突然だけど、あなたはビタミンDが足りてると思う? 実は、ビタミンDは、ほとんどの人が十分に摂取できていない栄養素なんだとか。

その証拠に、世界では、10億人がこの重要な栄養素を欠乏している推定されるという衝撃データがあるのだ。このビタミンDは別名「太陽のビタミン 」と呼ばれ、その理由は皮膚が日光に当たると、コレステロールからビタミンDが作られるから。つまり、自然光に当たるのが吉というわけ。でも、日に当たると、日焼けとかシミが気になるし……ビタミンDって本当に必要なの?

自然光とビタミンD

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Jonathan Storey//Getty Images

程よい自然光を浴びることは気持ちいいけど、年を追うごとに日差しは強くなってきているような気がするし、そもそも日焼けとかシミ、シワも気になるから、日に当たることを避けているという人も多いのでは?

紫外線の有害性はもちろん否定できない事実だとしても、一方で、 私たちに必要なビタミンDの90%は、日光の作用によって皮膚で生成されなければならない言われているということ、あなたはご存知?

日本人の多く、特に若い女性で深刻なビタミンD欠乏症が2000年代から報告されている。これは、先述した通り、日焼けやシミ、シワといった美容面での影響を懸念してのこと。なぜなら、ビタミンDをつくる紫外線の波長は日焼けをする紫外線の波長とほぼ同じで、 SPF30の日焼け止めをしていると、皮下でのビタミンD産生は5%以下に落ちてしまうから。

けど、そもそもビタミンDって、私たちにとってどんな働きをするのだろうか。

ビタミンDで得られる健康効果とは?

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【健康効果①】免疫力アップ

ビタミンDは免疫系にも重要と言われていて、自然光をコンスタントに浴びることで、免疫系を強化することができる。

ビタミンDが十分でない人は、感染症や関節リウマチ、1型糖尿病、炎症性腸疾患などの自己免疫疾患のリスクが高まる可能性があるということが研究で示唆されている。

また、まだまだ研究はまちまちな段階だけど、ビタミンDは重症のインフルエンザやコロナ感染を起こしにくくする可能性があるんだとか(今後の研究に期待しよう)。

【健康効果②】うつ病の予防

あなたには、気分が鬱々としている時に外に出たら、何だかスッキリしたっていう経験はない? それ、気のせいじゃないかも。

暗く長い冬に訪れる怠感に対する最も一般的で効果的な治療法のひとつは、自然光をより多く浴びることで、精神科医は、自然光を浴びるために屋外で過ごす時間を増やすことを推奨しているし、極端な場合には、太陽を模した明るい光を浴びる光線療法も処方するという。

【健康効果③】睡眠の質を向上

寝付きが悪い、夜中に目覚めてしまう、寝起きが悪い、寝ても寝ても疲れがとれない……そんなあなた、日の光に当たってる?

オフィスワーカーを対象とした2014年の小規模研究によると、自然光を多く浴びるほど、より良い睡眠が得られることが明らかになっている。

太陽の光は、メラトニン(体内時計を調整するホルモン)の量を増やしたり減らしたりするタイミングを体に伝え、体内時計を調整する。つまり、日光を浴びる機会が多ければ多いほど、眠るときにメラトニンが分泌されやすくなるというわけ。

アメリカ国立衛生研究所によると、朝1時間自然光を浴びるとよく眠れるんだそう。

【健康効果④】骨を強く元気に

加齢とともに悩みが増えてるのが骨の健康問題。「重いものを持ち上げたら腰が……」「ちょっとつまずいただけなのに骨が折れた」「関節痛がひどい」なんて声も決して珍しくはない。

そんなお悩みを抱えている人に朗報。ビタミンDは、骨の健康に不可欠なカルシウムの吸収を助けてくれるということが分かっている。疲れやすかったり、「これ以上骨のもろさを痛感するのは辛い……」と、薄暗い家の中で閉じこもっていたい気持ちもあるかもしれないけれど、部屋の中でもいいので、自然光を浴びて、骨にも栄養を送ろう。


自然光の取り入れ方

portrait of smiling young woman sitting on beach, with friends
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【取り入れ方①】自然光を浴びる前は、紫外線情報をチェック

1日に必要なビタミンD量を生成するために推奨される日光浴時間は、どの学会や機関でも公表されていないのが現状。というのも、その時間は緯度、季節、現地時間、上空のオゾンやエアロゾルの量によって大きく異なるから。

もちろん、日に当たりすぎることで懸念される影響は決して小さくない。だから、紫外線が強い時期や時間帯などをこまめに調べて、自然光を浴びる工夫をしよう。

ちなみに、インドサウジアラビアの研究によると、体内でビタミンDが最も”効率よく”作られるのは正午であることを示している。これは、太陽の光が一番高い位置にあることから、短時間でビタミンDを生成できるという考え方からきたものだ。一方で、正午に日光を浴びると、危険な皮膚がんのリスクが高まる可能性があるという研究もあるので、要注意。

【取り入れ方②】野外がベスト

「室内で日に当てれば」とお考えの人もいるかもしれないけれど、残念ながら窓ガラス越しで自然光を浴びるのは不十分なんだとか。これは、現在使われている窓ガラスのほとんどが、紫外線をカットする機能がついているのが一般的なため。自然光の効果を最大に得るためには、屋外へ出るか、窓を開けて網戸越しに太陽の光を浴びるのがベスト

また、自然光を浴びるついでに運動もしてみてはいかが? 運動は気分を向上させることが知られており、最近の研究では、運動とビタミンDの増加が実際に関連していることが分かってきている。

【取り入れ方③】柑橘類は避けるべし

お肌のために、オレンジやレモンを食べているという人もいるんじゃない? だけど、自然光に当たる前は、これらはNG。なぜなら柑橘類、そしてセロリは、植物性光皮膚炎として知られる光線過敏症を引き起こす可能性があると言われているから。この症状は、ライム、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、セロリ、ニンジン、イチジク、パセリ、パースニップなどの果実から滴り落ちる果汁が皮膚に接触したときに起こるそうで、日の光に反応して、皮膚にかゆみや赤みを起こすことも。紫外線の吸収を助長するため、シミなどの原因にもなるので要注意。プールサイドで、テキーラサンライズを飲みながら日光浴は控えて。

【取り入れ方④】必要な場合はサプリ摂取も検討して

そもそも、ビタミンなんだから、食べ物から摂取できるとお考えの方もいるかもしれない。ビタミンDは魚やきのこなどの食べ物からも摂取可能。あるいは、ビタミンDの摂取量が推奨値を下回っていると思われる場合は、専門家に相談し、サプリメントの摂取が適切かどうか尋ねてみるのがいいかも。特に天候が不安定な日や冬場などは、自然光を浴びるのが難しい場合はサプリもうまく利用すべし。

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桑子 麻衣子
ライター

1986年横浜生まれ。2013年よりシンガポール在住。幼少期よりクラシックバレエの練習に励みバレリーナになることを目指していたが、思春期に恋愛に走ってしまう。ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーの経験を活かし、現在は国内外のウェルネスやフィットネスなど健康周りの情報を中心に発信するライターとして活動。根っからの健康オタク。
Instagram: @mic_kwk