新年の誓いを立て、1月の2週目でその誓いを破り、何もなかったことにする。
これが例年の恒例行事となるのにはワケがある。心理学者のポーリーン・ヴァリン博士いわく、「ほとんどの人は、新年の誓いを守るのは簡単だという非現実的な期待を抱いている。だから、その誓いを守るのが難しくなると諦めてしまう」
でも、自分で成功のお膳立てをすることは間違いなく可能。目標達成を専門とする心理学者のアドバイスで、今年こそは新年の誓いを貫徹しよう。そのコツをアメリカ版ウィメンズヘルスからご紹介。
1.超具体的な目標を立てる
現実的な目標と非現実的な目標の違いは? ヴァリン博士によると、前者は具体的かつ進歩が測定可能で、達成可能な目標。例えば「シェイプアップする」は曖昧だけれど、「週3回ジムへ行く」なら具体的。何をすべきか明確だし、進歩が測定できる。「1日も欠かさずジムに行かなければならない」という非現実的な話でもないので、達成可能と言える。ちなみに連日ジムに通わなくても結果は出せる。
2.自分の目標を公にする
米・デポール大学の心理学教授、ジョセフ・フェラーリ博士によれば、自分の計画を公にすればするほど、あなたに責任感を持たせてくれる友達や家族が増えていく。自分の目標と進捗状況をSNSに投稿するのも良い考え。目標に近づくための決断をシェアするたびに、背中を押してもらえる。怠けていることを実際に注意してくれる人はいなくても、「自分の進捗状況をチェックしている人がいる」と分かっているので、そもそも怠けようという気が起こりにくい。
3.邪魔をする人と距離を置く。応援してくれる人の中に身を置く
ジムのクラスに誘うと二つ返事で付き合ってくれる友達もいれば、あなたにも予算の限界があることを知っていながら、贅沢な旅行に行こうと迫ってくる友達もいる。
フェラーリ博士が言うように、新年の目標を絶対達成したいなら、あなたの努力を後押ししてくれる人の中に身を置いて。似たような目標を持つ人だとさらにいい。おせっかいな友人を完全に避ける必要はないけれど、その人たちと過ごす時間を減らし、あなたを応援してくれる人たちと過ごす時間を増やした方が脱線しにくい。
4.同盟を組む相手が実生活にいなければ、SNSを頼る
周りの友達が新年の目標に乗り気じゃなくても大丈夫。似たようなゴールを掲げる人々をネット上で探せばいい。ヴァリン博士によると「レディットなどのサポートネットワークや、『MyFitnessPal』のように特定の目標を共有するコミュニティアプリでは、みんなが進捗状況や苦労話をシェアしているので、自分も頑張って続けようという気になれる」。
バーチャルな世界でも本音で語る相手がいれば、ダメになりそうなときに自信が取り戻せるし、小さなゴールを達成したときの喜びを分かち合える。自分の投稿を作成するのにも、バーチャルな友達の投稿を読むのにも時間をかけること。「投稿に時間と労力を費やすことで、もっと全力で頑張れるようになるから」
5.大きなゴールを小さなゴールに分解する
フェラーリ博士によると、恐ろしい巨大なゴールを小さなステップに分解すれば、徐々に勢いをつけながら、そのまま最終的な目標が達成できる。フルマラソンを走るのが初めてなら、1~2カ月目に5キロマラソンに挑戦し、その結果をベースにトレーニングのプランを立てる。1日2箱吸うようなヘビースモーカーなら、タバコ休憩を1時間に2回から1回、2時間に1回、3時間に1回と減らしていく。いきなりスパッとやめるより精神的に楽でしょ?
6.小さなゴールの達成を祝う
大きなゴールを達成するために、より現実的で小さなゴールを設定したら、その小さなゴールを達成するたびに自分を祝う具体的な計画も立てておこう。フェラーリ博士いわく、「これが頑張り続けるためのモチベーションになる」
ご褒美は何でもいい。流行りのフェイスマスクでセルフケアをしたり、大好きなドラマの再放送を観ながら一晩だけ大食いしたり。米・スクラントン大学の心理学教授で臨床心理学者のジョン・C・ノークロス博士によれば、「大切な人と “ご褒美契約” を結ぶのもいい」そう。例えば、あなたが小さなゴールを3つ達成するたびに、友達や家族がサプライズのご褒美をくれるという仕組みなどだ。
7.辛抱強く取り組む
「大きな変化を起こすのには時間がかかる」というノークロス博士によれば、行動が習慣化するまで、“やらなきゃいけないから仕方なくやる” 状態が最長3ヵ月は続くことがあるそう。「万事順調なのに、体と心が前向きな変化を拒んでいるように感じるのは正常なこと」。新しいライフスタイルに適応するには時間がかかる。つまり、タフなステージを乗り越えなければ、楽なステージは訪れない。でも、それを覚えておき、楽なステージが来ると信じることで、タフなステージがだいぶ楽になる。
8.進捗状況を追跡する
これには、いくつかの方法がある。毎週自分の写真を撮るか、自分が達成したことをリスト化するか、口紅で鏡にグラフを描くか(人に何と言われようと自分がよければそれでいい)。ノークロス博士も「このような “セルフモニタリング” で、新年の誓いを貫ける確率が高くなる」と言う。どこまで来たか、目標まであとどのくらいかを見える化することで、モチベーションを維持しやすくなるから。
9.アクションプランで「うっかりミス」を防ぐ
ノークロス博士いわく、大事なのは脱線の “きっかけ” になりがちな行動や状況を把握して、それを自分の味方につけること。このようなきっかけを積極的に避け、いざ現れたときに積極的に対処できるよう習慣を変えておけば、コースを外れたくなることが少ない。
ヴァリン博士が勧めるように、まずは自分がどんなときに諦めたくなるかを考えてみよう。そこから戦略を練る。例えば、午後になると必ず甘い物が欲しくなるけれど、あなたの目標が砂糖を減らすことなら、「食べたい気持ちがおさまるのを待つ代わりに、15分の散歩に出る」ようにすればいい。散歩を終える頃には、甘い物が欲しいと叫んでいた脳も、ある程度大人しくなっているはず。
10.なんだかんだで「うっかりミス」しても慌てない
忙しい日常に邪魔されて、新年の誓いが完全に守れなくなる日は必ず訪れる。オールオアナッシングのアプローチ……例えば今日はワークアウトをしなかったから、今週は丸々休めばいいやではなく、こういう日が来ることを知った上で新年の目標を立てること。そして、できるだけ早く軌道に戻れるように、自分を励ますポジティブな独り言を習得しよう。
ヴァリン博士によると「あなたは強い。忙しくて今日ジムに行けなかったからといって、それが変わるわけじゃない。明日の朝行けばいい」と自分を肯定してあげれば、「自分にはできる」という気持ちが持ち続けられるそう。
※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text:Aryelle Siclait Translation:Ai Igamoto Photo:Getty Images