ハル・ベリーはケトジェニックダイエットであれだけ腹筋が割れるのに、どうして私の体重は減らないの? 糖質を減らして、ベーコン、チーズ、アボカドをたくさん食べても、体重に変化がない。一体どうして? オーストラリア版ウィメンズヘルスから見ていこう。

ケトジェニックダイエットの基本

ケトジェニックダイエットでは糖質を制限して脂質を増やす。公認管理栄養士のスコット・キートリーによると、そうすれば体が“ケトーシス”という状態に入り、脂肪がエネルギーとして燃やされる。

ケトジェニックダイエット中のマクロは人によって異なるけれど、ほとんどの人はカロリーの60~75%を脂質、15~30%をタンパク質、5~10%を糖質から摂取することで、体がケトーシス状態になる。

ただ、このガイドラインに100%従っても、思いのほか体重が減ってくれないことはある。その理由をご紹介。

1.カロリーの摂りすぎ

ケトジェニックダイエットでは、お肉、チーズ、バターが食べられる。でも、それを好きなだけ食べるのは大間違い。「なにをどんな割合で食べたとしても、体が必要とする以上のカロリーを摂取すれば、ダイエットの邪魔になります」と話すのは、アメリカの栄養士会のスポークスパーソンで公認管理栄養士のラハフ・アル=ボチ。

ケトジェニックダイエットでも、体重が減るのはカロリーが赤字になったとき(ダイエットでは、摂取カロリーを1日1,200~1,500kcalにするとよい結果が出やすい)。糖質を1日50g以下に抑えて脂質を増やすのはいいけれど、体重を減らしたいなら、カロリーの摂取量にも気をつけて。

2.カロリー不足

ケトジェニックダイエットを始めると、最初のうちは食欲が減るかもしれない。でも、アメリカの栄養士会のスポークスパーソンで公認管理栄養士のソニア・アンジェロンによると、その効果は時間と共に薄れていく。

この初期の食欲低下でカロリーが足りなくなると、体が飢餓モードに入り、代謝が下がって体重が減りにくくなる。通常、食欲は数週間で戻るけれど、なかなか戻らないときは、ダイエットの種類を変えるか、栄養士に相談してケトジェニックダイエットのやり方を変えたほうがいいかもしれない。

3.運動をやめてしまった

ケトジェニックダイエットを始めた途端に風邪を引き、ワークアウトを何度もスキップしてしまう。これは意外とよくある話。「ケトジェニックダイエットを始めると、脳の燃料となるグルコース(糖質)が不足して、イライラしたり、気分のむらが激しくなったり、疲れたりすることがあります」とアンジェロン。

あまりの気だるさでワークアウトをする気になれなかったり、ワークアウトができなかったりする日が続けば、体重も減りにくくなる。ダイエット成功のカギは健康的な食生活+運動にあることを忘れないで。

ワークアウトに戻りたいときは、ケトジェニック・サイクリング(運動をしない日はケトジェニックダイエットのガイドラインに従って、運動をする日は糖質の量を増やすというケトジェニックダイエットの分派)を試してみるといいかもしれない。

4.食物繊維不足

ケトジェニックダイエットで糖質を制限すると、それにつられて食物繊維の摂取量まで減ってしまうことがある(食物繊維たっぷりのフルーツや全粒穀物も制限されてしまうから)。

「食物繊維は空腹感を抑える一方で食後の満腹感をもたらし、活力と血糖値を安定させます」とアンジェロン。「食物繊維が少ない食事はもの足りなく感じるので、結局食べすぎてしまうこともあります」

アンジェロンによると、食物繊維が少ない食生活を送っていると腸内の善玉菌の種類が減り、それが理由で体重が増えてしまうこともある。

5.まだ糖質が多すぎる

ケトジェニックダイエットではマクロ計算が非常に重要。アル=ボチいわく、ほとんどの人は糖質を1日20~50gの範囲内に抑えるべきだという。

でも、一般的な食品に含まれる糖質量を完全に把握している人は少ない。だからこそ、1日の摂取量を記録することが大切。糖質が多すぎると体がケトーシス状態に入らないので、思い通りの結果が出ない。

6.タンパク質の摂りすぎ

close up of sectioned plate with eggs, pork, salmon and steak
Adam Gault//Getty Images

これもマクロ計算が大切な理由の1つ。アル=ボチによると、体内で消化されたタンパク質の一部は、グルコース糖質に変換される。このグルコースが多すぎると、体はケトーシス状態に入れない。

ケトジェニックダイエットをしているからといって、ステーキやベーコンを好きなだけ食べるのはNG。このダイエットで大事なのは、アボカド、オリーブオイル、ナッツバターなどのヘルシーな脂質を摂ること。タンパク質は少し減らして、食事のたびにヘルシーな脂質を摂取しよう。

7.ヨーヨーダイエット

確かにケトジェニックダイエットは、続けるのが本当に難しい。でも、アル=ボチいわく「数日やって数日やめて」のヨーヨーダイエットでは、よい結果が得られない。

なぜ? これだと体がケトーシス状態に入っては出て、入っては出てを繰り返すことになるから。言い換えれば、結果が出るまでケトーシス状態を維持できないから。辛いときは無理をせず、糖質を(20~50gに収まるまで)少しずつ制限しよう。そうすれば、このダイエットを続けるのが楽になる。

8.ビタミンB群不足

全粒穀物に含まれるビタミンB群が不足すると、疲労が溜まって運動をしなくなり、ダイエットの計画が破綻することもある。

ビタミンB群は、お肉、卵、乳製品、ブロッコリーやホウレン草などの濃緑色の葉物野菜といったケトジェニックダイエット向けの食品にも含まれている。それを食べても気だるさが抜けないときは、医師に相談したうえで、ビタミンB群のサプリメントを飲んでみるといいかもしれない。

9.間食が多すぎる

間食をすること自体に問題はないけれど、つまみ食いばかりしていれば、あっという間に1日の目標摂取カロリーを超えてしまう。

その場合「体がケトーシス状態に入っていても、余分なカロリーが脂肪として蓄積されます」とキートリー。これが理由で体重が減っていないと思うなら、間食を1日1回までにして、それを1日の摂取カロリーにカウントすること。

10.水分不足

水は生きるために必要なので、みんな多少は飲んでいるはず。でも、ダイエットの種類に限らず、水分不足は体重が減ってくれない理由の1つ。体が潤ってさえいれば、無駄な食欲が抑制されて、体重が増えにくくなるし、少なくとも維持できる。

アメリカの医学研究所によると、女性は1日2.7リットル、男性は1日3.7リットルの水を飲むべき(飲みものと食べものを合わせて)。毎日それだけは飲むようにして、余裕がある人は1日1杯プラスして。

11.焦りすぎ

これだけ騒がれていれば、いますぐトライしたくなって当然。でも、その焦りが仇となることもある。

「ケトジェニックダイエットは、始めるのも続けるのも難しいダイエットです」とキートリー。「無計画に始めるのは、失敗のもとになるのでやめましょう」。大事なのは計画を立てて紙に書き、栄養士などの専門家と話し合い、家族や友達のサポートを得ること。「ダイエットを続けるためのサポートとアイディアを得たうえで始めてください」

また、ケトジェニックダイエットは長期間続けるべきダイエットじゃない。続けるのが難しいだけでなく、栄養が偏ってしまう恐れもあるから。“最長”で12週間続けたら、糖質制限を解除して通常の食生活に戻ること。

※この記事は当初、アメリカ版ウィメンズヘルスに掲載されました。

※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: WH Staff Translation: Ai Igamoto