「これを食べれば痩せるという神食材はありません」

そう断言するのはパーソナルトレーナーの林健太さん。

「キャベツやサツマイモの単品食べダイエット、スムージーやプロテインの置き換えダイエットなど、様々なブームに期待してはその都度うまくいかなかったという経験をした人はどれくらいいるでしょうか。人間誰しも面倒なことは最小限にし、早く・安く・簡単に結果を求めてしまいますが、そんな魔法のような話を期待すると心身を疲れさせてしまう原因になります」

ダイエットは流行に踊らされず、どの食品も神様や悪魔のような扱いをしないことが重要。食べてはいけないものを決めつけるのではなく、食べられる量を自分自身の食事から判断できる力を身につけることこそが、ダイエット成功のカギ。

まごわやさしいに代表される積極的に食べてよいとされるもの、菓子パンやジャンクフードなど、普段から控えたほうがいい食品などその幅は様々です。しかし、どの食品においても絶対はないので、もっと軽い気持ちで向き合い、それぞれの特徴やメリット・デメリットを探してみるといいのではないでしょうか」

神食材、ダイエット中にいいと推奨されている食品の代表例のメリットと注意点を林さんが解説してくれた。

① オートミール
rolled oats in wooden bowl on old wooden table
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ダイエットすると決まった途端に白いご飯からオートミールに変える人は多い。昨今はオートミールダイエットブームと言っても過言ではないくらい、専門のレシピ本なども販売されている。

オートミールは、表層部を除去していない全粒穀物に分類されるので、白米などに比べるともちろん栄養価は高い。食物繊維が豊富で血糖値を上げにくいなどメリットもたくさんあるので利用しない手はない。

「少量で満腹感が得られる点は大きく違いますが、炭水化物であるという点は白米もオートミールも同じです。栄養価が高いということは、同じ量であればオートミールのほうがカロリーは高いということになります。タンパク質はもちろん、意外に脂質も含まれています」

栄養価が高いからといって三食全てをオートミールにしてしまうと、少量で満足感が得られてしまうので本来摂るべき炭水化物量に満たない可能性も。

普段からの食生活が高炭水化物に寄ってしまう人は積極的に利用しても良いが、炭水化物を十分に摂れていない人は無理に利用せず、普段からのお米に押し麦や雑穀を入れて栄養価を高くしてみよう。

② アボカド
whole and sliced avocado on wood
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森のバターとも呼ばれるアボカドはご存知の通り脂質が多く、一個当たり約20~30g程度と重量の20%弱に及ぶ。

「体重にもよりますが、一個で成人女性の一日分の脂質が補えてしまうほどです。サラダにアボカドをトッピングして味付けにドレッシングは十分すぎるほど。その他の食事で気を付けていなければ脂質が多くなってしまうでしょう」

いくら良質な脂質だといえ、カロリーは他の脂質と同じ9kcal/g。摂り過ぎはオーバーカロリーの大きな原因になるので、全体の食事バランスを考えてトッピングしてほしい。

アボカドに含まれる良質な脂肪酸はオリーブオイルにも多く含まれるので、迷ったときは大量のアボカドトッピングは控えて、ドレッシングをオリーブオイルに変えることも検討してみて。

③ ナッツ
ナッツ
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アボカドと同様に脂質の多い食品であるにも関わらず、ダイエットになるとなぜか積極的に摂ってしまいがちなナッツ類にも注意が必要だと林さん。

「ロカボという表記もよく見る商品ですが、=低カロリーではありませんし、ナッツにそもそも気にするほどのカーボ(炭水化物)は含まれていません。表記しているからと言って特別な商品でないということはおさえておいてください。また、ミックスナッツになると割合も様々なので、栄養成分表示も目安と考えておくといいでしょう」

気軽に食べられてしまうので、間食やおやつには便利な食品。しかし、全体の食事バランスを把握していなければ、ただのカロリーオーバーの元凶にもなりかねない。

「おすすめのタイミングとしては夕食時です。一日の食事を振り返ったときに脂質量が足りなかったり動物性に偏っていれば、その分をサラダにトッピングしたり、夕食後のおやつにしたりすると食べ過ぎも防げます。特にクルミは良質な脂質の割合が多いので、ミックスナッツよりも無塩クルミで全体の脂質量を調整してみましょう」

④ サラダ
green salad with tomato and seasonal herbs
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ダイエットの定番食品トップの座に君臨し続けるのがサラダ。とにかく痩せるにはサラダを食べればいいと思い込んでいる人も多い。

もちろんカロリーを抑え、満足感を上げるには非常に便利な食品。いつもの食事にプラスするだけで食物繊維もしっかり摂れて血糖値の上昇も穏やかにしてくれるだろう。

しかしこれはあくまでも食事と一緒に食べればの話で、サラダは食事にはならないと林さんはよく注意するそう。

「サラダに食卓の主役の座を奪われてはいけません。あくまで副菜として一食の満足感を高めてくれるサポート役にしてください。ビタミン・ミネラルなど微量栄養素も、必要な三大栄養素の土台がしっかりなければ本来の力を発揮できません。主菜はあくまでもタンパク質がしっかり摂れる肉や魚、炭水化物も適量摂るようにしてください」

ダイエットの進捗具合により、食べることに抵抗がある場合や、どうしてもサラダをメインにしてしまう場合は、穀物や芋類の炭水化物を100g、チキンや魚などのタンパク質源を100gトッピングしてみよう。

それだけで一皿のバランスがぐっと引きあがり、一食で栄養、満足感ともにハイレベルな食事に早変わりする。

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林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/