「『けがや事故で大量出血したら安静にするのに、同じように出血している月経の間は何ら変わらない日常を過ごすのか』とアーユルヴェーダドクターが話しているのを聞いて、私自身ハッとした経験があります」と話す、NY在住のモデルで、アーユルヴェーダヘルスアドバイザーの金原杏奈さん。今回は生理中の過ごし方について教えてもらった。

(「」内、金原杏奈さん)

生理の印象って?

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Jena Ardell//Getty Images

「PMSに始まり、生理痛や気分の浮き沈みなど自分でもコントロールできない大変さから、めんどくさいものと思っている人も多いかもしれません。私はこの毎月起こる女性の体のシステムをリスペクトしています。毎月起こる生理はデトックスや浄化であり、体の中で必要のなくなったものを排出する大切なサイクル。そして、望む、望まないに関わらず女性の体にしかできない妊娠・出産という大切な役割を果たす機能をもった女性の体には、生命の神秘を感じて仕方がありません。女性に生まれて毎月、生理と向き合っている方には、まずこの自然の原理をしっかり理解することと自分の体に愛と敬意を持ってもらいたいと思うのです」

アーユルヴェーダの視点から考える「生理」について

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Stefania Pelfini, La Waziya Photography//Getty Images

「アーユルヴェーダでは、生理が始まったらとにかく静かに過ごすことを推奨されます。ストレスがかかるようなことはもちろん避けて、激しい運動もしません。生理が始まった女性の体のエネルギーレベルは低くなるのが自然。でも、現代人は、夜遅くまで仕事をしたり、頭を使いすぎて体にストレスを与えたり。ランニングや有酸素運動のような激しい運動をする人もいるでしょう。その行動が生理痛などの不調につながっている可能性があります」

「アーユルヴェーダではその月の過ごし方が、次の生理に影響すると言われています。そしてその月の生理中の過ごし方が次のPMSに影響する。面白いですよね、全てはつながっているんです。女性の体はとても繊細です。男性と同じようなストレスに耐えられるような体は持っていないので、むやみやたらに自分に厳しくするのはやめて、自分たちの体にちゃんと意識を向けてあげましょう。それだけで、体はとても快適になりますよ」

【生理中の過ごし方】生理が始まったらとにかくスローダウン!

「私自身、生理が始まったらとにかく無理をしないことを意識しています。食事、運動、ライフスタイルなど、生理中にオススメな過ごし方をご紹介します」

1日目~3日目の過ごし方

◎冷えと血流悪化に気を付ける

「生理が始まったら1番に気をつけたい冷え。とくに腰とお尻まわりが冷えて、血流が悪くなると不快な生理痛を感じやすくなります。アーユルヴェーダでは生理が始まった3日間は入浴を避けるように推奨される場合もありますが、それは出血が多い場合の話。体に痛みがあって冷えを感じている場合はぜひ入浴して体を温めてくださいね。意外とすぐに不調が和らぐ場合があります。ただし、長風呂はやはりオススメしないので、38°Cくらいのお湯で5分〜10分程度入浴してください。日中でもおなかと腰にカイロを貼る、カイロサンドイッチもオススメです」

◎生理が始まったら2、3日は髪を洗わない

vintage bathroom
Jon Lovette//Getty Images

「考えたことがないかもしれませんが実は、脳と女性器はつながっているとアーユルヴェーダでは考えられていて、頭を刺激することでヴァータという排せつのエネルギーが高まります。そのため経血が増えると言われています。生理中は穏やかでゆっくりとしたエネルギーに包まれたい時間。ヴァータが高まることで生殖器を刺激しないように、生理の最初2、3日は洗髪を控えてみてください。生理中の頭痛も緩和されるようになると言いますが、子宮が穏やかであればつながっている頭にも影響するのは納得ですよね」

◎生理中は目を酷使しない

「子宮は脳だけでなく、目ともつながっています。目の疲れや乾燥、ブルーライトも子宮を冷やす原因になるので、夜遅くまでテレビを見たりSNSを見て目を疲れさせてしまわないように、なるべく早く寝るようにしましょう」

◎激しい運動は控える

「経験のある人も多いかもしれませんが、運動中に多く経血が流れ出る感覚を感じたことはありませんか? これも先ほどの洗髪と同じで、運動はヴァータのエネルギーを高めます。排出する力が高まり過ぎてしまうんですね。それを避けるためでもあり、冒頭でも話したようにエネルギーも低い時期なので、この時期はゆったりした散歩やストレッチくらいにするのがオススメです。穏やかな動きは血流悪化の改善にもなるので、ぜひ取り入れてみてください」

◎食事は温かくて消化に良いものを

「生理中は温かいハーブティーや料理を積極的に取り入れましょう。生理中は消化が下がるので軽めの食事やスープ、煮込み料理のようなものを食べると不調も緩和します。消化しやすく、脂質のある、温かい食事がポイント。お茶もカモミールやラズベリーリーフなどのハーブティーや、スパイスたっぷりのチャイもオススメです。寝る前にはスパイスを入れたホットミルクを飲むとよく眠れるようになりますよ」

生理4日目からは、さらに浄化期間

「生理の前半は静かに過ごしたら、後半は不要なものをさらに排出する期間だとアーユルヴェーダでは言われています。体のエネルギーも少しずつ高まってくるので、セサミオイルを使ってオイルマッサージ(アビヤンガ)を行うとさらに体をデトックスしてくれます。オイルが肌から経皮吸収されることで、体内の毒素を絡め取り毒素を排出する働きがあると言われています。他にも、部屋の掃除や断捨離などを行うのもオススメ。要らなくなったものを取り除いて、すがすがしいエネルギーで新しいサイクルを始めましょう」

まとめ

「休むのが苦手な現代人と言われていますが、生理中は『風邪をひいた時のように無理をしないで過ごす』ように意識してみてください。風邪をひいたら、お酒やコーヒーなどの刺激物は控えるし、食事もおなかに優しいものを食べたいですよね。場合によっては仕事を休む時だってあります。何もしない状態を作れる人はなかなか居ないと思いますが、少しばかりいつもより優しくすることはできるはず。とにかく自分に優しく甘える。そんな風に意識して過ごしてみてください」

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金原杏奈

東京都出身、NY在住。14歳でモデルデビューし、2011年よりニューヨークに拠点を移しワールドワイドに活動。アーユルヴェディックドクターであるNaina Marbaliに師事し、アーユルヴェーダ認定コースを修学。アーユルヴェーダをベースに、心と体の健康をつくる過ごし方を発信するデジタルプラットフォーム、Kitchen Pharmacy主宰。 


Instagram:@kitchenpharmacy

HP:www.kitchen-pharmacy.com/

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Nana Fukasawa
ウィメンズヘルス・エディター

2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。