最近では、アディダスの「サンバ」がストリートスタイルの頂点に君臨し続け、オニツカタイガーの「メキシコ66」も同じく人気を博している。過去2年間のスニーカートレンドは、一流セレブからファッション業界の内外の人たちまで、あらゆる人が履いているひとつのモデルに集約されてきた(筆者の住む街では2022年以降、サンバを履いている人を毎日少なくとも3人は見かけた)。新たな“Itスニーカー”の発表はファッション界のビッグイベントであり、私たちは毎シーズンそれを心待ちにしている。しかし一足のスニーカーが何年も王座に君臨している今こそ、パーソナルスタイルを生み出すゆとりを持ちたい。

2024年の最大のスニーカートレンドは、より幅広い解釈やパーソナルスタイルが生まれることと予測されている。つまり、誰もが履いているような特定のモデルではなく、より大きなテーマをスニーカーという形で表現するということ。ランウェイで見られたメタリックカラーは、シャイニーなアクセントやフューチャリスティックな配色で登場する。また、2024年にパリで開催されるオリンピックの影響で、各ブランドは陸上トラックでも使えるチャンキーなランニングシューズを取り揃え、2023年に台頭したガーリーなトレンドは、リボンやフリルで飾られたシューズに姿を変えている。

ここでは、2024年のフットウェアを決定づける5つのスニーカートレンドをお届け。このなかから、次なる“Itスニーカー”が登場するかもしれない。


1)ガールフッド2.0

cecilie bahnsen runway paris fashion week womenswear fall winter 2023 2024
Kristy Sparow//Getty Images

リボンのトレンドは、2024年も引き続き健在。実際に今年も、ヘアクリップやヘアバンド、スニーカーに至るまで、幅広いアイテムにリボンが採用されている。ここ数カ月で大きな話題を呼んだのは、アシックス×シュシュトングと、アシックス×セシリー・バンセンのコラボモデルで、チャンキーなアスレチックスニーカーに、前者はギンガムチェックのフリル、後者はビーズで作った小さな花柄のモチーフをあしらっている。

シモーネ・ロシャなどのデザイナーは、バレエシューズから着想を得たシェイプやクロスさせたリボンで、ブランドのロマンティックな特徴をさらに強調した。トレンドサイクルに左右されることなく、自分のインナーチャイルドを表現してみよう。

2)パンプアップ

balenciaga fall 24 runway show
Taylor Hill//Getty Images

バレンシアガの影響もあり、2024年は超ボリューミーなスニーカーで大きな一歩を踏み出す年となりそう。ラグジュアリーファッションの通販サイト、イタリストのCEOであるディエゴ・アバは「デムナ・ヴァザリア(バレンシアガのクリエイティブ・ディレクター)の先駆的な努力の賜物であるチャンキースニーカーの人気は、今後も続いていくでしょう」「バレンシアガは実際、このトレンドを強化し、2024年春夏コレクションで発表したスニーカー『3XL』のように、シーズンを追うごとによりチャンキーなスタイルを提案しています」と語る。

3)アスリートスタイル

2024年のスニーカー情勢は?攻略すべき5大トレンドキーワード
Valentina Valdinoci

一流のアスリートではなくても、2024年に登場する陸上トラック用のスニーカーを履くことはできる。そして、少しY2Kっぽさのあるアスレチックスニーカーは、パリオリンピックを目前に控えているいまだからこそ見直す価値がある。

このタイプのスニーカーは、衝撃吸収性、サポート性、耐久性に優れているので、何キロメートルでも履き続けることができ、チャンキーなデザインであれば、カジュアルな着こなしにスポーティな要素を加えることもできる。運動をしない人は、北欧風スタイルに切り替えて、ふんわりとしたドレスやコートと合わせるのがおすすめ。または、ワークアウトのトップ&ボトムセットで、オフの日のオリンピック選手のようなスタイルを楽しむのもいい。

4)レトロ

miu miu ready to wear spring 2024 runway
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2023年の最大のコラボレーションのひとつは、スニーカー市場に永続的な影響を与えた。アバは、「アディダスの『サンバ』とウェールズ ボナーのコラボレーションの影響で、薄底でレトロなスタイルのスニーカーが復活を遂げています」と話す。これらのスニーカーは、チャンキースニーカーと同様のサポート力や履き心地の良さを備えているだけでなく、ノスタルジックなオーラも放っている。

デザイナーたちもこのルックに傾倒しており、アバは「同様のスタイルが、ドリス ヴァン ノッテン、ボッテガ・ヴェネタ、フェラガモ、エムエム6 メゾン マルジェラの春夏のランウェイにも登場しました」と付け加える。ミュウミュウのランウェイには、ニューバランスとデザインしたローカットスニーカーが数シーズン連続で登場した。

5)メタリック

street style paris fashion week womenswear springsummer 2024 day three
Edward Berthelot//Getty Images

このトレンドは、ビヨンセのワールドツアー『ルネッサンス』の次なる章の前兆かもしれないし、夏に開催されるオリンピックの影響によるものかもしれない。フットウェアブランドは、メタリックな要素をふんだんに盛り込んだシルバーのスニーカーを次々と打ち出している。前述したアディダスの「サンバ」×ウェールズ ボナーのレアな一足だけが、このルックを解釈する唯一の方法ではない。グッチ、ゴールデン グース、クロエも、光に反射して輝くレザーのスニーカーを発表しており、履くだけで讃えられているような気分になる。

From Harper’s BAZAAR.com

From: Harper's BAZAAR JP
Lettermark
Halie LeSavage
Fashion Commerce Editor

Halie LeSavage is the fashion commerce editor at Harper's BAZAAR. Her style reporting covers everything from reviewing the best designer products to profiling emerging brands and designers. Previously, she was the founding retail writer at Morning Brew and a fashion associate at Glamour.

Headshot of Masayo Fukaya

大学卒業後、広告代理店や出版社での勤務を経て渡英。現地のメディア関連会社で勤務した後、アフリカ6カ国を陸路で縦断。帰国後はデザイン/カルチャー雑誌『+81』の編集部に所属し、出産を機にフリーへ転身。一男一女を育てながら、ファッション、デザイン、アート、旅行などの分野で翻訳、執筆を行っている。愛知県東海市出身。