高校を卒業してから一度も走ったことがない。ランニングをしてみたことはあるけれど続かなかった。でも、趣味や健康、個人的なチャレンジや大会のために、もう一度走ってみたいと思っているなら、これだけは覚えておいて。目的に関わらず、ランニングは無理なく始めて少しずつレベルを上げていくべきスポーツ。体をランニングに慣れさせるには、この方法が絶対ベスト。逆に急ぐと、痛みや疲れに苦しんでは失望しての繰り返しになってしまう。

ランニングは誰にでもできるスポーツ

ランニングでは目的地のことだけ考えず、そこに辿り着くまでの旅路を楽しむことが大切。そうすれば視野が広がり、努力によって得られるものがフィットな体だけじゃないことに気付くはず。

ランニングからは、新しいことに挑戦するための自信、困難を乗り越えるための強さ、日常的なストレスからの解放感、大きなコミュニティへの帰属感も得られる。

以下で紹介するのは、ウォーキングとランニングを掛け合わせた8週間のプログラム。最初はたったの60秒かもしれないけれど、最後には30分ノンストップで走れるようになる。必要なのは、時間をはかるための時計かスマホとランニングシューズだけ。もちろん、30分続けて走れるようにならなかったというだけで失敗したことにはならない

私たちは1人ひとり違うので、8週間も絶たないうちから30分走れるようになる人もいれば、もう少し時間がかかる人もいる。いずれにせよ、諦めなければいつか目的地に着けるので、辛抱強く頑張ろう。

トレーニングプランの仕組み

young jogger running
Johner Images//Getty Images

基本となるセッションは週に3回(セッション1~3)で、セッション4はオプション。あらかじめ曜日を決めておく必要はないけれど、2日連続で走るよりは1日空けたほうがいい。

各セッションの最初の5分はブリスクウォーキング。これで筋肉を温めて心拍・呼吸を速めると、ランニング中の筋肉に酸素が届きやすくなる。ちょっとした動きを足して、筋肉や関節をほぐすのも◎。ヒザを片方ずつ胸の高さに上げたり、お尻をかかとで軽く蹴ったり、肩を回したり、つま先で歩いたりしてみよう。各セッションの最後の数分もウォーキングに充てられているけれど、今度はゆっくり。これは息が上がり血液が全身を駆け巡っている状態で急に足を止めるのではなく、体を徐々に“安静時”の状態に戻すため。

ランニング(もしくはジョギング)に入ったら、いきなりダッシュをするのではなく、所定の時間、無理なく走り続けられるペースを見つけて。走ってから一度止まって息を整えないとブリスクウォーキングに入れないのは、ペースが速すぎる証拠。ランニングの最中に息が上がるのはいいけれど、一定のリズムを失ったり、コントロールが効かないくらい荒くなったりするときはペースを落とす必要がある。

ペースを少し上げる必要が出てくるのは、5週目で“ストライド”が登場してから。ストライドは、ダッシュとまではいかない速いペースで15~30秒走るエクササイズ。大事なのは、リラックスした状態で適切な姿勢を保ちながら速く走ること。ストライドを終えてスタート地点に戻ったら、次のストライドをする前に少し休んで。ストライドでは、所定の回数をクタクタではなくエネルギーに満ちた感じで終わらせることが大切。

最初の数セッションを終え、この“新しい”チャレンジに体が十分慣れるまでは少し痛みを感じるかもしれないけれど、1~2日で治まるので大丈夫。でも、かかとやヒザといった特定の部位が痛む場合や2~3日経っても痛みが引かない場合は、落ち着くまでウォーキングに徹しよう。念のため医師や理学療法士に診てもらうのも、もちろんOK。

このプログラムでは、ランニングに必要な筋肉を鍛えて運動効率を高めるための筋トレも推奨される。週2回、それぞれ15分程度の筋トレは、ケガのリスクを下げるだけでなく、ランニングに適した体づくりの一環になる。このプログラムでは筋トレが走る日に組み込まれているけれど、他の日に回したければそれでもいい。

セッションを逃したときは1日ずらすかスキップするか。これは自分の進捗状況やセッション間の伸びを考慮して決めてほしい。1週間以上間が空いてしまった場合は、最後のセッションか1週間前のセッションに戻って、もう一度体を慣らそう。

plan

このプランが終わったら?

まずは、おめでとう! そして自分に誇りを持って。ここからは無理のない範囲内で、セッション3の時間を数分ずつ増やして持久力を付けていこう。

とはいえ毎週必ず増やす必要はないし、このプランでは距離に重点が置かれているので、ペースは気にしなくていい。ランナーとして進歩する上で、これほど大事なことはない。

スピードを強化したいときは、ストライドの時間を15秒から20~30秒に、回数を4回から5~6回に増やしてみよう。そうすれば体が速いペースで走ることに慣れてくるし、そのうちすることになるであろうスピード練習の準備にもなる。別の方法で自分に新しいチャレンジを課したいときは、「走れるだけ走って必要なだけ歩く」というワークアウトをオプションで追加してみて。

この8週間で養った筋力は週1ペースの筋トレで維持できる。もっと筋力を付けたい人は週2ペースで続けよう。

これで最後になるけれど、可能なら是非5キロマラソンやパークランに参加してみて。明確な目標を立てるとモチベーションが高まって、そこからの伸び幅が大きくなる。このようなイベントには、地元のランニングコミュニティとの交流が深まるというメリットも。
 
※この記事は、イギリス版『Runners World』から翻訳されました。

Text: Sam Murphy Translation: Ai Igamoto

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伊賀本 藍
翻訳者

ウィメンズヘルス立ち上げ直後から翻訳者として活動。スキューバダイビングインストラクターの資格を持ち、「旅は人生」をモットーに今日も世界を飛び回る。最近は折りたたみ式ヨガマットが手放せない。現在アラビア語を勉強中。