ダイエットでまず始めることと言えば、運動と食事制限。

どちらも並行してできればダイエット効果は高いのだが、初心者が取り組みやすいのは食事制限だろう。

運動はしっかりできているけれど食事が疎かになっている人よりも、食事制限がしっかりできていて、ある程度の運動量が確保できている人のほうが体は変わるという。

定期的な運動はもちろんだが、食事管理をメインにダイエットを進めていく人を何人も指導してきたというパーソナルトレーナーの林 健太さん。

その中でも初めてダイエットに取り組む人や、今まで独学で食事制限をしていた人に共通して多く見られる「ダイエットのための食事法の勘違い」を教えてもらった。

食事制限というとダイエット初心者はどうしても食べないことを最初に考えてしまうが、最大のポイントは何をどれだけ食べるか。

「食べないことで痩せるのは最初だけです。最後には体調を崩したりストレスが爆発したりするのが目に見えています。健康的かつ継続的なダイエットを進めていくうえでも、これから紹介するポイントはしっかりと押さえておいてください」

①糖質制限のはずが同時に脂質も制限
mediterranean grilled chicken salad
BURCU ATALAY TANKUT//Getty Images

一大ブームを巻き起こした糖質制限ダイエット。

実際にその減量効果は大きく、その知名度からもいまだに取り組む人が多いダイエット方法。いわゆるお米やパン、麺などの糖質(炭水化物)を一時的に制限するので、体内のグリコーゲンや水分が激減し、体重が減ることは皆さんご承知の通り。

しかし、ダイエット初心者は糖質を制限するだけでなく、同時に脂質も大幅に制限してしまうので注意が必要だと林さんは言う。

「糖質を控えるだけのはずが、なぜか食べることに抵抗を感じる人が多くいます。糖質のエネルギー源を控える以上、脂質のエネルギーはしっかりと摂っておくことが重要です。現代食は糖質と脂質が合わさった食事が多いので、食べるものに困る気持ちは分かりますが、タンパク質まで無意識に制限してしまう、サラダだけの食事は言語道断」

三大栄養素を全て制限してしまうということは、栄養失調にもなりかねない。糖質制限中の体はエネルギーの源が脂質であることをしっかりと理解しておこう。

②食べる量が少なすぎて代謝が悪い

先述したように、三大栄養素を過剰に制限してしまうと代謝の悪い体、すなわち痩せにくい体を作ってしまうことになる。

糖質制限をしていないにも関わらず、そのパターンに陥るダイエット初心者も林さんは多く見てきたそう。

「特に毎日自炊を頑張っている人に多いのですが、パッと見ると野菜たっぷりでボリュームがあり色鮮やか。ダイエットを頑張っていることが一目で分かるくらいですが、よく見てみると野菜がほとんどなんてことも。もちろん野菜をたくさん食べることはいいことなのですが、野菜は肝心の三大栄養素がほとんど含まれないカロリー密度の低い食材です。そのため、食べたつもりでも実際は栄養価がすごく低いという可能性が。ビタミンやミネラルは三大栄養素がしっかりあってこその微量栄養素です」

まずは三大栄養素を満たす食事をベースに、体の代謝をしっかりと維持しながら野菜はあくまで満足度を高める食材として使うようにしよう。

③プロテインバーで隠れ糖質や脂質を摂取
muesli bars with cranberries and oat flakes on dark background
Westend61//Getty Images

間食や補食で食べることも多いプロテインバー。

プロテインパウダーを持ち歩いたりするのは面倒なので、コンビニで手軽に手に入るものはダイエット初心者にとっては非常に重宝する。

しかし、プロテインバーの多くはタンパク質だけで作られているわけではない。味を良くするためには当然たんぱく質だけでは足りないので、適度な糖質や脂質も含まれている。

商品によっても様々だが、バタートーストに匹敵する脂質量のものなどもある。

また、ダイエット初心者はプロテインバーと栄養補給バーやシリアルバーを混同してしまうこともあるという。

「パッケージにタンパク質と書いてあっても、必ず栄養成分表示を確認するようにしてください。タンパク質は最低でも15g以上含まれていることを確認し、脂質は10g程度に抑えることができれば一安心です」

④プロテインやスムージーなど固形より液体が多い

朝は時間がなくてスムージー。

夜は遅くなってしまったからプロテインだけ。

特にダイエット初心者は食事の栄養バランスはもちろん、食事と生活の時間バランスなども取れていないことも多いので、このような食事パターンになることもよくあるだろう。

「もちろん時間のない時や食事の時間がとれないときは仕方ありませんが、慣れてきたら固形の食事から栄養を摂る回数を増やしていくようにしてください。咀嚼や分解というプロセスでも体はエネルギーを使いますし、固形食を摂るということは胃や腸の蠕動運動が活発になります。蠕動運動はいわば内臓周辺の筋トレ」

筋肉というと筋トレで使う骨格筋を最初にイメージすると思うが、内臓も立派な筋肉。食べながらできる内臓の筋トレはダイエット初心者ならもちろん積極的に取り入れていくべきだろう。

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林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/