卵のカロリーを調べるために、わざわざニワトリを捕まえてきて難しい質問をする必要はナシ。その栄養について知るために重要なのは、「卵は最高の食べ物」だとか、「卵は絶対に避けて」といったマーケティング用語に惑わされることなく、よりシンプルに情報を収集すること。

また卵は意外にも、空腹時にワークアウトをする「ファステッドカーディオ」などと同様、長い間論争の的となってきている。米国を拠点とする医療機関ノースウェスタン・メディスンの研究では、卵のコレステロールが、心血管疾患や早期死亡と関連しているとされている。

とはいえ、食べるのを完全にやめてしまう前に、卵の栄養素やメリットなどを改めて掘り下げてみよう。ここでは、卵に関するよくある質問の回答を以下で確認し、卵がもたらす効果についてご紹介。

卵1個あたりのカロリーはどのくらい?

卵はサイズがまちまちで、調理方法によってもカロリーが変わってくるため、この質問の回答は場合によって微妙に異なる。

eggs in a color gradient arranged in a rainbow shape
Os Tartarouchos//Getty Images

ヘルシーな食に関するコンサルタントなどをする「サリー・ダイエティシャン」の創設者で管理栄養士でもあるハリエット・スミスさんによると、卵1個あたりで実に25キロカロリーほどの差があるとのこと。

  • Sサイズ:約54キロカロリー
  • Mサイズ:約63キロカロリー
  • Lサイズ:約79キロカロリー

そして多くの人もご存じのとおり、卵のカロリーのほとんどは卵黄に含まれている。しかしスミスさんが言うように、卵の栄養価を高めるのも抑えるのも、調理方法次第。例えば、主な調理方法とおおよそのカロリーは以下の通り(すべて卵1個を使った際のカロリー)。

  • かたゆで卵(Lサイズ)=79キロカロリー
  • ポーチドエッグ(Lサイズ)=79キロカロリー
  • オムレツ(プレーン)=96キロカロリー
  • 目玉焼き=115キロカロリー
  • スクランブルエッグ(牛乳入り)=125キロカロリー
  • エッグフロレンティーン=267キロカロリー
  • エッグベネディクト=287 キロカロリー
  • スコッチエッグ=289キロカロリー
eggs benedict with salad
gresei//Getty Images

卵の5つの健康効果

卵を食べることで、たくさんのメリットが得られる。スミスさんは、卵の長所を次のように説明している。

1. 良質なタンパク源である

卵に含まれるタンパクは良質で、体に必要な必須アミノ酸をすべて含んでいるため「完全タンパク質」とも呼ばれている。Lサイズのゆで卵1個には、約8グラムのタンパク質が含まれている(これに対し、85グラムの鶏むね肉には27グラム、170グラムのギリシャヨーグルトには17グラム、23粒のアーモンドには6グラムが含まれている)。

なお、日本における女性のタンパク質の推奨摂取量は、1日あたり50グラムとなっている。

2. 「太陽のビタミン」と呼ばれるビタミンDが含まれている

ビタミンDの1日あたりの推奨摂取量(10マイクログラムまたは400IU)を摂取するためには、1日に約9個の卵を食べる必要がある。ビタミンDのほとんどは、日光浴やサプリメントから摂取できるが、英国ではほとんどの人がビタミンD不足なので、卵を食べることで摂取量を増やすことが可能。

3. オメガ3脂肪酸が豊富に含まれている

オメガ3脂肪酸は、脳や心臓、関節の健康にとって重要な栄養素。卵に含まれる量はニワトリの飼料によっても異なるが、最近ではスーパーでも、オメガ3脂肪酸やDHA(オメガ3脂肪酸の一種)を強化した卵を比較的手軽に購入することができる。

4. 抗酸化ミネラル「セレン」が含まれている

抗酸化物質には、細胞の老化を遅らせる作用がある。Lサイズの卵1個に含まれるセレンの量は、1日の推奨摂取量の約22%。

5. 満腹感が持続する

ある研究によると、体重過多や肥満の女性が朝食に卵(卵白だけでなく卵全体)を食べた場合、朝食にベーグル(炭水化物)を食べた女性に比べて満腹感が得られ、朝食後36時間のカロリー摂取量が少なくて済んだという。

egg
Jason marz//Getty Images

卵とコレステロール値の上昇との関係は?

卵に含まれるコレステロールを摂取すると早期死亡のリスクが高まるという、ややショッキングな研究結果が発表されている。上述のノースウェスタン・メディスンが3万人近くの成人(平均年齢51歳)を対象に実施したこの研究では、1日に食べる卵の量を半個(1週間あたり約3個の卵)を追加すると、心血管疾患のリスクが6%上昇したという。

しかし、中国で行われた別の研究では、卵を1日1個食べている人の方が、心臓病の発症率が低いという正反対の結果が出ており、他の論文では、卵は冠動脈疾患のリスクに強い影響を与えないという結論が出ている。では結局、何を信じればいいのだろうか……?

スミスさんは、こう説明する。「食事で摂取するコレステロールは、健康な人の血中コレステロールにほとんど影響を与えないという認識は、科学者の間で広く受け入れられています」「食事から摂取するコレステロールを減らすためには、単に卵の摂取量を減らすよりも、食事全体の脂肪摂取量や飽和脂肪摂取量(加工食品、赤身の肉、菓子パンやケーキなど)を減らすことの方が重要です」

卵のベストな食べ方は?

では、卵の最適な食べ方は? スミスさんによると、「何を目標にしているのかによります」とのこと。痩せたい、または痩せる必要がある場合や、摂取カロリーを気にしている場合は、ポーチドエッグ、ゆで卵、スクランブルエッグがおすすめ。

逆に体重を増やしたい場合は、目玉焼きやオムレツ、エッグベネディクトなどの方が、カロリーが高くなる。

broken white eggs with its shell, seasonings and egg whisker
Ojas Thosar//Getty Images

「私は“卵と一緒に食べる食品”に重点を置いています。卵に複合糖質(全粒粉のトーストなど)と野菜(ほうれん草やトマトのグリル、マッシュルームなど)を添えると、バランスのとれた食べ応えのある料理になります。

また、アボカドやスモークサーモンを添えれば、心臓を健康に保つ脂肪を摂取することができます。私のお気に入りのレシピは、イスラエル料理の『シャクシュカ(トマトソースに野菜を加えたベイクドエッグ)』です」

レシピ例:サーモンと卵のブレックファストマフィン

おおげさなものを作らなくても、インスタ映えする料理ができる。ミールキットデリバリーサービスの「フレッシュ・フィットネス・フード」が考案したレシピを試してみよう。なお、これでおよそタンパク質45グラム、炭水化物26グラム、脂肪28グラムが摂取できる。

salmon breakfast muffin
Michael Hart

材料

  • 卵 2個
  • スモークサーモン 30グラム
  • チャイブ(みじん切り) 小さじ1/2
  • チェリートマト 6個
  • オレガノ 小さじ1/2
  • クレソン ひと握り
  • 塩・胡椒

調理方法

  1. ボウルに卵を割り入れて軽く泡立て、サーモンとチャイブを加えて塩コショウで味付けする。
  2. トマトを塩と胡椒、オレガノで味付けし、180度のオーブンで20分ローストする。
  3. 油を塗ったマフィン型に卵液を流し込む。
  4. 180度のオーブンで10分(または卵が固まるまで)焼く。
  5. アツアツの卵のマフィンとローストトマトに、クレソンを添えたらできあがり。


もし卵に飽きたら、どんな食品からタンパク質を摂取すればいい?

幸いにも、タンパク質の供給源となるのは卵だけではない。ベジタリアンでもそうでない人でも、定番の食材を変えてみると、退屈したり堅苦しくなったりせず楽しみながら(そして機能的に)栄養を摂取することができる。

以下に紹介する食品にはすべてタンパク質が含まれているため、普段の食事にも取り入れてみて。

  • ヨーグルト
  • チーズ
  • 豆腐
  • 鶏肉
  • キヌア
  • マグロ
  • 大豆
  • サーモン
  • プロテインパウダー
composition with high protein food
piotr_malczyk//Getty Images

とはいえ、タンパク質はパズルの一部に過ぎず、ヘルシーな脂肪や炭水化物(さらに、果物や野菜から得られる必要な栄養素)も重要な栄養素であることをお忘れなく。タンパク質にフォーカスしすぎて、他の栄養を摂り忘れてしまわないように注意しよう。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

Translation: Masayo Fukaya From Women's Health UK

Headshot of Emma Pritchard
Emma Pritchard
Contributing Health Editor
Emma interviews the world’s leading sportswomen, top health experts, and women who have turned their lives around through fitness – women like you. You'll often find her scoping out an inspiring story and training to teach Pilates – sometimes at the same time; who doesn’t love a challenge?