あなたの理想的なサステナブルな暮らしってどんなもの? オーガニック食品スーパーで毎日買い物をする、エシカルな洋服を着る、環境に優しい化粧品を使う……。そんなことを何も考えずにしていると、(お金に余裕のある人は除いて)ぶち当たる壁が「お財布には優しくない」ということかもしれない。サステナブルな消費と節約は相反するものであるケースが多いため、わたしのように予算が限られている場合、環境に配慮することは時に難しいことになる。

わたしもスーパーマーケットで、オーガニックと書かれたトマトとそうでないトマトの箱を見つめて、失敗したと思ったことが何度あったか分からない。

この、環境に優しい選択肢と、より手頃な選択肢との間のジレンマは、食品の買い物に限ったことではなく、消費生活のあらゆる側面に及んでいる。東南アジアの森林破壊につながるパーム油入りの食器用洗剤に1ドルかけるか、持続可能性を掲げるブランドにその4倍をかけるか。パラベン(防腐剤)を使った100円ショップのシャワーカーテンがいいのか、それとも30ドルで売られているオーガニックコットンのカーテンがいいのか?

もし、わたしにお金の制限がなければ、何の疑問もなくいつも環境に優しいものを選んでいたい。(その方がわたしの気分もいいし)けど、悲しいかな、実際にはお金の問題があって完全に環境に優しいものだけを選ぶ余裕はない。

試行錯誤しながらサステナブルな暮らしジャーニーを6年近く続けてきた中で、得た教訓が「サステナブルな暮らし=エコラグジュアリーな暮らしではない」ということ。そして、実際にちょっと意識するだけで予算内でエコを実現できる上、お金を更に節約することだって可能になる。今回はわたしが、お財布にも優しいサステナブルな暮らしを維持するために意識していることをシェアしていく。気になる人の参考になれば嬉しい。

新しいものを買う前に、今あるものを使う

orange armchair
Catherine Falls Commercial//Getty Images

確かに、「最新で最高のゼロウェイストアイテムを買いたい」という気持ちもよく分かるけど、その前に、まず今あるものを使うことが、環境にも家計にも一番優しい方法。

Instagramのフィードで見たあの商品、ゼロ・ウェイストショップで目についたあの商品って、本当に必要?

私たちが本当に必要としているものって実はごくわずか。つまり、多くのものはわたしたちには必要のないもの。何かを欲しいと思ったら、本当に必要かどうかを見極めるために30日間待ってみて。懐を守るだけでなく、カーボンフットプリントを減らすことにも貢献できちゃう。

「一生使いたい」再利用可能なアイテムを選ぶ

young woman with travel mug sitting in meadow
Oscar Wong//Getty Images

一度でゴミ箱行きの使い捨てのアイテムではなく、再利用可能なアイテムを選ぶことは、サステナブルな暮らしの特徴のひとつ。でも、今は本当にたくさんの再利用可能アイテムがあり、どれも欲しくなるから困る。

けれど、これもやっぱり環境にもお財布にも優しくするためにインテンショナルにしたい。

一度購入してできれば半永久〜永久的に使い続ける“自信”があるものを選ぶように心がけよう。そして自分の選択に責任を持つ。

今は、本当にたくさんのサステナブルなアイテムがあるし、どれも魅力的だけど、いくら環境に優しいからと言っても新しいものが出てポンポン買ってしまうのはちょっと違う気もする。

Buy Nothing

sustainable fashion delivered to you
SolStock//Getty Images

英語には、“One person’s trash is another person’s treasure. ”というフレーズがある。日本語に訳すと、「ある人にとってのゴミは、別の人にとっては宝もの」ということ。

新しい買い物に投資する前には、自分が属しているコミュニティーに声をかけてみて。わたしの場合は、海外暮らしで外国人が周りに多いので、入れ替わりが激しい。誰かが国を出ていく時には「処分するものがあったら教えてね」とやや前のめりで伝えると、大抵何かしら良いものを譲ってもらえる。また、私が必要だと言ったから、あるいは欲しいと言うと、それをたまたま持っている人が「ああ、こんなの持ってるよ」と譲ってくれることも少なくない。

アメリカ発祥の「Buy Nothing Project(バイ・ナッシング・プロジェクト)」は、自宅にある不要なアイテムを必要としている人に無償で譲るというムーブメントで、世界の様々な国でグループが作られている。日本でも信頼できる人同士のコミュニティーで、こうした無償で譲るという文化が根付いたらいいよね。

オーガニック食品は旬のものを農家から

community farming peers standing together with the allotment produce, laughing
Mike Harrington//Getty Images

農産物が旬の時期には値段が安くなる傾向があるので、オーガニック食品もお手頃に手に入る。更に、農家さんやファーマーズマーケットで直接購入すれば、もっとお得に購入できることもあるので、チェックしてみて。スーパーマーケットなどには並ばない新鮮なものや採れたての食材が手に入るのでさらに嬉しい。

健康視点での話になるけれど、旬の食材には、そのシーズンにわたしたちの心身に必要な栄養がたっぷり詰まっているので、積極的に取りたい食材でもある。技術が発達したおかげで季節関係なしに色々な食材が食卓に並ぶことも少なくないけれど、季節ごとの食材を料理すると元気になれるのでぜひ、季節の料理を楽しんで。

わたしたちが健康になることで、地球も健康になるんだと思うと、なんだか嬉しい。

ビューティーアイテムを購入する前にサンプルを試してみる

asian woman applying moisture cream at her face
Sergey Mironov//Getty Images

環境に優しいからと言って、わたしの肌に合うとは限らない。ついパッケージの可愛いさや使命感の強さに惑わされがちなビューティーアイテムだけど、フルサイズを買って無駄にしないためにも、最近はサンプルをもらって自分に合うかどうか確認するようにしている。特に、海外製品は注意が必要。

わたしはオーガニック大国と言われる国のビューティーアイテムを使うと必ず、肌が荒れるという事例を何度も経験しているけれど、よくよく考えてみたら、まず海外の人とわたしのいる環境(乾燥した国なのか、湿気の多い国なのか 等)や、肌質も異なるから、どんなに良いものでもわたしに合っていないこともあるのだ。

サンプル品を配布していない場合も、店頭で実際にアイテムを試してみるのがおすすめ。

また、余裕があるのであれば、サンプル+自分でビューティーアイテムをDIYするのもおすすめ。DIY美容のメリットは、ナチュラルなだけでなく、お肌の調子などに合わせて自由自在にカスタマイズできること。冷蔵庫にあるものだけでできるので、ぜひ自分の肌状態に合わせてトライしてみて。


DIYナチュラルクリーニング

natural homemade cleaner supplies
wera Rodsawang//Getty Images

ナチュラルな掃除用品もたくさんあるけれど、結構高い。実は冷蔵庫にあるものから簡単に作れちゃうので、ぜひお試しあれ。必要なのは、重曹、ホワイトビネガー。もし、おしゃれにしたいなら、ペパーミント、レモン、ラベンダーなどのエッセンシャルオイルを数滴加えて。わたしの場合は、自作コストは、市販の同等品に比べ約10分の1で済んでしまうからかなり助かる。

キッチン周りから、リビング、玄関まわり、床掃除までこれ1つで◎。

ただし、超ナチュラルクリーニングなので、市販品のように頑固な汚れを落とします!というものではないので、毎日汚れがひどくならないようにこまめな掃除が肝心。

お母さんになる

small family
Gravity Images//Getty Images

「お母さんになる」というのはあくまでも比喩なので、お母さんにならなくても大丈夫。

わたしは、小さい頃に「昼間は電気を消しなさい」「使ってないなら蛇口を締めなさい」と母によく言われていたけれど、これは電気代や水道代の節約というだけでなくエネルギーの無駄遣いを防ぐことにもつながる。

部屋を出るときは電気を消し、使わないときは電子機器のプラグを抜いて、電源タップを活用し、シャワーを短めに浴びる、エアコンを控えめに使う。また、洗濯物は冷水で洗い、洗濯の回数を減らすようにするのも◎。

これらはすべて、まったくコストをかけずにできること。

サステナブルな暮らしをサステナブルにするために
わたしが自分に言い聞かせていること

サステナブルな暮らしは、白黒をはっきりさせることではなく、環境負荷の少ない生活や、よりシンプルさを意識した生活など、さまざまなライフスタイルの選択であることを認識することが大切。

重要なのは、個人的な事情に関係なく、誰もが小さな改善をすることができるということ。ミクロの視点を大切に。みんなが完璧を目指すのではなく、前進することを目指していけたらいいよね。

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桑子 麻衣子
ライター

1986年横浜生まれ。2013年よりシンガポール在住。幼少期よりクラシックバレエの練習に励みバレリーナになることを目指していたが、思春期に恋愛に走ってしまう。ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーの経験を活かし、現在は国内外のウェルネスやフィットネスなど健康周りの情報を中心に発信するライターとして活動。根っからの健康オタク。
Instagram: @mic_kwk