「おなかの脂肪の落とし方」で検索してここにたどり着いた人、それで悩んでいるのはあなただけじゃない。実は、頑固なおなかの脂肪(そしてなかなか落ちない下腹部の脂肪)は、多くの人の悩みの種。イギリス版ウィメンズヘルスが行った調査では、イギリスの女性の77%がスリムになりたいと答え、43%がパートナーの前で裸になったときにおなかが出ていることが最大の不安要素だと答えている。特に、このご時世、日常での運動が著しく減る中、運動不足を気にしている人も多いはず。今回はイギリス版ウィメンズヘルスより、おなかの脂肪の落とし方についてご紹介。

注意:このガイドは、「1週間でおなかの脂肪を落とすにはどうしたらいいか」という問いに答えるものではない。長期的な成果は、健康的な習慣とライフスタイルを変えた結果として現れるもの。無理なダイエットの多くはリバウンドや感情的なアップダウンに振り回されることになり、時として回復には数カ月から数年かかることもある。

目次

おなかの脂肪とは?

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Witsanu Thangsombat / EyeEm//Getty Images


脂肪の撃退法に入る前に、まずはおなかの脂肪について解説しよう。敵を知ることが最初のステップ。
おなか、あるいは腹部の脂肪は、腰の周りにある皮下脂肪で、エネルギーを蓄えたり内臓を保護したり温めたりする。Everyone Active Becontree Leisure Centreのパーソナルトレーナー兼栄養士のタリック・ベラリジ氏は説明する。
「皮膚の下にある少量の脂肪は正常で健康的なものですが、内臓を取り囲む内臓脂肪はもっとも危険なタイプの脂肪であり、心臓発作や糖尿病の原因となります」
では、危険なタイプの脂肪かどうかはどうやってわかるのだろうか。「過剰な内臓脂肪は、胃を内側から押し出す“ビール腹”の原因となります」とベラリジ氏はいう。

体脂肪はどのくらい必要?

脂肪細胞にはエストロゲンが蓄えられているため、脂肪が少なすぎるとホルモン機能全体のバランスが崩れ、生理不順や不妊症などの深刻な健康問題を引き起こす可能性がある。
なので、腹筋が浮き上がった状態や、シックスパックを目指すのはほとんどの人にとっては健康的ではない。そのかわり、体脂肪率が21~30%の範囲内に収まることを目指そう。これが、女性の健康的な体脂肪の範囲と考えられている。
でもこれに当てはまらない場合、ボディーバランスを改善するためにはどのようなステップを踏めばいいのか。そこでもっとも重要なのは健康状態を改善することという。

1週目:簡単な4つのことを取り入れよう

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Yulia Naumenko//Getty Images

最初にやるべきことが、カロリーを減らしたり、自宅でハードなHIITワークアウトをしたりすることではないというのは、意外に思われるかもしれない。でも、おなかの脂肪を落とすためにはもっと重要なことがある。そして、それをやらないと始める前から挫折してしまう可能性も。

①ストレスを解消する

栄養士でダイエットの資格を持つトム・アーヴィング氏は、「ストレスは進化の過程で得た私たちが生きていくために必要な反応かもしれませんが、頻繁かつ継続的にストレスがあるとコルチゾールレベルが上昇し、炎症を起こすだけでなく、抗脂肪分解(脂肪の燃焼を妨げる)作用もあります」という。
なぜ? 栄養士でNHSダイエットマネージャーのキャサリン・ラベス氏によると、人間は極度にストレスがかかった状態になると、身体は困難な状況に備えるためにブドウ糖を血液中に放出するそう。

「アドレナリンが切れると、血糖値レベルが下がり、脳は空腹と食欲増進の信号を送るようになります。甘いものが欲しくなることもあります。これは正常なことです」
つまり、このようにストレスがかかるような状態は、衝動的に食べる、十分な睡眠をとらない、食事を抜く、すぐに手に入るファーストフードを食べる、運動不足になるなどの不健康な習慣に関連することが多く、どれも体重増加につながるのだとか。
さらに、1年以上もストレスがかかるような日々が続くと、体脂肪を減らすのが難しくなる。
そうならないためにも。睡眠や栄養などをコントロールし、ストレスをできる限り管理する必要がある。そして、体脂肪を落とすことが今の優先事項ではないことを自分に言い聞かせよう。

②よく眠る

良質な睡眠の力も侮ってはいけない。睡眠が効くのは目の下のクマだけではないのだ。リーズ大学によると、1日6時間以上の睡眠をとっている成人は、ウエスト周りのサイズが3cm細くなるそう。
きちんと夕食を食べていつもより早くベッドに入って、「睡眠不足でおなかの脂肪が減らない!」なんてことがないようにしよう。

③外に出る

Origym PTのルーク・ヒューズ氏によると、日光に当たっていないとおなかの脂肪が増えてしまうそう。実際、欧州内分泌学会の年次総会で発表された調査結果によると、女性の場合、総脂肪と腹囲の両方がビタミンDの低下と関連していることが明らかになった。
ビタミンDは、日光以外にも、食品やサプリメントから摂取することができる。外で過ごす時間をどうやって確保したらよいかわからないという人は、1カ月間のウォーキング計画や、4週間のランニングで30分間快適に走れるようになることを目指してみて。

④脂肪は毎日チェックしない

体重計で筋肉量は計れないことを忘れずに。自分の進歩を確認するには写真を撮るのが一番だとベラリジ氏はいう。朝、同じ照明の下で写真を撮り、1週間ごとに体形を比べてみよう。毎日鏡でおなかをチェックするだけでは、何の変化も感じられず、がっかりしてしまう。
もし数字で判断したい場合は、デジタルのスマート体重計を購入して、週に1回だけ体重を測るように。

2週目:食事に気を付けよう

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Natalia Gdovskaia / EyeEm//Getty Images


おなかの脂肪を落とすには、まず食事に気をつけるのが一番だとベラリジ氏はいう。体脂肪を減らす唯一の方法は、カロリーの収支がマイナスになること。つまり、消費するカロリーよりも食べるカロリーが少ないこと。これは、食事療法や運動療法で実現できる。でもそのためには、しばらくワインやチョコアイスはお休みしよう。
大量のカロリーを摂取すると、体はその一部を生命維持のために働く機能システム(脳、筋肉、内臓など)に割り当てるとベラリジ氏はいう。「またカロリーは、エネルギー貯蔵庫を満たすためにも使われます。余った分は体中の脂肪細胞に蓄えられますが、典型的なのはおなかの脂肪細胞です」
健康的な食事をしたいけれど、財布が気になる......。そんな時は安くてヘルシーなスナックをストックしておこう。家の中にヘルシーな食べ物があれば、空腹時に甘いものを食べてしまう可能性は低くなる。

⑤おなかの脂肪を落とす食べものを摂り入れる

「おなかの脂肪を落とすのに万能な方法はありません」とラベス氏はいう。一番よいのは、小さな行動を変えること。そして、自分が続けられるものを見つけること。最初のアドバイスとしては、糖分の多い食べ物や飲み物、スナックを減らしたりアルコールを制限したりしよう。
ベラリジ氏は、「栄養価の高い野菜、タンパク質、ヘルシーで加工されていない炭水化物を中心とした食事をおすすめします。まずは、ほうれん草、ケール、コラードグリーンなどの葉物野菜をベースにニンジン、ブロッコリー、エンドウ豆などを取り入れましょう」
七面鳥や鶏肉などの脂肪分の少ない肉は、低脂肪でカロリーが低いので理想的。ベジタリアンやビーガンの方は、豆腐や、松の実、カシューナッツ、アーモンドなどのナッツ類、種子類(ひまわり、ごま、かぼちゃ)などがおすすめという。炭水化物では、米、キヌア、ジャガイモ。

⑥おなかの脂肪を落としたいなら、4つの食品を制限する

・加工食品:カロリー、炭水化物、脂肪、糖分が豊富な加工食品は、基本的におなかの脂肪を誘発する組み合わせ。一般的に、栄養的には満足できないものの、気分をあげるには有効なので、ついつい食べすぎてしまう。

・アルコール:1gあたり7kcalと聞くとたいしたカロリーではないように思えるかもしれないが、ジントニックを1、2杯飲めばすぐにカロリーは増えてしまう。さらに、アルコールの分解が優先され、グリコーゲンがすぐに補給され、残りは脂肪として蓄積されてしまう。

・炎症を起こす食べ物:砂糖や体に合わないものを食べると、胃が荒れて体がパニック状態になり、その安全作用として脂肪が蓄積される。

・ソースやドレッシング:余計なカロリーをソースやドレッシングで取らずに、カロリーのないハーブやスパイスを使って、料理に風味をつけよう。

おなかの脂肪を落とすために必要なカロリーはどのくらい?
本当に必要なカロリーと食べ物を知りたい場合は、3大栄養素を計算する方法も。
これは、タンパク質、脂質、炭水化物の栄養素を適切に摂取するためのダイエット手法。各栄養素の摂取量を正しく調整することで、脂肪燃焼を最適化し、健康的な食事の効果を最大限に発揮できるようにできる。さらに、脂肪を減らすためには最適な栄養素がどれくらいか計算することで、従来のカロリー計算よりも効果を長く出すことができる。
もちろん、すべての人に当てはまるわけではないけれど、なにから始めればよいのかわからない場合には参考になるのでは。

3週目:おなかの脂肪のための腹筋運動は不要

determined young women jumping while exercising at park against sky
The Good Brigade//Getty Images

毎日腹筋運動をすれば、芸能人のような腹筋が手に入ると思っていない? それは考え直した方がいいかも。「腹筋運動は腹筋やコアの筋肉を鍛えるのに役立ちますが、それだけではカロリーを消費するのに十分ではありません」とヒューズ氏はいう。

⑦自重ワークアウトにトライしよう

代わりに、ヒューズ氏がおなかの脂肪を落とすためのベストな方法としておすすめするのは、高強度で行われる自重またはフリーウエイトのワークアウト。限られた時間の中でカロリーを消費し、筋肉を増やすことで体脂肪を燃焼させることができるという。
ただし、HIITのやりすぎは、体内のストレスホルモンであるコルチゾールを増加させてしまうので注意が必要。やるのは週に3〜4回を目安にして、体を十分に回復させよう。「このような有酸素運動でカロリーを消費すると、特に消費カロリーの方が多いときにおなかの脂肪が燃えやすくなります。スタージャンプやマウンテンクライマーをワークアウトに加えてみてください」とヒューズ氏はいう。

脂肪を燃やしたい時はどのくらい運動するべき?
ベラリジ氏は、30分のセッションを週に3回行うことを提案している。
「おなかの脂肪が減り始めると、身体全体の脂肪の減りは遅くなるので、運動の強度や時間を増やさなければなりません」とベラリジ氏はいう。ヒューズ氏もこれと同意見。
「改善し続けながらおなかの脂肪を減らすには、毎週トレーニングの強度を少しずつ上げていくこと。ワークアウトの強度や負荷を段階的に上げていけばすぐに効果を実感できるでしょう」

4週目:おなかの脂肪の根本的な原因について学ぶ

woman holding small dumbbells at gym
Cavan Images//Getty Images

40歳以上の女性にとっておなかの脂肪を自然に減らすのは、昔よりずっと難しくなっているかもしれない。ここで、「ソマトポーズ」という新しい言葉を紹介しよう。これは、成長ホルモンであるソマトトロピンが減少しはじめる時期のことで、40代になるとやってくる。
エストロゲンやプロゲステロンの減少とあいまって、脂肪がお尻や太ももではなく、おなかにつくようになる。しかし、この時期にHIITワークアウトに励む必要はない。Fit Hutの創設者でパーソナルトレーナーのケイト・ロウハム氏は、年齢を重ねても代謝を支える筋肉組織を作るために、ダンベルなどを使ったレジスタンストレーニングを中心に行うことをアドバイスしている。
「脂肪を局所的に減らすことはできません。健康的な減量を目指すのであれば、筋肉をつけて体重を増やすことが、もっとも持続可能な方法です」とロウハム氏は話す。

⑧筋肉をつけておなかの脂肪を落とすワークアウトを試してみよう

まずは、初心者でも簡単にできるジムでのワークアウトを試してみて。もし、レジスタンストレーニングが初めてなら、まずはサーキットトレーニングに挑戦してみよう。脂肪を燃焼させ、筋肉の耐久性を高めてくれる。また、初心者のための筋力トレーニングもスタートとしておすすめ。
上記の方法をすべて実践したのに、おなかの脂肪が思うように減らないという方。それは、腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが悪いからかも。ワシントン大学の研究者によると、腹部の脂肪を含む肥満の人は、ファーミキューテス菌の数が多い傾向にあるのだとか。この菌が食べ物からより多くのカロリーを吸収するというのだ。信じられない? でも、あなたのおなかの脂肪について、便が教えてくれることもあるのだ。

※この記事はイギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Morgan Fargo Translation: Noriko Yanagisawa