大気汚染用スキンケアというコンセプト自体は新しくない。でも、世界的な汚染レベルの上昇に伴い、中国やインドにおける大気汚染の深刻さが注目を集める今、このコンセプトが真向からスポットライトを浴びている。
化粧品・スキンケアブランド、エリザベス・アーデンのコンサルタントで皮膚科専門医のデンディ・エンゲルマンによれば、「高濃度の “大気中の粒子状物質” が肌に及ぼす影響について、新たな発見が続いている」 という。地球の人口増加と工業化が着実に進む中で、大気汚染用スキンケアを一時的なトレンドとして受け流すことはできない。
大気汚染が肌に及ぼす悪影響
美容ブランド、ラ・プレリーのトレーニングマネージャーであるベリンダ・ベサントによると、「大気汚染は第二の紫外線。肌に最も有害な物質として新たに出現したのが交通公害」 (肌ダメージを引き起こす汚染物質には、粒子状物質、煙、地上オゾン、スモッグ、燃料の燃焼による窒素酸化物ガスなどが含まれる)
汚染された環境に長時間、繰り返しさらされると肌に様々な問題が生じる。コラーゲンレベルが低下し、炎症が起こるだけでなく、大気中の微粒子がメラニン細胞に火をつけるので、頬やおでこに色素の過剰沈着が見られるようになる。
「日々遭遇する汚染物質のほとんどは避けられないもので、粒子状物質が肌に付着することもある」。この影響が目に見え始めるまでには年月を要するとしても、肌バリアが弱くなるにつれて問題は確実に起きてくる。
大気汚染による肌ダメージのコントロール
大気汚染の悪影響と戦うために、このステップを取り入れよう。
洗顔
夜帰宅したら、すぐに顔を洗うこと (エンゲルマンによると汚染物質と有害物質は毛穴に入り込みやすいので、毎晩念入りに洗うことが大切)。ベサントのおすすめは 「保護バリアを形成する肌本来の皮脂を剥ぎ取ることなく、不純物を取り除く」 洗顔料。
解毒
角質除去作用のある洗顔料を週に3~4回、またはフェイスマスクを週に1回使うことで、肌の奥深くに溜まった汚染粒子や不純物を取り除くことができる。
治療
緑茶、イデベノン (肌細胞を守り、環境ストレスに対抗する強力な保護剤)、ビタミンCといった成分を含む抗酸化作用のある美容液には、汚染によるフリーラジカルのダメージを弱める働きがある。
保湿と保護
「日焼け止めが防ぐのは大気汚染ではなく紫外線なので、パワフルな抗酸化物質をSPFと組み合わせることで肌を強くする」 のがベサントのアドバイス。抗酸化物質配合の保湿液は、日中の環境ストレス要因から肌を守り、夜にはフリーラジカルのダメージを中和してくれる。毎日の日焼け止めも必須 (エンゲルマンは、酸化亜鉛や二酸化チタンといったノンケミカルの日焼け止めを好むそう)。
引っ越しを検討中?
荷造りするのはちょっと待って。世界保健機関の調査によると、オーストラリアの都市部は汚染レベルが最も低いそう。
都市部の汚染レベルが最も高い国は:
1.パキスタン
2.カタール
3.アフガニスタン
4.バングラデシュ
5.エジプト
都市部の汚染レベルが最も低い国は:
1.オーストラリア
2.ブルネイ
3.ニュージーランド
4.エストニア
5.フィンランド
都市部に住むことによる肌への影響
都市部に住めば、汚染された環境にさらされることが多くなる。都会の住人にはシミやしわが多いことを示す研究結果がある一方で、地方や沿岸地域の居住者にも危険がないわけではない。「汚染レベルは常に変わるもの。今日この瞬間はそれほど汚染されていないように感じても、明日には劇的に代わる可能性もある」 とエンゲルマン。どこに住んでいようとも、肌は第一の防波堤。体内の大きな臓器が仕事をこなすために、強く健康なバリアを構築することが重要。
肌を守る3つの方法
1.サウナやエクササイズなど、汗をかくアクティビティなら何でも汚染物質からの毒素を取り除くのに役立つ。
2.サツマイモ、イチゴ、色の濃い緑野菜といった抗酸化物質が豊富な食材を摂ることで、肌のビタミンレベルを高め、汚染物質から肌を守ることができる。
3.スキンケアブランドのダーマロジカが運営するウェブサイトskinpollution.comでは、自分の居住地域の肌汚染指数がチェックできる。
※この記事は当初、BEAUTY/crewに掲載されました。
※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text: Sherine Youssef Translation: Ai Igamoto Photo:Getty Images