簡単で結果も出やすい糖質制限ダイエットだけど、その手軽さの代わりに、やめた途端にリバウンドしたり、最悪な場合はダイエット前より太ってしまうことも……。その原因、実は糖質以外のカロリーの摂り方にあったんです! 確実に痩せてその後も無理なく体重を維持できる、正しいダイエットのやり方とは?

【目次】

1.糖質制限がリバウンドしやすいワケ

「これは糖質を抜くことで最低限必要なカロリーさえ下回ってしまい、その結果、極端に代謝の悪い体になってしまうためです。

糖質制限ダイエットはご飯やパン、麺類などの主食を抜くだけでいい簡単さで人気ですが、単純にそれだけをやると誰でもほぼ確実にカロリー不足に陥ります。とくに足りていないのが脂質。皆さん糖質を抜くことに執着するあまり、実際に食べている総カロリーを管理できてなんですね。

また糖質制限は始めるとすぐに体重が減っていき、結果が出やすいことも魅力ですが、減量のスピードはあくまで“1週間で500g”が理想、かつ上限です。これ以上のペースで痩せているとしたら、それは筋肉がどんどん落ちている証拠目標体重を達成する頃には恐ろしく代謝の悪い体が出来上がっているので、食事を戻そうと糖質をほんの少し摂っただけで一気にリバウンドしてしまうんです」

2.ダイエット中の正しいPFCバランスは?

「ダイエット中の食事管理で、カロリー収支の次に重要なのはPFCバランスです。とくにダイエット中は筋肉を維持するために、タンパク質を多く摂る必要があります。つまりタンパク質分のカロリーは動かせませんから、それ以外の分を糖質と脂質で調整する、という考え方が基本です。

これをダイエットに落とし込むと、実際には糖質を減らすか、脂質を減らすかの二択になります。具体的には、糖質・脂質いずれの場合も、その割合を1日の総カロリーの10%まで抑える、というやり方です。

ただ正直なところ、ここまでの脂質カットは肌荒れやホルモンバランスの乱れを引き起こす原因になるので女性にはおすすめできません。私がこれまでコーチングした中でも脂質10%で問題なく痩せられた女性は数えるほどしかいませんし、問題が起きなかったのはその人が特別な体質だったか、気づかないうちに“隠れ脂質”を摂ってしまっていたかのどちらかでしょう。女性の場合は1日の総カロリーの25%、少なくとも20%は脂質から摂るようにした方が安心ですね」

3.効果出ない→食事を減らすのは負のループに

「糖質を抜くか脂質を抜くか、どちらが向いているかは体質や生活習慣によるので、まずはどちらかを2週間試してみましょう。2週間やっても体重に動きがないようなら、もう一方に切り替えてみてください。

注意したいのが、ここで体重が減らなかったとしても焦って摂取カロリーを減らしたりしないこと。食事量を減らせば減らすほどホメオスタシス(恒常性の維持)が機能して、代謝の悪い体になってしまいます。また体重の落ち方も、ガクンと一気に減る人もいれば、少しずつ段階的に減る人もいたりと、それぞれ個人差があるものです。メンテナンスカロリーから500kcal引いたエネルギー量は摂る、ということは必ず守るようにしてください」

4.糖質・脂質の切り替えで体調と効率をキープ!

「ローカーボとローファット、どちらが自分に向いていたとしても、それを何ヶ月も続けるのはNG。体に負担をかけないために、例えばローファットからローカーボに、ローカーボからメンテナンスカロリーになどダイエット方法を切り替えましょう。

たまに、糖質制限ダイエットを1年続けてる、なんて言う人がいますが、それは気づかないうちに“隠れ糖質”を摂っていて、たまたま命拾いしているだけ。ローファットにしろローカーボにしろ、ダイエットカロリーをあまりにも長期間続けるのは体を壊しかねません。ローカーボもローファットも続ける期間はそれぞれ体質によりますが、ローファットは4〜6週間、ローカーボは4〜8週間程度で1度切り替えるかメンテナンスカロリーに戻すのが良いでしょう。

ローカーボ中に体温がグッと下がった時は、チートデイを入れましょう。チートデイは好きなものを食べていいと思われがちですが、本来は肝臓のグリコーゲンを満たし、脳に十分に栄養があると安心させて代謝を戻すのが目的。なので糖質をがっつり摂ることを意識してください。必要な糖質量は体重の数字の6〜9倍といわれていますから、体重55kgなら約330〜500g。ご飯1膳分の糖質が約58gですから、かなりの量を食べる必要がありますね」

リバウンドを防ぐには、ダイエット中いかに代謝を落とさないかがキモ。目先の結果や落ちるスピードに惑わされず、二度とダイエットが必要ない体を手に入れよう!

text: Megumi Yamazaki

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杉崎宏哉
NESTA公認トレーナー フィジーク選手

40歳で重度の腰痛を患い、手術を迫られたことをきっかけに体の仕組みについて勉強を始める。結果、腰痛は手術なしで見事快癒。同じ悩みを持つ人を助けたいとの思いから、バー経営と二足のわらじでフィットネストレーナーを目指す。現在YouTubeチャンネルでは「ネバトレフィットネス」を配信中。また現役フィジーク選手としても活躍、2019年度は全日本でカテゴリー7位、東日本2位。モットーは「Never too late(遅過ぎることはない)」。