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【EDの原因・対処法】排卵日ED、妻だけED? ラブライフアドバイザーが教える、パートナーへの伝え方

男性側・女性側の気持ちは?

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a man and woman walking on a beach
Getty Images

日本人男性に多いといわれている「ED(勃起不全、勃起障害)」。これがセックスレスの原因になっているケースもあるものの、女性から話題にするのが難しい問題でもある。そこで今回は、ラブライフアドバイザ―のオリビアさんにEDの原因や対処法、パートナーへの伝え方について教えてもらった。

(「」内、オリビアさん)

そもそもEDとは? どんな症状?

banana
CSA Images//Getty Images

EDとはErectile Dysfunctionの略で、勃起不全や勃起障害とも呼ばれている。

「EDの定義は、満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態が持続または再発すること※。性行為の最中に萎えてしまう『中折れ』もEDに含まれます」

※ED診療ガイドライン[第3版]

原因はあるの?

brunette crying
CSA Images//Getty Images


「EDになる原因は『器質性』『心因性』『薬剤性』『混合型』に分類されます」

器質性:糖尿病や動脈硬化など神経・血管系の障害に起因したED。
心因性:
ストレスやうつ病などメンタルの不調を原因としたもの。
薬剤性:
降圧剤や抗うつ薬、AGA(男性型脱毛症)治療薬などの副作用によって勃起障害を起こすこと。
混合型:
これら3つが合わさったケースです。

「1998年にバイアグラ等のED治療薬が認可されてから、カウンセリングにおけるEDの悩み相談は減少傾向と言われていますが、心理的要因による中折れ相談はいまだに多いです」

EDの診断基準は? 

closeup of sad woman
CSA-Printstock//Getty Images

「アメリカで開発されたEDの自己診断指標『勃起の硬さスケール(EHS: Erection Hardness Score)』(2009年に日本語訳)では下記のようにグレードが分けられます」

グレード0 :陰茎は大きくならない。
グレード1 :
陰茎は大きくなるが、硬くはない。
グレード2 :陰茎は硬いが、挿入に十分なほどではない。
グレード3
:陰茎は挿入には十分硬いが、完全には硬くはない。
グレード4
:陰茎は完全に硬く、硬直している。

「グレード0−2は明らかにED。グレード3であっても満足な性交に支障があればED治療の対象となります」

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EDの症状がある人ってどのくらいいるの?

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CSA Images//Getty Images

「日本性機能学会が2023年に行った『性機能障害の全国実態調査』によると、ED患者は日本国内で約1400万人と推計され、評価基準を変えて検証すると3600万人を超えました。日本の男性人口は約6000万人なので、半数以上がEDの可能性があります」

「その他の調査でも、2024年2月に公開された『月刊TENGA 第52号』の男性の性の悩み調査結果でも年代別にみる男性の性の『悩み』『気になる』ランキングでは20代で『勃起力の低下』をあげた人が14.6%、悩みランキングの5位にランクインしています。40代を境に『勃起力の低下』の比率は増えています」

「また『排卵日ED』や『妻だけED』という言葉が生まれているように、『排卵日』のプレッシャーや特定のパートナーとの性行為の時のみ勃起がうまく維持できないケースもご相談でよく耳にします」

それぞれの気持ちは?

dreaming of the future
CSA Images//Getty Images

・男性側の気持ち

「初めて中折れやEDの症状に遭遇した男性は、ショックや焦りから『最近、ちょっと仕事が忙しいだけで、たまたま勃起できなかっただけだろう』とはぐらかしたり、『単に年のせいだろう』と気になってはいるけど治療や改善の行動に移す男性は少なく、EDが続くことで、だんだんとセックスから遠のき、セックスレスになることもあります」

・女性側の気持ち

「男性がEDを隠したり、はぐらかしたりすることで『相手が勃起できないのは、私に性的魅力がないから?』『もしかして浮気している?』と自信を失い、相手に対して疑心暗鬼になることが多いです。『プライベートなことだから指摘しにくい』『気まずい』『男性のプライドもあるだろうから、どう対応していいかわからない』という声を聞きます」

対処法はある? どこに相談すべき?

doctor and nurse
CSA Images//Getty Images

「男性自身がED改善に意欲的であれば、泌尿器科やメンズクリニック、生殖医療科などで専門医の診察を受け、ED治療薬を処方してもらうことがスムーズです。パートナーの問題として女性が相談する場合は、不妊治療を行うクリニックで相談にのってもらえると思うので確認してみてください。性の悩みを抱える男性は医師や専門家など権威的な存在の助言は受け入れやすい傾向があります。『医学会の統計でも日本では潜在的ED人口が多いんだって』『妊活は二人で行うことだから一緒に相談してみない?』と男性だけの問題として突き放さずに、協力姿勢を見せることが大事です」

「男性一人で行うトレーニングでは、視覚的刺激が強いAVをマスターベーションの時に見ないようにする、強いグリップ力でペニスを刺激しないなど、できるだけ生身のセックスで再現できる刺激で興奮や勃起が維持できるように自主練することが推奨されています。心因性の場合は、緊張やプレッシャーを感じる要因を探り、二人がリラックスして性行為に集中できる環境を整えたり、パートナーの女性の協力も有効です」

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パートナーがEDのときの伝え方

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CSA Images//Getty Images

妊娠したいけれど、パートナーがEDの場合……

「妊娠を意識した操作的なセックスのため、夫にプレッシャーがかかりEDになったというのは、よくご相談されることです。不妊治療中でもED治療薬は服用可能なので、不妊治療を視野に入れている場合は、病院で相談してみてはいかがでしょう。義務的な射精をさせられる男性の心理への理解と、テクニック面での工夫が有効です。排卵日EDの男性の中には『排卵日に下半身だけ露出した妻に腟内射精だけを求められて種馬になった気分だった』と今までの自分主導のセックスとは全く異なる妊活目的のセックスへの戸惑いを打ち明ける方もいらっしゃいました。

テクニック面では、パートナーの性格にもよりますが『私が頑張ろうかな』と挿入前の愛撫を積極的に行うのも助けになります。女性が愛撫をして勃起・挿入に誘うことを『ブリッジ法』と呼びます。女性が挿入への橋渡し役になるからです。

排卵日を意識しない自然なセックスと不妊治療を並行することでプレッシャーを軽減できたケースもあります。

シリンジ法という男性がマスターベーションで採取した精液を注入器(シリンジ)で腟内に注入する妊活サポートアイテムもあります。使用することにお互いに抵抗がなければ、そのようなアイテムを取り入れてみると勃起・挿入にこだわりすぎずに妊活ができます」

彼がEDで挿入できないことがモヤモヤ

「パートナーのEDのご相談は、気まずくてお互いEDに言及できない状態になっていることが多いです。『なんで勃たないの?』と追求したり、『私に魅力がないから?』とあなたが落ち込んだりする姿で、余計にパートナーはプレッシャーを感じてしまいます。相手を傷つけない伝え方(アサーション)を取り入れましょう。『否定語を使わない』『気持ち良さや満足感を感じたら大げさに褒める』ことを意識するだけでも受け手の印象が変わります。『今日は、疲れてる?』とスキンシップ重視の性行為に切り替えたり、ドリンクを飲んで休憩をはさんだり、一緒に入浴したり、気分を切り替えるのもよいですね」

ラブライフアドバイザー、オリビアさんからメッセージ!

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CSA Images//Getty Images

「パートナー男性の勃起の問題は、女性からなかなか切り出しにくい悩みです。相手のプライドを傷つけてギクシャクするのも嫌だし、指摘したことでセックスレスになってしまうことも現実にはあります。男性の勃起・挿入・射精を前提としたセックスから離れて、スキンシップを重視したセックスに切り替えたり、勃起の大敵である緊張感、プレッシャーをとく方法を工夫したり、女性からできるアプローチもゼロではありません。前向きに考えれば、EDをきっかけに二人のセックスを見直す良い機会になるのではないでしょうか?」



日本の男性の半数以上が可能性がある「ED」。そのくらい多い悩みだということを知り、責めたり、落ち込むのではなく、寄り添っていくことが大事だろう。

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OliviA
ラブライフアドバイザー

女性・カップルに性生活の総合アドバイスを行う。日本と台湾で著書出版。
日本の性の専門家として「VOGUE JAPAN」でも紹介される。
フェムテック・セクシュアルウェルネス・セクシュア ルプレジャーが専門分野。日本性科学会会員。
近著「セックスが本当に気持ち良くなる LOVE もみ」 (日本文芸社)
公式サイト olivia-catmint.com/
instagram @oliviacatmint 

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Nana Fukasawa
ウィメンズヘルス・エディター

2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。 

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