人生における大半のことは、タイミングによって決まる。肌のコンディションを良好に保つことにおいても、それは同じ。複数の製品を使用するお手入れのステップのなかで、それぞれの成分が肌に浸透するのをきちんと待たなければ、丁寧に行っているはずのスキンケアのルーティーンも、効果を発揮しない可能性がある。

では、どのくらいの時間を置くべきなのだろう?ローションやセラム(美容液)、クリームなどの間に取るべき時間に、“マジックナンバー”はあるのだろうか?

それぞれスキンケアブランドを立ち上げている皮膚科のティナ・ミーダー医師と、エマ・クレイソーン医師がこの疑問に対して示してくれた答えとは――?

どのくらい待つべき?

これは、皮膚科医の間でも意見が分かれる問題。「それほど間を置かず、好きなようにつければいい」という人も、「十分に浸透させ、効力を発揮させるためには“待ちの戦術”が必要」という人もいる(なかには10分待つべきとの意見も!)。

ただ、皮膚科医の大半が同意するのは、少なくとも、使用した製品が「乾くまでは待つべき」ということ。スキンケアブランド「クリラ(Klira)」の創業者、クレイソーン医師は、「そうすることで確実に、含まれているすべての成分が均等に広がります」と述べている。

肌に塗布した後のベタ付いた感覚がなくなってから(30~60秒ほど待って)、次のステップに進むようにすべきだという。

化粧品の浸透にかかる時間は、含有成分や肌タイプ、使用するタイミングでも異なる

また、スキンケアブランド「ミーダー・ビューティー(Meder Beauty)」の創業者であるミーダー医師は、「浸透にかかる時間は、製品の特性や使用する人の肌の特徴によって異なります」と話す。

化粧品は、炎症を起こしている肌、油分が多く毛穴が広がっている肌、乾燥している肌の方が、そうではない肌より浸透しやすいとのこと。さらに、日中よりも夜の方が、浸透が速いという。

つまり、化粧品の浸透の仕方は、1日のうちどのタイミングで使用するかによって、そして肌のタイプによって、異なるということになる。

浸透の速度は成分で異なる?

化粧品に含まれる成分もまた、気を付けるべきことのひとつ。クレイソーン医師によると、成分や塗布する肌の部位によっても、浸透する速さは異なる。「例えば、抗酸化物質はすぐに(ビタミンCは約4秒で)肌になじみます」とのこと。

ミーダー医師は、スキンケア製品の吸収と浸透はブランドやその製品の処方によっても異なる「かなり専門的な問題」だと指摘している。

クレイソーン医師によれば、親油性のスキンケア製品のなかには、すぐに毛包に入るものと、角質層に浸透するものがある。また、浸透の速度は分子の大きさによって異なり(大きければ、時間がかかる)、水性か油性かによるテクスチャーの違いによっても異なる。

young woman applying lotion, eyes closed
Indeed//Getty Images

そのほかミーダー医師によれば、「カフェイン、ナイアシンアミド、グリコール酸、ビタミンE、レチノール(レチノイン酸)は、最も速く浸透する成分」とのこと。特にカフェインとナイアシンアミドは、ほぼ即座に浸透するという。

スキンケア製品のなかには、肌への浸透を待つ必要がないものもある(日焼け止めは皮膚の表面にとどまる)。だが、ミーダー医師は、十分な時間を取らずに続けて別の製品を塗布することで、「スキンケアのルーティーンを“台無し”にするものもある」と注意を促している。

原則としてお勧めするのは、「常に最もテクスチャーの軽いものを最初に塗布すること。油性よりも水性の製品を先に使用すること」だという。つまり、洗顔後に使用する保湿クリームよりも、先に美容液をつけるべきということ。

ただ、何より重要なのは、肌にスキンケア成分を過剰に与えないこと。続けて使用する製品が多すぎれば、有効成分が適切に浸透しないだけでなく、肌に大きなダメージを与えてしまう可能性もある。それは、乾燥肌や敏感肌、皮膚バリアが十分に機能しない状態にもつながり得る。

「待ち時間」を短縮するには?

クレイソーン医師は、お手入れを早く終わらせたい、“待ち時間”をなくしたいというなら、すべての有効成分が適切に処方され、ひとつのボトルに入ったセラムがお勧めだとしている。

異なる有効成分をルーティーンに取り入れ、間を置かずに立て続けに肌に塗布することは、真皮に悪影響を及ぼす恐れがある。単独で肌につけた場合に安定的に効果を発揮するように作られた製品の働き方を変えてしまい、肌を傷つける危険性もあるという。

おそらく、専門家たちが“待ち時間”について具体的な「数字」を示すことはない。私たちにとっての最善の策は、1種類の化粧品を使用したら、「乾くまで(およそ30~60秒)待ってから」、次の製品を塗布すること。

そして、スキンケア製品は過剰に使用せず、含まれる複数の有効成分がシナジー効果を発揮するように処方されたハイブリッドの化粧品を選び、ルーティーンをできる限りシンプルにすることだという。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

From Women’s Health UK

Lettermark
Amelia Bell
Senior Site Beauty Editor

Amelia Bell is the Senior Site Beauty Editor at ELLE UK, developing beauty strategy, writing, editing, and commissioning, and overseeing all beauty content for the site. Amelia has a particular interest in sustainable beauty practices, exploring the skin-mind connection, and decoding the latest treatments, tweakments and runway trends. She also has bylines for Women's Health, Refinery29, British Vogue, Harrods Magazine, and more.  

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翻訳者。学業・仕事のため、5カ国の7都市でおよそ10年を過ごす。帰国後は経済・ビジネス関連の文書やニュース記事の翻訳を中心に、ウェルネス系の専門誌やアート関連の書籍、映像翻訳も手掛けるなど、長年にわたってフリーランスで活動。常に新たな情報に触れる仕事柄、心がけているのは、「浅くても、 何でも広く知ろうとすること」。