Black, Black-and-white, Skin, Beauty, Shoulder, Hand, Monochrome, Monochrome photography, Leg, Photography, pinterest

生理中はお腹が張ってキリキリ痛み、空腹でイライラするもの。でも、メンタル面の問題は生理にまったく関係ない。少なくとも、行動神経科学専門誌に掲載された研究結果はそう語る。その内容を、アメリカ版「ウィメンズヘルス」からご紹介。

スイスの研究チームは、68人の女性の生理周期を2ヶ月にわたって追跡し、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロンといったホルモンレベルの変動が認知機能にインパクトを与えるかどうかを調査した。生理中の実験参加者は、記憶、認知バイアス (合理的ではないのに、自分の希望に沿った方向に考えが歪められる傾向)、2つのことに同時に注意を払う能力という3つの項目を測る心理テストを受けた。

その結果、ホルモンバランスの変化は脳機能に何の影響も与えないことが判明したそう。ある月の生理中に認知バイアスが見られても、翌月には見られないことがほとんどだったとか。

米国ノースカロライナ大学チャペルヒル校の女性気分障害センターで生理周期中のホルモン変化に対する女性の感情的・認知的・行動的反応を研究する臨床心理学者、トリー・アイゼンロール=モウル博士は 「この研究結果は、周期的にホルモンバランスが変わっても、大抵の女性の思考は乱れないことをハッキリと示している」 と言う。

同時にこれは、出血は脳をダメにすると冗談を言う愚かな性差別主義者を否定する科学的な証拠でもある。「月経周期のせいで女性は思考の正常さを問われる。男性ホルモンであるテストステロンの変化によって合理的な意思決定に影響があることが分かっているのに、男性は正常さを問われない」 と語るのは、ドイツのハイデルベルグ大学医療心理学研究所で生理周期の認知作用を研究するカーチャ・シュマレンバーガー理学修士。

でも、生理中にど忘れを経験する場合には覚えておきたいことがある。

アイゼンロール=モウル博士によると 「生理中、思考や感情に軽~中程度で一貫性のない変化を経験する女性グループが存在する。ただ、現在のテストにはこの変化を捉えるだけの精度がない」。コネチカット州のイェール医科大学ニューヘイブン校で、産婦人科および生殖科学部の臨床教授を務めるメアリー・ジェーン・ミンキン医学博士もこの考えに同意する。

「40年以上にわたる経験から、生理中の女性には変化があるものだと思う。原因はホルモンにあったりなかったり」。例えば、エストロゲンとプロゲステロンのレベルが下がる生理開始の1~2日前は、眠りが浅くなることがある。そしてこの 「睡眠不足が、翌日の認知機能に影響を及ぼす可能性がある」 という。

ホルモン変化に認知反応や異常なムードを見せる女性集団とは、月経前不快気分障害(PMDD)を抱える女性たち。ミンキン博士によると、これは女性の約5%が抱える消耗性疾患で、日常生活に支障をきたす重度の不安、うつ病、過敏症状を伴うもの。

事実、月経前不快気分障害を患う女性に関する研究において、アイゼンロール=モウル博士とシュマレンバーガー理学修士は2つのことを発見したそう。まず、生理周期中に極度な感情変化が現れた女性には認知変化も現れたこと。そして、集中して問題を解決する能力におけるこれらの変化が、仕事をこなし、人間関係を維持し、社会的な交流に参加する能力に一番大きな影響を与えていたこと。

つまり、生理中にメンタル面の異常を感じたら、婦人科医に相談するべきだということ。ミンキン博士いわく、月経前不快気分障害の基準に当てはまるかを判断するために、数ヶ月にわたって日常的に現れる症状をグラフにするよう指示があるはず。アイゼンロール=モウル博士によると、月経前不快気分障害の症状に関する情報と患者へのサポートを提供する非営利団体のThe Gia Allemand Foundationのホームページでは、これを簡単にする症状トラッカーがダウンロードできるそう。

月経前不快気分障害と診断されても、ムードを調節することが認可されている避妊ピルや、選択的セロトニン再取り込み阻害薬と呼ばれる抗うつ剤の類を飲むだけで治ることもある。ミンキン博士によれば 「ほとんどの女性は、生理中や生理前後にだけ選択的セロトニン再取り込み阻害薬を飲んでいる」 そう。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Tracy Middleton Translation: Ai Igamoto Photo:Getty Images