 研究によれば、アクティブに体を動かすほど性生活が向上し、サイクリングも例外ではない。ある研究では、固定式バイクを20分漕いだ女性たちは、まったく運動をしていない女性たちよりも性的興奮が高まったと報告している。

12.  効果的なクロス・トレーニングができる

「サイクリングのすごいところは、持久力を強化できることだけではありません。室内サイクリングはHIITワークアウトとして有効に機能し、有酸素能力を高め、筋肉の成長を促すことができ、脂肪燃焼酵素やホルモンの生産を刺激します」とマクスウェル。だからこそ、普段のランニングや筋トレのルーティンから少し離れたくなったときは、サイクリングをするのがオススメなんだそう。

13.  病気のリスクが減る

サイクリングをすることと、さまざまな疾患の発症リスクが低下することを、数多くの研究が結びつけている。2017年の研究では、定期的に自転車で通勤することで、心血管疾患、がん、早期死亡リスクの低下につながることが示された。

さらにデンマークの成人を対象に行った2016年の研究によると、通勤と運動のためのサイクリングは、2型糖尿病のリスクの低減に一貫して関連付けられた。ノースカロライナ大学の研究では、週5日、30分サイクリングを楽しんでいる人の病欠日が、座って過ごしている人の約半分であることが判明。最後に、スポーツ医学誌『Sports Medicine』で発表された研究によると、定期的に自転車で移動をしている人は、健康で長生きすると結論付けられている。
 
※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: MATTIE SCHULER Translation : Yukie Kawabata

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川畑 幸絵
翻訳者

短大卒業後バンクーバー、メルボルンで2年留学した後、外資系客室乗務員として勤務。2018年に退職後、翻訳者としてフリーランスに転身。アメリカで統合栄養学を学んだ経験もあり。