常に進化し続けるスキンケアのトレンド。これまでにも、エイジングやニキビのサインを狙ったレチノールや、ハリのある肌へと導くヒアルロン酸、4日周期のケアを行う“スキンサイクリング”などが話題を呼んできた。そんななか、最近注目を集めているのは、いわゆる“肌のバリアを修復する製品”を活用したやさしいお手入れ方法。けれど、そもそも「肌のバリア」とは一体どんなものなのか?

「肌のバリアとは、皮膚の一番外側にある層のことで、角質層とも呼ばれます。これは、皮膚の深層を守る最前線の防御機能です」と説明するのは、ニューヨーク市に拠点を置く皮膚科医のローレン・ペンジ氏。タンパク質と脂質で構成される肌バリアは、フリーラジカルや汚染物質、環境からくる刺激から体を守る働きもある。バリア機能が良好な状態であれば、肌は明るく見えるもの。例えば、過剰な角質除去によってその機能が損なわれてしまうと、ニキビや炎症、慢性的な乾燥など多くの問題につながる。

もちろん、肌バリアがダメージを受けたとしても、修復することは可能。まずは肌のバリア機能がダメージを受けているかどうかを判断する方法、そしてダメージを受けていた場合の回復方法について専門医がアドバイスする。


1)肌のバリア機能がダメージを受けているかを見極める

ペンシルバニア州に拠点を置く皮膚科医のリンジー・ズブリツキー氏によると、乾燥や赤み、炎症がある場合の多くは、肌のバリア機能が低下しているサインだという。「お手入れ時に肌を刺すような痛みや、ヒリヒリするなどの違和感を感じた場合、あるいは吹き出物、湿疹や酒さのような皮膚疾患が悪化している場合も、バリア機能低下のサインといえます」

2)角質除去を控える

肌バリアは想像以上に簡単に破壊されてしまう。「過度に、そして頻繁にスクラブなどの角質ケア製品を使用すると、バリアは確実に破壊されます」と話すのは、LAに拠点を置く皮膚科医のハロルド・ランサー氏。AHAやBHAのようなケミカルピーリングも同様に、肌の再生と細胞のターンオーバーを助けてくれるものの、毎日使うものとしては想定されておらず、またレチノールのような刺激の強い成分との併用も想定されていない。

3)刺激の強い洗顔料を使わない

カリフォルニア州の皮膚科医ハワード・ミュラド氏は、自身の患者には、洗顔料によく使用される硫酸塩を避けるように助言するという。硫酸塩は肌本来の油分を落としすぎて、肌のバリア機能にダメージを与えてしまうので、代わりに保湿成分が配合された肌にやさしい洗顔料を選んでみて。

4)積極的にバリアを強化する

応急処置としてバリア機能を修復する成分が多い製品を一生懸命使うよりも、ダメージを防ぐためにバリア機能を強化する成分が多い製品を選ぶほうがベター。ミュラド氏が推奨するのは、プロバイオティクス、オーツ麦、セラミドなど、マイクロバイオームをサポートする成分入りのもの。セラミドは皮膚細胞をつなぎとめる接着剤のような働きをする脂質で、肌バリアの脂質組成の50%を占めている。

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Nattakorn Maneerat//Getty Images

5)とにかく保湿

皮膚科医はみな、保湿の大切さについて力説するが、特に肌のバリア機能が低下して乾燥から肌を守れなくなっている場合にはとても重要。ズブリツキー氏は、過度に紫外線を浴びてしまうと肌を乾燥させ、バリア機能に悪影響を与えると指摘。ヒアルロン酸やグリセリンのような保湿成分入りのスキンケア製品は、長時間の保湿促進に役立つのでおすすめ。

6)炎症を抑える

炎症と肌バリアのダメージは密接に関係している。ランサー氏は、抗炎症作用があるシカ(CICA)の一種センテラアジアティカ、鎮静作用のあるナイアシンアミド、肌の保湿レベルを保つスクワランなどの成分を推奨。オーツ麦も炎症を抑えるのに適しており、湿疹ができやすい敏感肌の人も安心して使うことができるそうだ。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

From Harper's BAZAAR.com

From: Harper's BAZAAR JP
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Ai Ono

 高校生時代にアメリカンカルチャーの影響を受け、大学在学時にアメリカ・シアトルにてホームステイを経験。海外ドラマに関するWEBメディアでライターを務める。海外エンタメ・セレブ、ロイヤルファミリー、ヘルス・ウェルネス記事をメインに、翻訳を担当。手話技能検定3級、世界遺産検定2級、アロマテラピー検定1級を持つ。