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ちゃんとまっすぐイスに座れている? 自分では意識していないかもしれないけれど、もし一日中オフィスで座りっぱなしなら、カラダは思った以上にバキバキにな上に歪んでいるかも。では、どうすればいいのかを聞いてみた。

「最近では、9時5時で働く会社員よりも、どちらかというとアスリートがやるようなきついスケジュールでアスリート顔負けのトレーニングをこなす人が増えている」とロンドンのCentre for Health and Human Performance のスポーツと運動医学の専門家、レベッカ・ロビンソン医師。

ただしオリンピックメダリストと一般人との一番の違いは出す結果ではなく、身体を丈夫で健康的に保つための周りからのサポートがあるかないかだそう。ここで言う「一般的な人」とはつまり、ジムのレッスンにいる隣で汗をかいている人たちのこと。サポートが必要といっても、専門家を何人も抱えて、手取り足取りすべて見てもらう必要はない。でもきちんとした助言や監督なしではケガにつながりかねない、とロビンソン医師は警告する。

そして、まさにそのようなことが起きている。「オフィスからジムに直行するようなライフスタイルをしている若くてエクササイズする習慣のある人たちが患者の多くを占めるようになった」と胸郭腹腔部から身体の様々なことにアプローチをするポスチュラル・レスピレーション・インスティテュート(PRI)のマスタートレーナー、ジェームズ・アンダーソン。「そこういった患者さんは、は姿勢の問題や運動が原因のケガで痛みを訴えてくることが多い」とアンダーソン氏は話す。

これは、私たちの生活が変わってきたため身体が自然と歪んでしまった結果ではない。そうではなく、普通の健康的な人がエリートアスリートのようなハードなトレーニングを十分な知識なくやったり、専門家の手助けなしにやったことが原因。きちんとした知識やサポートがないとなにかの支障が出てくるのは当然のこと。

二重の危険

まず大前提として、身体が完璧な人なんていない。「誰もが生まれながら非対称な身体を持っている」とPRIのパーソナルトレーナーでフィジカルセラピストのジュリー・ブランディン。「私たちの身体は、神経がもともと右半身の方が左半身よりも優勢にできている」と話す。

これは呼吸をするたびに収縮する横隔膜についてもそうだとか。横隔膜は一日でなんと21,600回も収縮して、そのたびに身体の軸をわずかにねじることになっているそう。「寝ている時でも、呼吸することによってアライメントがずれ、ねじれることでケガや痛みにつながる」とアンダーソン氏は説明する。そして、身体のほかの部分は、呼吸によって右に自然と引っ張られるのに対抗するために、逆の方向にねじれようとするそう。つまり、身体はなにもしなくてもゆがんでしまうようにできているということ。

さらに、もともとある構造上のゆがみに加えて、ずっと座りっぱなしのデスクワーク、通勤電車やソファーに座るといったなにげない行為も状況を悪化させている。「座るという姿勢は息を吐く時に胸郭にたまった空気を逃がすことができない」とアンダーソン氏。つまり、身体の一方に空気をため込みすぎて、余計にねじれてしまう。

座っていると股関節屈筋を縮ませてしまうので、歩いたり走ったりする時に腰がきちんと伸びなくなってしまう。そして、その一方で背骨を伸ばしすぎることになる。つまりとてもよくない。そしてさらに、重いウェイトを上げたりHIITをやったりしているのも加わってしまうとそれも悪影響だそう。

「背骨の過伸展は背骨の下の部分を伸ばしすぎてしまい、重いものを持ち上げる時に背骨に圧縮加重がかかってしまう危険な状態」とアンダーソン氏。また歪みはちょっとしたやりづらさとして現れるときも。「たとえば、レジスタンスマシンを使っているときに、背中の一方がかたいと感じたり、スクワットをする時に片方が少し引っ張られるように感じたり、片膝だけくじきやすかったりということが起きる」とアンダーソン氏。

すべてはつながっている

心当たりがある人もいるのでは? そんな人はゆがみを直す時。必要なのは筋肉を鍛えるのではなく、使う必要のない筋肉を使わないようにすること。「多くの人は、ゆがみを直すには姿勢を直さないといけないと思って、背筋をピンとまっすぐにして座ろうとしてしまう。でも実はこういった姿勢では余計な筋肉をつかってしまい、胸骨を骨盤より前にして、背骨の下の方では骨盤底筋や背筋に余計な圧と力をかけてしまう」とジェニファー・プーリン、アメリカのサンドヒルズ・スポーツ・パフォーマンスの創業者でPRIのスピーカー。

必要なのは呼吸を整えて、非対称運動をすること。非対称運動とは手と脚をばらばらに動かす運動で、身体の強い方が優勢になったり、それ以上に強くなるのを防いでくれるそう。そしてどちらかに負荷がかかりすぎないようにしてくれる。

そして、運動をしていても、デスクで座っていても、つねに吸うよりも吐くのを深く、ゆっくりとするように、その時に胸郭が元の位置まで下がって行くようにして。背骨にかかった力が抜けるように腹筋を使って。「背中の中心、丁度ブラジャーのストラップのすぐ下あたりを意識して、その部分を開くように呼吸するたびに意識して」とアンダーソン氏。「前かがみになっているように思うかもしれないけれど、実は横隔膜や腹部、それから骨盤底筋を使って身体にかかる力を逃がしてあげている」とアンダーソン氏。

なにかトレーニングする時のコツは?

「広背筋、胸筋大腿四頭筋やふくらはぎといった大きな表面の筋肉を動かし終わったら、今度は動かさない休む方法を知るのがよい。そうすることで姿勢を支える筋肉や背筋を正しい形に調整することができる」とルークワージントン、ロンドンのサードペースのコンディショニングとバイオメカニカルスペシャリスト。なにから始めればいいか分からないという人は、このエクササイズをやってみて。

ジュリー・ブランディンの背筋の歪みを直すワークアウト

パーソナルトレーナー、ジュリー・ブランディンのこの3つのエクササイズを週に2回やるようにして。1分間、間に休みを入れながら4セット行って。

1. シングルアームロウ(片腕10回ずつ)

鍛える部位:二の腕、背中、肩

背骨にとっては腕を別々に動かした方が安全。

つまり、動かしている腕と反対側の腹筋を使うようにして、腰を折るようにして前かがみになり、両手にダンベルを持ち、ひじを曲げる。左腕を床に真っすぐに伸ばして、また上に引っぱり上げる。引っぱり上げる時に自然と身体がねじれるようにする。

2. ショルダープレス(片腕10回ずつ)

鍛える部位:三頭筋、背筋、肩

背骨はもともとカーブしているものなので、ウェイトを上げる時に肋骨を前に出し過ぎて無理に真っすぐに伸ばそうとしないで。

ダンベルを両手に持ちながら、肩の位置まで上げる。左腕を頭の上にまっすぐに上げる。肋骨が自然と動くのを感じて。肩の位置まで下げてはじめの位置に戻る。

3. バックローディッドスクワット(10回)

鍛える部位:脚、お尻、体幹

息をしっかりと吐き切り、胸郭が骨盤の上に来るようにする。斜腹筋と横隔膜がしっかりと背骨を支えるようにして。

バーベルを肩の肉のある部分に乗せる(骨には乗せないように注意)。息を吐いて胸郭をしっかりと下げて腹筋を意識する。胸郭を前に動かさないようにして、身体を落としてスクワットをする。もう一度立ち上がる。

Text:アメリカ版「ウィメンズヘルス」編集部 Translation:Noriko Yanagisawa Photo:Getty Images