多くの女性が一度は経験したことがあるだろうダイエット。

数えきれないくらいのダイエット方法が存在しているものの、多くの人が挫折を経験しているのではないだろうか。

「ダイエット経験と聞くと、成功か失敗の二択のように感じてしまいますが、ダイエット意識は常に持ち続けておく必要があります。その意識が欠けて、突発的な減量に飛びついてしまうと失敗を招いてしまいます」

パーソナルトレーナーの林健太さんは、ダイエットに失敗はないと断言する。しかし、減量という数字を追いかけることに関してはリバウンドやストレス過多などを含めて、失敗の方が多いという。

「ダイエットは特別なイベントごとではなく、継続的に意識する習慣です。とにかく痩せたいという気持ちはわかりますが、土台の生活習慣が乱れている状態でいくら努力をしても本末転倒です」

突発的に痩せたいと思い、色々な方法を試すがいつも失敗ばかりだという人は、こんな方法ばかり取り組んでいないだろうか。

痩せる方法の中でも失敗を導きやすい方法を5つ挙げるので、心当たりがないかチェックしてみて欲しい。

①お金を使って痩せようとする

「サプリメントやエステなど、高額な予算を用意しなくてもダイエットは成功します。体重を増やすことに努力をしていないように、減らすことも同じように自然にできます」

もちろん、より美しくなるなどさらに高い目標には必要なことかもしれないが、まずは不要な予算をかけずに実践するのが最善策だと林さん。

「外食や自炊などでも今まで以上に高品質な材料を買って、気合を入れることもあるかもしれませんが、まずはいつもの予算内でバランスを取るようにしてみましょう。運動もジムに行かなくても、自宅でできることはたくさんあります。小さな変化をダイエットと考えて行ってみましょう」

高レビューのサプリメントや憧れの芸能人御用達のエステは、ある程度ダイエットが成功してからの更なるステップアップとして楽しみに残しておこう。

②運動メインで痩せようとする

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痩せたいから運動を始める、ジムに通い始める。

これは素晴らしい心掛けで、運動はダイエットだけでなく健康にも様々な良い影響を与えるので、積極的に行ってほしいと林さん。

しかし、運動だけで痩せることができるとは思わないでほしいとも語る。

「消費エネルギーは大きくなりますが、その反動で食事量が増えてしまう人も多くいます。食事バランスを整えることにも同じくらい注意できると、ダイエットの成功率や継続率は大きくアップします」

運動という特別な時間を作りながら、食事という普段の時間の質を変えること。この両輪を整えてこそ、理想とするダイエットに繋がる。

座位中心の生活や仕事、厚生労働省が目標とする歩数(男性9,200歩、女性8,300歩)もクリアできていないのに、運動で痩せようとするのは難しい。

「ダイエットの中心はあくまで生活習慣です。運動をしたからと言って、同じ質や量の食事をしていてもなかなか効果は実感できません。しかし、消費したからと言って控えるのではなく、消費と摂取が大きなサイクルで回っていくように、運動した時こそ質の良い食事をたくさん食べる習慣が大切です」

特にBMIが高く、肥満気味の人は急に運動から始めようとすると思わぬ怪我を招きかねない。まずは生活の見直しをしてから運動を始めても遅くない。

③目標に向けて急に痩せようとする

ダイエットに目標を掲げることは大切。

しかし、その目標はいつから掲げているだろうか。急なデートやイベントごとのために突発的に始めるダイエットは、多くの人が食事を過度に節制するため必ずリバウンドを招くと林さん。

「1~2kg体重だけが変わっても周囲の人は気付かないでしょう。突発的かつ短期で行うダイエットは、自身の満足を健康と引き換えにする危険な行為なので控えてほしいです」

こういったダイエットはスタート時のモチベーションがピーク。

あとは時間と共に下がっていくだけなので、続けられないどころか必ずリバウンドを経験することになり、自己嫌悪に陥ってしまう可能性も。

「数日で急に太ることがないように、急に痩せることもありません。もちろん体重計の数字という点では日々変化はありますが、体形や体調は一朝一夕に変わるものではありません。モチベーションで続けるダイエットは必ず失敗(リバウンド)を招きますので、一度落ち着いて考え直すことも大切です」

体だけでなく、心までダイエットに支配されてしまうと精神がやせ細る。一瞬たりとも心は支配させないように注意しておこう。

④人の真似をして痩せようとする
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「日々マスコミでは様々なダイエット方法が取り上げられていますが、万人に同じ効果を約束する方法はありません。結果を誇張する商品や、期待してしまうデータを表示される場合もありますが、注釈などを注意深くチェックしておきましょう」

体格や体質に個人差があるように、痩せるスピードや痩せ方にも当然個人差がある。同じ食事や運動習慣でも結果にも差があることは当然だと理解してダイエットに取り組んでほしいと林さん。

取り上げられるダイエット方法や商品にはかならずと言って良いほどそうした注釈書きがあることは気付いている人も多いはず。

「期待した結果が出ないと、そのギャップでダイエットが嫌いになってしまうこともあります。ダイエットは誰かの真似をして突発的に行うものではなく、自分のリズムで難なく続けることができる長期的な習慣であることを再度認識しておいてください」

⑤健康を無視して痩せようとする

「ダイエットやボディメイクは、健康な体と生活が土台にあって成立するものです。土台作りができていないままでは、ないものねだりと考えてください」

厳しく聞こえるかもしれないが、そういったステップをきちんと押さえている人は意外に少ない。

極端な食事制限や我慢、ハードな運動など度が過ぎたダイエットで心身の健康が崩壊すると、その先に待っているのは負のスパイラル。

心身が不健康な状態でまたダイエットに挑戦しても、同じことの繰り返しになることは明らか。

「人生において健康よりも大切なものはありません。太りすぎが健康を害してしまうことは当然ですが、そうでない範囲内であれば、時間をかけてでも運動や食事の習慣を変えていくことが失敗しないダイエットの鉄則です」

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林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/