ダイエット中に誰もが一度は考える禁酒・断酒。

もちろん飲まないに越したことはないが、なかなかそう簡単にもいかない。頻度を減らすことができてもお酒をやめることができないという人は多い。

パーソナルトレーナーの林健太さんもダイエット中のお酒に関しては相談が多いという。

「無理に数日の禁酒をできたところで、そのストレスや反動が大きければ続けることもできませんし悪循環になります。それよりもお酒との付き合い方をきちんと知っておくことで、適度なリフレッシュをしながら体重コントロールができるようになります」

私達が選ぶ時に基準にしていることと言えば、糖質を控えることやおつまみを食べ過ぎないことぐらいだろうが、それらも含め、改めて注意したいポイントを林さんに教えてもらった。

①ダイエット中のお酒は糖質よりアルコール度数に注意
beer glasses and bottles in enironment
Jack Andersen//Getty Images

今日はビールが飲みたいけれど、糖質を気にしてハイボールに。

ダイエットをしている人なら一度は気にする選び方かもしれないが、林さんは気にせず飲んでもいいと言う。

「そもそもダイエット中にお酒を飲むと言ってもいつも以上に量を控える人が多いでしょう。また、晩酌の量と言っても350ml缶1~2本飲めば十分ではないでしょうか」

そのビールに含まれている糖質は1本で10g程度。ご飯1~2口程度の糖質を摂っても大きな影響はないし、その程度であれば食事で十分調整が可能。

ストレス発散やリフレッシュのための晩酌のはずが、過度な注意で精神的な満足度を下げてしまうのは逆にストレスを溜めてしまう。

それ以上に注意したいのは飲むお酒のアルコール度数。

同じ量の糖質オフではないビールとアルコール9%の無糖サワーを比較してみると、カロリーは後者の方が高くなる。糖質はもちろんだが、アルコールにも1ml当たり約5.5kcalと糖質を超えるカロリーがあるからだ。

糖質を気にするあまり、飲みたいはずのお酒を控えたはずなのに、その反動でアルコール度数が高いお酒を選んでいたら、心身共にストレスが大きくなってしまうなんてことも。

オーバーカロリーにならないことはもちろん、ダイエット中は特にお酒のカロリー=肝臓への負担と考え、心身へのストレスを総合的に判断していこう。

②空腹での晩酌は注意
overhead view of three women making a celebratory toast with spritz cocktails
Dulin//Getty Images

「アルコールよりもダイエットにはおつまみが重要」

一度は聞いたことがあるだろうが、何も食べずに飲んでしまうのもよくない。胃が空っぽの状態だとアルコールは吸収されやすく、酔いも回りやすくなるからだ。

その為にもおつまみはしっかり選んで食べたほうがいい。

アルコールでいつも以上にカロリーを摂ってしまうことを考えると、揚げ物はご法度。糖質が多い食べ物も控えておくことで、ビールなどを選んだ時のバランスやトータルのカロリーバランスがとりやすくなる。

おつまみとして最も適しているのは、焼き鳥やするめなどタンパク質が多い食材。お酒を飲むとどうしても食欲が増進してしまうので、咀嚼回数が多く噛みごたえのあるものであればさらに満足度は高くなる。

「肝臓はどんな栄養素よりもまず一番にアルコールを分解するため、余剰な栄養は体脂肪にもなりやすいので食べ過ぎは禁物です。そういった意味でも、いつも通り食事を済ませて胃の中が少し落ち着いてから晩酌という流れが、ダイエット中に最もおすすめなお酒の飲み方です。万が一、おつまみがほしくなる場合は食事で用意したおかずや野菜を残しておいて晩酌と一緒に食べると、カロリーオーバーも防止できるのでいいでしょう」

③肝臓の働きに注意

先述した通り、肝臓はどんな栄養素よりもアルコールを一番に分解する。すなわち体にとっては一刻も早く分解したい毒素。

体格や体質によりアルコールの分解にかかる時間は変わるものの、おおまかな目安としては飲んだお酒に含まれるアルコール量(ml)を体重で割って10を掛ける。

体重60kgの人がアルコール度数5%のお酒350mlを飲んだ場合は17.5×10÷60≒約3時間。

肝臓は基礎代謝の約20%を占める重要な臓器でもあるので、代謝を落とさないためにも体調と相談しながら適度な休肝日を設け、ダイエットを順調に進めていこう。

お酒を飲まない分、いつもより食事量を増やしてみたり、ノンアルコールや炭酸水を活用してみたりと工夫をすることで、休肝日でもいつも以上に満足度を上げることは十分に可能だ。

④運動後のお酒に注意
mojitos
Manuel Breva Colmeiro//Getty Images

運動でしっかり汗を流して喉はカラカラ。

そんな時に飲む冷たいビールの為に運動を頑張っているという人も恐らく一定数はいるはず。お酒は筋肉にはいい影響を与えないということを知っている人も多いが、それ以上に注意してほしいポイントが喉の渇き。

喉が渇いたというのは既に脱水症状のサイン。

特にトレーニング後はいつも以上に体の水分が少なくなっているので、お酒を飲みたい気持ちはぐっと堪えてまずは適切な水分補給が必須。

「お酒は利尿作用が強い上に分解には水も消費します。さらには体温の上昇などでいつも以上に汗をかいて水分を消費する為、非常に注意が必要です。お酒を飲んでいる最中には水を飲むことを必須だと考えてほしいのですが、どうしても難しい場合はせめてお酒を飲む前後の体のコンディションは十分に潤った状態にしておいてください」

たくさんお酒を飲んだ翌朝は体重が減っているという経験をした人も多いだろうが、それは脱水の危険信号。せめて飲酒前と同じ体重に戻っているくらいが理想だ。

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林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/