強固な体幹という言葉を聞くと、シックスパックで有名なセレブリティや、体操競技さながらの方法で得た腹筋での女性など、心の中で誰か思い当たる人を想像するかもしれない。でも、強固な体幹(そしてその重要性)は、まるで洗濯板のような腹筋よりも、実際もっと深い所にある。

「全ての体幹筋は異なる方向への動きを可能にし、脊椎を支え、内臓を正しい位置にキープします」と話すのは、トレーニングアプリTone & Sculptのトレーナーであり、認定パーソナルトレーナーのダニエル・ウィルソン氏。「全ての体幹の筋肉が強固で、かつ一体となって機能する時、バランスや安定性と合わせて、機能的パフォーマンスが改善します」事実、ホッケー選手からランナーまで、あらゆるタイプのアスリートが、体幹トレーニングによってパフォーマンスが上がっているという研究があるそう。

強固な体幹は、潜在的にケガも予防する。更に、『the Journal of Physical Therapy Science』に掲載された調査によると、現在ケガの治療中の場合は、一定の体幹トレーニングが(定期的の全身筋トレと合わせて)、腰痛を和らげる事が判明している。

また、見た目でもわかる腹筋は、強固な体幹の象徴のように思うかもしれないけれど、表面には見えていなくても、その下にある重要な筋肉はたくさんある。腹筋の構造をより深く理解し、全ての体幹筋をできる限り強固に保つ正しい方法を、アメリカ版ウィメンズヘルスから紹介しよう。

体幹にある5つの主な筋肉群

「体幹はとてもたくさんの腹筋によって構成されています」とウィルソン氏。5つの筋肉群は、異なる方向へ体を動かしたり、脊椎を支え安定させるために一体となって機能し、内臓をあるべき場所に維持させるという。それぞれ、ざっと見ていこう。

1.腹直筋

場所:腹筋セクションの前方(別名:シックスパック)
機能:前方にかかんだり、背中を丸めるサポート

2.腹横筋

場所:腹直筋の下
機能:腹部をしっかりサポートし、へそを脊椎に引き寄せる(インナーコルセットのような働き)

3.外斜筋と内斜筋
場所:胴体側部
機能:左右にねじったり、曲げるサポート

4.多裂筋
場所:体幹の後方奥
機能:動作する時に脊椎を安定させる

5.脊柱起立筋
場所:仙骨(尾骨の終わりから臀部の間にある三角形の形をした骨)背部から始まる脊椎側部分
機能:前方や後方に曲げたポジションから直立させる

これらの主要な筋肉に加えて、横隔膜、骨盤底、広背筋(背中の大きい筋肉)、僧帽筋(首の後ろと肩)、大臀筋(最も大きなお尻の筋肉)もまた、体幹を構成していると、ウィルソン氏は説明する。けれども、これらは基本的に上記の5つの主要な筋肉群をサポートする役割だそう。

体幹筋はどのように一体となって機能する?

それぞれの筋肉が胴体を直立させるために、独自の役割を果たす一方で、そこには1つの共通したゴールがあるという。ウィルソン氏いわく、それは脊椎に過度な負荷をかけないようにし、あらゆる方向へ体全体を通して動きを伝達する事だそう。

「もろい体幹だと、運動パターンも弱くなります」と彼女は説明する。「強固な体幹は運動パターンの質の向上をもたらし、ケガも予防します」基本的に、強くてバランスのとれた体幹はどんなエクササイズをするにも必須だという。

実際、アメリカンエクササイズ協会(ACE)および全米スポーツ医学協会(NASM)の両者は、新しいトレーニングプログラムを始める時は、その前に体幹の安定性や強度のテストやトレーニングの実行を推奨している。

エクササイズで体幹を強化しよう

巷では、さまざまなやり方で異なる体幹筋に働きかけるエクササイズが多くあるが、ウィルソン氏は体幹を強化させるためにより包括的なアプローチを好む。

「私は腹筋運動や、お尻トレーニング、ロシアンツイストのようなエクササイズより、「アンチ」ムーブメントを優先させます」とウィルソン氏。「体幹は動きを作り出すのではなく、動きに抵抗するようにできています」

ウィルソン・スタイルで体幹を強化したいなら、フォーカスすべき3つの主な動きがある。

  • 伸ばさない(前方や後方に体をアーチ状に曲げない)
  • 回転させない(ねじらない)
  • 側方湾曲しない(横に曲がらない)

「これらのやらない動きをマスターすると、強固で安定した基盤ができ、他のエクササイズでもより効果を発揮したり、頭からつま先までより効果的にパワーやエネルギーを送れるようになるでしょう」とウィルソン氏。

次からは、上記3つについて更に知っておくべき事と、それぞれマスターすべきエクササイズ法をご紹介!

1.伸ばさない

目標:脊椎を伸ばしたり曲げたりしない
最適なエクササイズ:プランク、デッドバグ

プランク

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やり方:つま先を立てて、マットにヒザをつけてかかとにお尻を乗せる。手で前方に歩き、お尻の下にヒザ、肩の下に手首がくるようにしてよつんばいのポーズになる。ヒザを持ち上げ、かかとから頭まで直線になるようにする。腹筋を使いお尻を落とさないようにする。

効果的な回数とセット数:15秒から30秒のように、少しずつ時間を増やす。鍛えられてきたら、1-2分に挑戦。トータルで3-5ラウンド行う。

デッドバグ

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やり方:あおむけになり、腕を天井へ真っすぐに伸ばし、脚を90度に曲げる。(ヒザはお尻の上にくる)床に腰をつけ、腹筋を使い右脚を伸ばしながら、かかとが床につきそうになるまで降ろすと同時に、左腕を手が頭の上の床に着きそうになるまで降ろす。止まって、元に戻した後反対も同様に行う。これで1回。

効果的な回数とセット数:30-60秒行い、15-30秒休憩。トータルで3-5ラウンド行う。

2.回転しない

目標:脊椎を左右にねじらない
最適なエクササイズ:バードドッグ、シングルレッグ グルートブリッジ

バードドッグ

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やり方:手を肩の下にまっすぐに、ヒザはお尻の下に置きよつんばいの状態からスタート。胴体を動かさず、体幹を使って、同時に右腕を体の前へまっすぐ伸ばし、左脚を体の後ろへまっすぐ伸ばす。その後、胴体の下で、右手で左ヒザをタッチする。反対側も同様に行う。これで1回。

効果的な回数とセット数:片方ずつ30-60秒行った後、15-30秒休憩。トータルで3-5ラウンド行う。

シングルレッグ グルートブリッジ

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やり方:あおむけになりヒザを曲げ、足を肩幅に開き、お尻から30-40cm離す。右脚を天井にまっすぐ上げ、足首を曲げる。背中の上の部分を床につけたまま、お尻を使い、お尻を持ち上げ、ヒザ、お尻、肩が一直線なるようにする。その間ずっと体幹を意識。上まで来たら止まり、1-2秒お尻にぎゅっと力を入れる。その後腰から降ろす。これで1回。脚をスイッチする前に左脚の回数を終わらせる。

効果的な回数とセット数:加重しない場合は、片方15-20回を3セットを目指す。もし加重するなら、10-12回が目安。各セット後は、15-30秒休憩。トータルで3-5ラウンド行う。

3.側方湾曲しない

目標:脊椎を左右に曲げない
最適なエクササイズ:サイドプランク

サイドプランク

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やり方:横向きに寝て、前腕を床に平らにしておき、ヒジを肩の真下に来るように置く。両脚は長い線上になるように外へ伸ばす。足は安定するためにずらしておいてもいいし、もっとチャレンジしたい人は重ねておいても〇。体幹を使い、マットからお尻を持ち上げ、頭から足まで一直線になるようにする。床についていない手はお尻の上に置いてもいいし、天井に向かって伸ばしてもいい。

効果的な回数とセット数:15秒から30秒のように、少しずつ時間を増やす。鍛えられてきたら、1-2分に挑戦。トータルで3-5ラウンド行う。

腹筋が現れるために必要な事とは

これを読んで、できると思った人は素晴らしい。でも、本当のシックスパックを得るために、覚えておいてほしい事がある。目に見える腹筋は、単に真面目な体幹強化ルーティンにはとどまらないという。

「可視できるシックスパックは、体脂肪の量や、体脂肪がついている場所など遺伝的特徴に大きく依存します」とウィルソン氏。

もちろん、だからといって体幹トレーニングで最終的に腹筋をつけられないというわけではない。「まず強い基盤を作る事にフォーカスしてから、体質を変化させて全体的な体脂肪のパーセンテージを減らすステップに移るといいと思います」とウィルソン氏は推奨する。「腹筋の見た目を徐々に変化させるには、ウエイトリフティングやHIIT、適切なタンパク質や水分摂取、睡眠、食物を優先させましょう」

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Julia Sullivan, CPT Translation: Asami Akiyama

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