1時間前まで問題なく履けていたパンツのボタンが急に閉まらなくなったのは、たぶん、おなかが張っているから。ただでさえ厄介なのに、とても不快で痛いから困ってしまう。その理由が明白なとき(例:夜ご飯を食べすぎた)もあるけれど、大抵は見当もつかない。

その前に、おなかの張りとは? 「その意味と原因を正しく理解している人は少ないですね」と話すのは、米マサチューセッツ総合病院の胃腸運動研究所長で胃腸科専門医のカイル・スタラー医学博士。「頻繁に使われる“膨満感”は、医学的に、おなかが張っている“感覚”のことを指します。その一方で、“膨張”は“実際に腹部が張る”こと。膨満感で私のもとを訪れる患者さんには、実際に腹部が張っている人が多いですね」

腹部の膨張を引き起こす食べ物や健康上の問題は数多い。「高FODMAP食に対する不耐症かもしれませんし、腸内毒素症(ディバイオシスや腸内菌共生バランス失調とも呼ばれる)かもしれませんし、腸内細菌異常増殖症かもしれませんし、それ以外の胃腸障害かもしれません」と話すのは、米カリフォルニア大学アーバイン校スーザン・サムエリ統合医療研究所の統合胃腸病学科ディレクターおよび消化器内科クリニック『Precisione Clinic』の創業者で、著書に『Rescue Your Health』を持つマーヴィン・シン医学博士。

シン医師によると、相談に値しない症状は1つもない。お通じに変化が見られたり、体重が減ったり、腹痛、吐き気、嘔吐、発熱といった不安な症状が見られたりするときは、いますぐ医師に相談を。おなかの張りが慢性化して、服装やボディイメージ、食生活に影響を与えているなら「病院へ行き、先述の疾患の可能性がないことを確かめましょう」とスタラー医師。

おなかが張るのは珍しいことじゃない。胃腸科専門医のサマンサ・ナザレス医学博士も「悩んでいるのは自分だけと思わないでくださいね」と患者に励ましの言葉をかける。

おなかの張りには生活習慣が大きく関わっているので、それを少し変えるだけで楽になることもある。ここからは、おなかがパンパンに張る一般的な原因と対処法をアメリカ版ウィメンズヘルスから見ていこう。

1.炭酸水を飲んだ

これは分かりやすい理由。米ミズーリ州立大学の生物医科学講師で公認管理栄養士のナタリー・アレンによれば、炭酸ガス入りの飲料(炭酸水、炭酸飲料、シャンパンなど)を飲むと、おなかの中に気泡がたまっておなかが張る。この問題を避けるためには、普通の水を飲むのが一番。どうしても炭酸水がいい人は1日の限度を決めて、ゆっくり飲もう。

2.ストローで飲んだ

アレンいわく、ストローを使うと空気も一緒に飲み込みやすい。その空気は胃に直行するため、ストローを使わずに缶やカップやから直接飲んで。そのほうが環境にもやさしいでしょう?

3.ケールサラダを食べた

アレンによると、ケールは栄養価の高い食品。「でも、アブラナ科の野菜なので、おなかの張りを引き起こすことがあります」。これは、ブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ、カリフラワー、ルッコラにも言えること。

ケールには、分解・消化されにくい食物繊維とラフィノースという糖もたっぷり。食物繊維が豊富な物を食べるときは、たっぷりと水を飲んで消化を促し、おなかの張りを未然に防ごう。

4.チーズを食べすぎた

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チーズは乳製品なので、ラクトース(乳糖)が豊富。アレンによると、ブリーチーズのようなソフトチーズは、おなかの張りやガスを引き起こすことが多いので、乳糖不耐症の人は(軽度でも)食べすぎないほうがいい。

一方のハードチーズ(パルメザン、チェダー、グルュイエールなど)は、乳糖が少なめなので胃にやさしい。

5.揚げ物を食べすぎた

「フライドポテトのように油っぽくて高脂質の食品は消化に時間がかかる分、おなかの張りの原因になりやすいです」とアレン。しかも、フライドポテトの塩分は体内の水を引き寄せる。アレンによると、外食先で揚げ物を頼むより、家でベーキングを楽しんだほうがいい。そのほうが脂質と塩分の量をコントロールしやすいから。

6.ガムを噛んだ

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アレンいわくガムを噛むと、ストローで飲んだときと同じように大量の空気を飲み込んでしまう。ガムに含まれる糖アルコール(キシリトールやソルビトール)も、おなかの張りの原因になる。口が寂しいときは、ガムの代わりにブレスミントを。

7.リンゴを食べた

大量の食物繊維に体が慣れていないときは、ヘルシーなリンゴでさえも、おなかの張りを引き起こす。リンゴはおいしいし、スナックとしても優秀なので避ける必要はないけれど、普段から食物繊維を摂るようにしていれば、徐々におなかが張りにくくなる。

急にリンゴが食べたくなったら、焼いてみるのもいいかもしれない。食物繊維が豊富な食品は、熱を通すと消化されやすくなる。

8.ビーンディップを使った

残念ながら、食物繊維が豊富な豆は、おなかの張りとガスの主要因。

でも、「豆を毎日欠かさず食べるようにしていれば、体が慣れて上手に消化するようになります」とアレン。豆はタンパク質も豊富なので、いずれにせよ毎日食べたほうがいい。

9.急いで食べた

ランチに割ける時間は長くても30分? お昼休みが終わる前に、プライベートの電話をかけて薬局にも行かなくちゃ? アレンいわく大急ぎでランチを食べると、またしても大量の空気を飲み込んでしまうばかりか、消化も遅れる。「しっかり噛んで、食事には少なくとも20分かけましょう」

10.大麦のスープを飲んだ

心臓のためを思って、クリーミーなブロッコリーチェダースープを我慢して大麦のスープを飲んだのに、おなかがパンパン。一体なぜ? アレンによると、大麦は複合糖質なので消化に時間がかかる。食べ慣れていないときは特にそう。大麦が好きな人は、食べる量を少しずつ増やしていくか、もう少し胃にやさしいキヌアにトライしてみよう。

11.ワークアウトの前に食べた

ワークアウト後に胃がおかしくなる原因は、ワークアウト前に食べた物にあることが多い。「運動中は、消化管に送られていた血液が筋肉に送られるようになるので、消化が滞ってしまいます」とアレン。

ワークアウト前の食事はシンプルで軽い物(バナナ半分や小さなプロテインバー)にして、運動中の胃の負担を軽減しよう。

12.ノンシュガーのキャンディーを食べすぎた

砂糖たっぷりのキャンディを我慢してノンシュガーのキャンディを食べたのに、それでもまだおなかが張るのは一体どうして? アレンによると、チューインガムと同じく、ノンシュガーのキャンディにも消化されにくい糖アルコールが含まれている。次は素直にスニッカーズミニを食べたほうがいいかもしれない。

13.ストレスと不安が多い

「ストレスと不安で胃腸運動が変わることも珍しくありません」とシン医師。「ストレスと不安は、お通じだけでなく、腸の蠕動(ぜんどう)運動にも影響を与えます。これが理由で、腹部に不快感や張りが生じることもありますね」

精神的に参りそうなときは、一度止まって深呼吸。それから少しでも気が楽になることをして。散歩をしたり、友達に電話をしたり、5分間の瞑想をしたりして、ストレスフルな時期を乗り切ろう。

14.水を十分飲んでいない

水分補給の重要性は絶対に侮るべからず! おなかが張っているような気がするときは、その原因が水分不足にあるかもしれないので、水分の摂取量を要チェック。「水を飲めば、便が体を通り抜けやすくなります」とナザレス医師。

小洒落たウォーターボトルを持ち歩き、いつでも水が飲めるようにしておこう。

15.ナッツミルクを飲んだ

almonds in a jar, a glass of almond milk
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「大流行中のナッツミルクも、おなかの張りの原因になりますよ」とナザレス医師。ナッツミルクには、クリーミーな質感をキープして成分の分離を防ぐ乳化剤が含まれていることもある。そして、この乳化剤が体に合わず、おなかが張る人も少なくない。

この場合は、自家製または無添加のナッツミルクでない限り、ナッツミルクの摂取を中断し、おなかの様子を見てみよう。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Macaela Mackenzie, Sarah Bradley And Hunter Levitan Translation: Ai Igamoto