体重の変動を追うと、その時の生活習慣に関係なく毎日微妙に増減していることに気づくはず。これは正常なことで、水の重量の変化が反映されているため。

「私たちの体は平均約50〜65%が水であり、その量は日々変動するので数字にも幅があります」と説明してくれたのはカリフォルニア州にある「Parsley Health」でヘルスコーチを務めるエリカ・ゼルナーさん。水は私たちが生きていくために必要不可欠のものであり、「私たちの体は水なしでは数日間しか生きることはできないため、水分の重量増加は脱水症から身を守るために起こることなのです」と彼女は続けている。つまり、私たちが健康に生き続けるためには、体内の水分量を軽んじてはいけないのだ。

ここでは、体重増加が水分量によるものかを知る方法、水分量が不健康なレベルかどうかなど、専門家の解説をもとに水分と体重の関係について掘り下げていく。

体内の水の重量が増える原因は?

まずは、水の重量の生理学的側面から。ぜルナーさんによれば、体は水、ナトリウム、電解質のバランスを自然に保とうとしているという。「しかし、脱水症状になると体はできるだけ水を保持しようとするのです」とゼルナーさん。

視床下部は最初に喉の渇きのメカニズム(例えば、口が乾くなど)を伝え、体により多くの水分を摂取するように指示を出す。それと同時に、下垂体は抗利尿ホルモン(ADH)を放出する。これによって、尿量が調節される。

次に、体は集めた水分を組織や関節に蓄えて、生き残るために必要なバランスを維持することに務めると、ゼルナーさん。「この水分貯留と尿による水分の再利用は、むくみや膨満感を引き起こすことがあります」と彼女は説明している。このようにして体内の水の重量が増え、私たちの体にも変化が現れるのだ。生理的な水分貯留が引き起こされる習慣は以下の通り。

  • 脱水  「ほとんどのアメリカ人は、慢性的に脱水状態です」とゼルナーさん。彼女は続けて「毎日、 体重の約半分のオンス(体重60kgの場合、30オンス=約890ml)の水を飲むことをオススメします」とアドバイスしている。これが少なすぎる、あるいは多すぎると感じる時は調整が必要だが、その時は脱水状態の兆候がないか注意深く観察しよう。
  • 高ナトリウム食 ゼルナーさんによれば、ナトリウムを多く含む食事を取っているとき、体は摂取量のバランスを取るためにより多くの水を保持しようとするのだという。高ナトリウム食とは、つまりしょっぱい食品を食べることを意味するが、加工食品などはまさに高ナトリウム食品で、これらは長期保存できるようにするために防腐剤として過剰なナトリウムが含まれていると、ゼルナーさんは説明している。
  • 月経 月経中の人はホルモンが変動するため、生理の数日〜1週間前から水分の重量が増える可能性が高くなる。ゼルナーさんによれば、この水分貯留は生理の初日頃にピークに達し、その後数日で減少していくという。

体重増加が水の重量の増加によるかどうかを知るためには?

体重の変動を追うと、体重の増減が水分量によるものなのか、筋肉もしくは脂肪によるものなのか気になるところだろう。まず、保持している水分量に応じて、1日あたり最大5ポンド〜6ポンド(約2.2〜2.7kg)増減する可能性があるとゼルナーさんは話している。「本当の減量であれば、減量のスピードはゆっくりで、より持続的なものになりますが、水の重量はより変動しやすい傾向にあります。ある日は1ポンド(約454g) 減り、その翌日は2ポンド増え、さらにその翌日は3ポンド増える-このように、大きく変動するでしょう」とゼルナーさん。

水分重量の増加は懸念すべき?

手短に言うと、水分重量の増加は危険なことでも不健康なことでもない。では唯一注意すべきこととは?「通常水分を保持していない場所にむくみなどがあれば、それは問題があるかもしれません」とゼルナーさん。彼女によれば、腹部や関節、足は水分を保持するのが普通だという。

「膝や肘など、通常は体液貯留がない場所に体液貯留があることに気づいた場合は、医師に相談したほうが良いでしょう」とゼルナーさんは述べており、続けて「特に甲状腺や心臓血管に家族に病歴がある場合は、検査を受けるべきです」と警告している。

水分重量を減らす方法

体は生きるために水分を必要とするため、体の水分を“失う”ことは決してないが、体が保持する水の重量を減らす方法はいくつかある。

水の重量レベルを抑える最良の方法は、1日中水分補給を続けること。体の水分量が十分あれば、水を保持しようとする生理学的反応を引き起こすことがないため。「クランベリージュースやお茶など、わずかに利尿作用がある飲料を飲むこともいいでしょう。これらは余分な水分を排出することに役立ちます」とゼルナーさん。

水による体重増加を防ぐためには?

ゼルナーさんが勧める、過剰or不必要な水分による体重増加を回避するためのヒントは以下の通り。

  • 水分補給を続ける 繰り返しになるが、体重の少なくとも半分のオンスの水分を摂取することを忘れずに。体内の水分が十分にあれば、水分を保持する働きを抑えやすくなる。
  • 利尿作用のある飲料を飲む クランベリージュースやお茶などの利尿作用のある飲料を飲んで、体から余分な水分を排出する。
  • 塩分の多い食品を避ける 必要以上に水の重量を増やしたくない場合は、過度に塩辛い食品や加工食品を避けるように。ナトリウムの多い食品を食べると、体はより多くの水分を保持しようとする。
  • 定期的な運動 発汗できるトレーニングを行って体から余分な水分を出すことも可能。例えば、1日中机に向かっている場合は、定期的に立ち上がって歩き回るだけでもいい。その動きは循環を増やして体液貯留防止をサポートしてくれる。
  • 炭水化物摂取量を調整 過剰な炭水化物を摂取すると、体は糖質をグリコーゲンに変換しようとする。グリコーゲンは水と一緒に筋肉に蓄えられるもので、グリコーゲン1gに対し、3〜4gの水も一緒に貯蔵されるため、体の水分重量が増えてしまうのだとゼルナーさんは説明している。
  • 十分な睡眠 ストレスが溜まって睡眠不足になると、体はコルチゾールを放出する。これは抗利尿ホルモン(前述の通り、脱水状態の際に水分を保持する必要があることを体に知らせる役割を果たすホルモン)のバランスを取る体の機能に悪影響を与える可能性がある。ゼルナーさんによれば、抗利尿ホルモンの管理が少なくなると、水分量の管理も減ってしまうという。
    ※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
  • Translation: Ai Ono From Women's Health US
Headshot of Krissy Brady
Krissy Brady

Krissy is a regular contributor to Prevention, and she also writes for Cosmopolitan, Weight Watchers, Women's Health, FitnessMagazine.com, Self.com, and Shape.com.