イギリスの国民健康サービス(NHS)では、白っぽいおりものが正常だと述べている。このことを考えると、ある日突然ピンクのおりものがショーツに付いていたら、どこか悪いのではないかと一気に怖くなるよね? でも大丈夫。幸いなことに、普段とは少し違う色をしたおりものが出るのにはさまざまな理由があり、その多くが治療可能なもの。

記事では、ピンクのおりものが出る原因について、専門家がイギリス版ウィメンズヘルスに詳しく解説してくれた! ネット上にある恐ろしい話をスクロールするくらいなら、代わりにこれをしっかり読んで。

ティッシュで拭いたらピンク色のおりものが付いていた。これって正常?

ピンクのおりものを見るとギョッとする人は多いかもしれないけど、それには多くの原因があり、すべて不安視する必要はない。でも、自分でなにかがおかしいと感じているなら、迷わずに医師の診察を受けて、症状を正確に伝えよう。

カンジダ腟炎でピンク色のおりものが出ることはある?

ある。カンジダ腟炎や細菌性腟炎にかかると、腟壁から出血を引き起こし、白いおりものと血液が混ざってピンク色になることがある。これが原因だと思うなら、病院で診察を受けよう。

ピンク色のおりものが出たら、妊娠したということ?

必ずしもそうとはいえないけれど、可能性はある。受胎後に点状の出血や軽い出血がみられる着床出血は、妊娠の初期徴候のひとつ。ただし、妊娠するとすべての人に着床出血があるということはなく、妊娠によって必ずしもピンクのおりものが出るとも限らない。妊娠の可能性がある場合は、感度の高い妊娠検査薬であれば、受胎後から8日前後で生理が始まる前に妊娠判定ができる。

ピンク色のおりものが出るのは、どのくらいの期間続くの?

なにが原因でピンクのおりものが出ているかによって異なるので、はっきりとは断定できない。

性交後に軽い出血やピンクのおりもの(性交後出血)が出る場合は、基本的に1〜2時間程度しか続かない。一方で、排卵や着床出血によって生じるピンクのおりものは、大体数時間から数日間程度。あまり一般的ではないけれど、着床出血が7日間続いたと報告している女性もいる。

また、新しい避妊法に切り替えた直後は(とくに子宮内避妊具や避妊インプラント、避妊注射をしていたり、新しいピルを試しているなら)、ピンク色のおりものが数カ月続くことがあり、これは極めて正常で、時間とともに出血は治まる。

ピンクのおりものが、正常とみなされる期間よりも長い期間続くようであれば、医師の診察を受ける必要がある。

ピンクのおりものが出る11つの原因 

1. 生理

white sanitary pad with red and pink flowers on it, woman health or body positive concept pink background flatlay copyspace
Natalia Lavrenkova//Getty Images

おりものがピンク色をしているもっとも明白な原因はおそらく血液。産婦人科医のブルック・ヴァンダーモレン博士によると、生理の始まりや終わりにかけて、経血がほかの腟分泌物と混ざって赤からピンクに薄まることがある。

通常の生理周期とは関係のない時期にピンクのおりものが出た場合は、生理不順の兆候かもしれない。これは、年齢やストレス、旅行などによるライフスタイルの変化、体重の変動など、さまざまな原因によって引き起こされる。

2. 排卵している

「排卵期(生理周期の半ば)に、ピンクのおりものが出ることがあります」と、ヴァンダーモレン博士。

約5〜20%の女性は、排卵時に中間期出血を経験する。おりものがピンクになる理由は、この時期に体が余分に分泌する透明な頸管粘液によって、血液が希釈されるから。

「これは、排卵が近づくにつれ急激にエストロゲンが増加し、その後減少することで、子宮内膜に変化を引き起こすことが起因しています」と、ヴァンダーモレン博士。通常は、12〜72時間程度続く。

3. ホルモンバランスが崩れている

エストロゲン値が低下すると、予定より早く、あるいは不規則に子宮内膜が剥がれ落ちるので、ピンクのおりものや点状の出血がみられる。

「エストロゲンの濃度が高くても低くても、不正出血が起こりえます」と、ヴァンダーモレン博士。「例えば、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などで月経周期が不規則な場合は、卵子が排出されない無排卵月経が起こることもあります」

「このような状態では、プロゲステロンが正常に分泌されず、エストロゲンによって子宮内膜がどんどん厚くなります。これにより、不完全で不規則に子宮内膜が剥がれ落ち、ピンクのおりものや赤い点状の出血がみられるようになります」

排卵してもエストロゲンの数値が低いままである場合もあり、これもまた、不正出血やピンクのおりものが出る原因になる。ほてりや不眠症、気分の浮き沈み、ブレインフォグ、尿路感染症など、このようなホルモンバランスの乱れから生じるほかの症状はないかどうか、よく観察してみて。これに当てはまるなら、医師の診察を受けるべき。医師に症状をしっかり伝えよう。

4. 避妊法を変えた

産婦人科コンサルタントのシュリー・ダッタ医学博士によると、女性の多くがホルモンによる避妊法を開始してから最初の数カ月の間に、破綻出血を引き起こす可能性があり、ピンクや赤みがかった色、もしくは茶色のおりものや出血が出る。

不快だけれど、新しいホルモンに体が順応するための必要なプロセスにすぎないので、心配する必要はない。

5. 妊娠している

pregnant woman touching abdomen sitting chair
sot//Getty Images

受精卵が子宮内膜に着床すると、着床出血という名のピンクのおりものが出ることがある(注意事項:すべての女性に着床出血があるとは限らない)。予期せぬ出血があったり、避妊手段をとらずにセックスをした際は、つわりやおっぱいの痛み、疲労感など、妊娠初期のほかの兆候にも目を向ける必要がある。

また、妊娠中でもピンクのおりものが生じることはある。ダッタ博士によると、とくに胎盤が低い位置に形成されている場合は、胎盤の端から出血を起こすことがある。

「子宮頸部に異常があったり、破水したときにも、ピンクのおりものがみられます」と、ダッタ博士。

「さらに妊娠後期になると、陣痛が始まる合図としてピンクのおりものが出ることもあります。妊娠中はどのステージにいようと、あなたと赤ちゃんの健康状態をチェックするために定期的に検診を受けることが常に大切です」

6. 流産の前兆かもしれない

可能性は低いけれど、知識として知っておく必要がある。流産の中には、大量出血する場合もあるが、ダッタ博士によると、一部の女性にはピンクのおりもののように見える場合もあるそう。新たな症状や感覚が現れて心配になる場合は、時間を作って検診を受けることが大切。不安であれば、すぐに医師や産婦人科医に連絡をとること。

7. 性感染症(STI)

避妊手段をとらずにセックスをして、ピンクのおりものがあり、妊娠していないとなると? ダッタ博士いわく、性感染症にかかっている可能性がある。クラミジアや淋病のような特定の性感染症は、未治療のまま放置しておくと、骨盤内炎症性疾患 (PID) や不妊症につながる恐れがあるので、ほかの症状にも注意しながら、クリニックや自宅で検査を受けるように。

8. 卵巣嚢腫がある

卵巣嚢胞は、子宮内膜症などの疾患だけでなく、ホルモンの不均衡によっても引き起こされることも。この場合は、症状としてピンクのおりものが出るだけでなく、膨満感や骨盤の痛み、重苦しさを感じることがあるそう。

「これは稀ではありますが、少数の女性には、ホルモンを放出する卵巣嚢胞が異常な腟出血を引き起こすことがあり、この出血量は時間が経つにつれて増加します」と、ダッタ博士。

このような症状に加え、骨盤の片側に痛みを感じる場合はなおさら、子宮外妊娠の兆候である可能性もあるので、医師の診察を受けること。

9. 閉経期を迎えている

更年期へ移行すると、卵巣では前ほどエストロゲンが分泌されなくなり、生理周期に影響を与え、予期せぬピンクのおりものが出ることがある。

以前のように腟に潤いがなくなってきたと感じている? もしくは、セックスをする気も起こらない? 寝汗をかいている? これらは40代にもっとも多く見られる早発閉経の徴候であるため、問題を調べるために、病院で血液検査を受けること。

10. 最近激しいセックスをした

happy young couple lying in bed
Westend61//Getty Images

この場合に出るピンクのおりものは、擦り傷やかすれ傷による出血だと考えて。激しいセックスをしたり、特定のものを腟の中に入れたりすると、炎症や軽い出血を引き起こし、ピンクのおりものが出ることがある。

「子宮頸部にはかなりもろい組織があり、簡単に出血を起こしてしまいます」と、ヴァンダーモレン博士。

また、子宮頸部の内側にあるはずの内膜が、子宮頸部の外面に広がる子宮頸部外反症の可能性もある。これは避妊ピルを服用していたり、妊娠している場合はとくに起こりやすく、セックスなどで接触した際に出血しやすくなる。

セックス中は体をいたわることを意識して。治るまでの間は、少し一休みすることも大切。

稀にピンクのおりものが子宮頸がんと関連付けられることもあるので、セックスをした後に定期的に出血がみられる場合は、医師の診察を受けるべき。

11. カンジダ症に感染している

カンジダ症は、腟壁から出血が起こり、白いおりものと混じってピンクのおりものを生み出すことがある。

まとめ

あなたにとってピンクのおりものが普通でない場合は、医師の診察を受けることが常に最善。とくに、上記の原因のいずれにも当てはまらない場合や、セックス中の痛み、腰痛がある場合、あるいは、おしっこに行きたくなる回数が増えたり、尿や便に血が混じっている場合は、決して放置することのないように。

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: EMMA PRITCHARD Translation : Yukie Kawabata