誰しも一度は、”アソコのにおい”、つまり自分のデリケートゾーンのにおいが気になった経験があるはず。周りに聞きにくい部位のことだから、「正解」がわからずに一人悶々としている人もいるのでは? そこで今回は銀座ケイスキンクリニック院長・慶田朋子先生にアソコのにおい、デリケートゾーンの「におい対策」を教えてもらった。これを読めば、Hのときににおいが心配…...なんてお悩みから解放されるはず。

目次

  1. デリケートゾーンにおいの原因は?
  2. アソコのにおいは「裾わきが」の可能性もある
  3. 実は、アソコのにおいは「あるのが正常」!
  4. 自分のデリケートゾーンのにおいを知っておこう
  5. アソコのにおい問題は、付き合い方を考えるきっかけにも
  6. アソコにおい対策には、毛はないほうが断然いい
  7. おすすめのデリケートゾーンの洗い方
  8. ウォシュレットの当てすぎはNG!
  9. 生理中のにおい対策は“濡れた状態”を回避すること
  10. 食事でデリケートゾーンのにおい対策!
  11. まとめ
アソコのにおい デリケートゾーンのにおい
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1.デリケートゾーンのにおいの原因は?

においが発生するには、必ず原因があるもの。「一般的にデリケートゾーンがにおう原因は大きく分けて、汗、皮脂、尿や便、月経血、おりものが関係しています。それぞれ、詳しく見てみましょう」(慶田先生・以下同)

アソコのにおいの原因①「汗」

汗腺にはアポクリン汗腺、エクリン汗腺の2つがあるけれど、アポクリン汗腺から出る汗はほんのり黄色でねっとり。においもあり、フェロモン汗と呼ばれる。

このアポクリン汗腺はワキの下、乳輪、そして、デリケートゾーンに存在する。だから、デリケートゾーンはにおいのある汗をかいて当然。さらにショーツを長時間履くことで蒸れるため、雑菌が繁殖し、においは増幅しがち

アソコのにおいの原因②「皮脂」

汗とセットでにおいの原因になりやすいのがこれ。頭、顔(特にTゾーン)、胸、背中の上部、ワキの下、デリケートゾーンは皮脂の分泌が盛んな「脂漏部位」に該当。

また、男性ホルモンの関係で男性は女性より沢山の皮脂分泌されるけれど、女性だって性成熟期は皮脂量が多いから、どうしてもにおいやすくなる。

アソコのにおいの原因③「尿や便、月経血、おりもの」

尿や便、月経血、おりものもにおいに繋がる。トイレで排泄・排尿のあと、ウォシュレットを使用する人も多いと思うけれど、小陰唇の裏側、シワの間は拭き残しや洗い残しになりやすい。特に、毛が多く生えている場合は洗浄しても、どうしても毛に付着して残りやすい。


2.アソコのにおいは「裾わきが」の可能性もある

裾わきがとは、デリケートゾーン周辺でわきが臭がすること。これを聞いて、「もしかして、私も裾わきがかも!?」と心配する人がいるかもしれない。裾わきがかどうかは、ワキのわきがであるかどうかと、家族にわきがの人がいるかどうかで大体判断がつく。

裾わきが デリケートゾーンのにおい アソコのにおい
Frederic Cirou//Getty Images

「ワキのわきがの有無を簡単にチェックするには、耳垢のタイプを見るといいですよ。ベチャッとした耳垢の場合は程度の差はあれど、わきがの可能性大。カサカサ耳垢の人は、心配しなくてOKです。また、家族にわきがの人がいる場合は、遺伝している可能性があります。もし、裾わきがだとしても、対策を行えば、においを抑えることは可能。ただし、程度が重くてお悩みの場合、ボトックス注射でアポクリン汗腺の機能を抑えることが有効な場合も。まずは、美容皮膚科診察を受けてみてくださいね」


3.実は、アソコのにおいは「あるのが正常」!

におい=悪、と考えがちな私たち。「清潔にしているつもりでも、においがある私って不潔なの? それとも体に問題があるのも!?」と考える人がいるかもしれない。でも、実は本来あるべき、健康だからこそ放つにおいも存在する。

「汗や皮脂、尿や便などによるにおいは無くなるように対策するのがベストですが、健康な女性だからこそ持つ“におい”があるんですよ。

 女性は出産をする都合上、膣、子宮、卵管そして卵巣の先はすぐに腹腔という体の構造。これは一歩間違えると、悪い菌などがすぐに体内に運ばれてしまうというデメリットが。でも、その代わりに女性の膣内は、菌などの異物をやっつけるためにデーデルライン桿菌の作用で“酸性”に保たれているのです。結果、健康である女性のおりものは、ヨーグルトのような酸っぱいにおいがします。ヨーロッパの伊達男たちは、女性のこのにおいを『君のはまるで上質なチーズのようなにおいだ』と褒めるという話もあるんですよ」

デリケートゾーンのにおい アソコのにおい
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4.自分のデリケートゾーンのにおいを知っておこう

自分のおりものの形状やにおいを、毎月しっかりチェックしておく必要も。排卵期に分泌されるおりものは、精子が子宮の中で進みやすくなるようにサラッとした状態。それ以外の時期は、ねっとりしがち。

カンジダ膣炎の時はカッテージチーズのようなおりものが大量に出て痒みを伴うし、細菌感染の時は黄色い臭いおりものになることも。自分の普段のおりものの状態とにおいを知っておくと、体のトラブルに気付きやすくなる


5.アソコのにおい問題は、付き合い方を考えるきっかけにも

セックスのときに、パートナーからデリケートゾーンのにおいを指摘されたことがある? しかし、それは彼が女性の体について、無知ゆえかもしれない。

日本の男性も、女性のデリケートゾーンが無臭ではないことをしっかり理解しておくべき! もしも悪気がなく、においに関して無知であるだけなら、女性が優しく教えてあげて。パートナーに臭い、嫌だと言われてショックを受けたとしても、今後も仲良くやっていきたい彼なら、優しく導いてあげたらいいと思います。あなた本来のにおいを否定するような男なら、教える価値はなし! 次の恋にいきましょう(笑)」


6.アソコのにおい対策にも、毛はないほうが断然いい

においと決別したいなら、デリケートゾーンの毛はないに越したことはない。毛がなければ、尿や便などの残存問題も解消しやすいからだ。

「正面のV部分はあってもいいですが、IとO部分の毛はなくていいと思います。介護脱毛の重要性が謳われていますし、白髪になったらレーザー脱毛は効きません。この機会に医療レーザー脱毛を行うことをおすすめします。とっても快適ですよ。

毛抜きやブラジリアンワックスで毛を抜くのは毛細血管を引きちぎりながら毛乳頭血管近辺も抜いてしまい、その後、埋没毛や毛嚢炎の心配もありますから、絶対にやめましょう。剃毛は毛を抜くよりはいいですが、すぐ生えてきてチクチクするので、パートナーには優しくない選択と言えるかもしれませんね」


7.おすすめのデリケートゾーンの洗い方

においを解消しようと、石鹸で念入りに膣の入り口までゴシゴシと洗ってしまう人も多いはず。でも、それは大きな間違い!

「膣の中を石鹸でゴシゴシ洗ってしまうと、酸性の状態を保つことができなくなり、カンジタなどに感染しやすくなってしまいます。だから、膣の入り口周囲(会陰部)~小陰唇、大陰唇のあたりまで、をよく泡立てた石鹸でササッと洗う程度が理想です。毛がなければ、手で拭うように、そして簡単に洗えますから。

デリケートゾーン におい アソコのにおい
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性交渉の前なら、小陰唇の裏側は、汚れが溜まりやすいのでちょっと丁寧に洗っても。石鹸、ボディソープ、デリケートゾーン専用のソープなどで洗っていただければOKですが、私は刺激が少ない顔用の洗顔料を使っています。おすすめは弱酸性の洗顔料。洗ったあとはよく拭いて。洗ってもにおいが気になる場合は、デリケートゾーン付近にボディクリームや香水をプラスしてみて。本来香水は消臭のためではなく、自分の体臭と混ぜて使うもの。自分だけの香りを楽しみましょう」


8.ウォシュレットの当てすぎはNG!

セックスの前にシャワーができない場合など、ウォシュレットでデリケートゾーンを念入りに洗浄する女性もいるのでは? でも、それも今すぐやめるべき。

「大陰唇&小陰唇の皮脂は全身で一番薄く、ラップ以下レベルの薄さなので、ウォシュレットの水流を強く当てると、刺激を与えてしまい、炎症を起こしやすくなります。さらに、膣の中を洗浄するのはもってのほかです。

 尿が残っていると痒くなるという人は、ウォシュレットで尿道周りをサッと洗い流すのはOK。洗い流したら、ティッシュペーパーで拭いて。

便はそもそも、自然とキレがよく、終わったら、おしりの穴に何も付いていないのが健康の証。穴周りが汚れてウォシュレットで洗わないとダメという人は、肛門や腸内環境に問題アリかもしれません。洗浄する場合はササッと短時間で。洗浄しすぎてしまうと、本来あるべき常在菌をなくしてしまい、肌荒れなどを招く場合が。こちらも短時間の洗浄をしたら、ティッシュペーパーで水分を吸わせるように拭きましょう」


9.生理中のにおい対策は“濡れた状態”を回避すること

においを発生させないためには、ナプキンやタンポンはこまめに替えることが最も重要。他にもできることはある?

「こまめに替えるのに加え、タンポン+ナプキンのW使いがおすすめ。経血が表に出ないようにタンポンをし、どうしても多少出てきたものは、肌触りのいい素材のナプキンで吸い取るという形にすることで、においの発生を抑えます。

デリケートゾーンが経血で濡れると炎症(ナプキンかぶれ)も起こしますし、どうしても雑菌が増え、においが発生してしまうのです。そういった意味から、経血で濡れた布がデリケートゾーンに常に当たってしまうナプキンのみの使用はおすすめできません。また、吸水性の低い布ナプキンをどうしても使いたい場合は、月経血の少なくなった5日目以降がよいでしょう」


10.食事でデリケートゾーンのにおい対策!

デリケートゾーンのにおいには、実は食べ物も大きく関係。今までご紹介した対策に加えて行えば、効果はアップするはず。

「においはアポクリン汗腺から汗と一緒に排出されたり、腸内環境が悪いと、体内でにおいを抑えられず、血液を通じて放たれます。その原因となる食べ物が、お肉、にんにく、スパイス、スパイスを使ったカレーなど。

スパイス カレー アソコのにおい デリケートゾーンのにおい
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例えば、日常的に3食すべてカレーを食べている人は体臭として、スパイスのにおいがすることも。常に避けるのは栄養が偏るのでおすすめできませんが、気になる人はデートの予定のある2、3日前にはにんにく、スパイスあたりは過度に摂りすぎないなど、意識してみて」

デリケートゾーンを清潔に保って、 ストレスフリー&ハッピーな毎日を!


11.まとめ

慶田先生のお話を聞いて、「本来あるべきにおいはきちんとキープしつつ、不潔なにおいはきちんと解消するのが大切」ということがわかったはず。においに関する正しい知識を得れば、セックスの前に憂鬱になることもなくなり、パートナーとハッピーな時間を過ごせるはず。

Text:Eri Hamada

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慶田朋子
銀座ケイスキンクリニック院長

 医学博士。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本レーザー医学会認定レーザー専門医、日本美容皮膚科学会会員、日本抗加齢医学会会員。東京女子医科大学医学部卒。同大皮膚科助手を経て、「銀座ケイスキンクリニック」を開設。最新の医療機器と注射によるメスを使わないナチュラルな若返り治療、食と美容、健康などの幅広い知識から、テレビや雑誌、WEBなどで活躍。著書に『365日のスキンケア』(池田書店)や『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館)がある。  ウェブサイト: www.ks-skin.com/ 

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Kanna Konishi
ウィメンズヘルス・副編集長

編集者として多くのメディアに携わったのち現職。健康オタク歴20年、趣味は"毒出し"で、体と心と部屋を効率よく整え、環境にもいい健康法を探るのがライフワーク。チアリーダー経験あり、勝手に人を応援しがち。仕事では「心から推せるものしか紹介したくない!」と目を血走らせ、常に情熱大陸に上陸中。 

Instagram: @editor_kanna_purico