旅の計画を立てるにあたり、「サステナビリティをより意識するようになった」という人もいるのではないでしょうか。世界的にもその傾向は強くなっており、「サステナブル・ツーリズム」という言葉もよく耳にするようになってきました。
そこで、サステナブルな国内旅を比較的気軽に楽しめる、おすすめのAirbnbリスティングを厳選してリストアップ。地域の「環境」「文化」「経済」を守り育むために、太陽光発電やコンポストを採用したものから、農業や伝統産業、異文化を体験できるもの、文化財に泊まれるものまで、それぞれサステナブルポイントを備えています。日本国内を旅する際のヒントとして、ぜひ役立ててみてください。
マタギ文化を知る in 秋田県
秋田県の内陸部、森吉四季美湖のそばにあるこの古民家リスティングは、秋田発祥とされる「マタギ文化（狩猟文化）」の歴史やスピリットを知ることができるレアなスポット。
素泊まりプランもあるが、泊まるなら熊肉をいただけるトレッキングや、囲炉裏を囲みながらのきりたんぽ鍋作りなど、オプションがたっぷり詰まったプランをチョイスして。豊かな緑の中、自然との共生について学びを得ながらステイを楽しんでみましょう。
利用は6月、7月、9月、11月～2月のみ、さらに1日1組限定、2泊3日からなので、早めの予約がおすすめです。
築350年の重要文化財で歴史の息吹を感じる in 秋田県
江戸前期に建てられ、国の重要文化財に指定されているこの古民家は、源義経の重臣・鈴木三郎重家が土着し、現在もその末裔が住み続けている由緒正しきリスティング。重要文化財に泊まれるリスティングは、なかなかありません。
薪割りや障子貼りのほか、近隣の茅ぶき屋根住宅の見学や、茅刈り、餅つきなどのオプションもあり、歴史に思いをはせつつ、当時のリアルな農村生活に近い体験ができます。館内には「開かずの間」もあり、不思議な体験をしたゲストも過去にはいたとか……。
なおエアコンはないので、厳しい冬より夏の宿泊がおすすめ。“大曲の花火”こと全国花火競技大会や、『鎌鼬（かまいたち）の里芸術祭』などにあわせて泊まるのもいいでしょう。
果樹園の古民家でのんびり癒やされる in 福島県
日本を代表するフルーツの名産地・福島に、この地の農業や果樹園について学べるスタイリッシュなリスティングを発見。その名も「Ji-kka」。築100年を超える風情たっぷりの古民家ながら、清潔でモダンで居心地がよく、まるで里帰りしたような気分を味わえるのが醍醐味です。
リノベーションと、隣接する陶芸ギャラリーは、建築建材のリサイクルで知られる「リビルディングセンタージャパン」が手がけています。
広い果樹園にはツリーハウスもあり、子どももたっぷり楽しめるはず。オーナーは桃、梨、リンゴを育てているので、ぜひ果物のおいしい季節を狙って訪れてみてください。近隣には温泉もたくさんあります。
小江戸で人とのつながりを愛でる in 埼玉県
小江戸・川越に佇む築100年超えのこちらは、もともと肥料問屋で、その後しばらく空き家だったという古民家。2年に一度、川越まつりで山車が出る年にだけ会所として使われていたそうですが、改修を経て、宿泊者や地域の人が交流できるゲストハウスとして生まれ変わりました。
観光にも便利な立地で、夜にはバーになるカフェラウンジもあり。さまざまなつながりを生むコミュニティハブで、ちゃぶ台を囲みながら、ゲストや地元の人との会話を楽しんでみませんか。ここから新たなアイデアやモノが生まれるかもしれません。
石蔵でファームステイを体験する in 石川県
米を貯蔵するために使われていた築80年の石蔵を改装してできた、ここ「TAKIGAHARA HOUSE」は、鞍掛山のふもと、人口わずか170人の滝ヶ原町の端に佇むリスティング。1日1組限定のため、じっくり＆のんびり滞在を楽しめます。
“Life with Farm”をモットーにしている（青山ファーマーズマーケットなどにも出店しているそう）だけあって、農業体験やワークショップなども随時開催しているので、宿泊の際はぜひチェックしてみて。
原風景の中で澄んだ空気を吸い、農場で土に触れれば、忘れていた大切な何かを思い出すかもしれません。敷地内のカフェで地産地消のグルメやスイーツをいただくのもお忘れなく。
オフグリッドな暮らしで自然に回帰する in 長野県
群馬との県境に近い長野の森の中、昔ながらの暮らしが根付く集落にあるこのこぢんまりしたキャビンは、なんとオーナーがゼロから建てたもの。
電気は太陽光発電、水は湧き水や沢の水を引き、暖房は薪ストーブで、トイレも循環型……と、ホテルのような快適性はないものの、自然の恵みやありがたさを改めて知ることができる貴重な機会をもたらしてくれるでしょう。
とはいえ冷蔵庫や調理器具・食器、ポケットWi-Fiはありますし、車を少し走らせればコンビニやスーパー、レストラン、温泉にも行けるので、気軽に予約してみてください。近隣の農家が作ったオーガニック食材をお土産にしても◎。
海辺の古民家で太陽の輝きに感謝する in 静岡県
穏やかな内浦湾に面したこちらは、2018年まで古民家カフェだった物件をリノベートしたゲストハウス。築70年と歴史こそ感じさせますが、館内の照明はすべて太陽光発電でまかなっており、またお茶やアメニティもオーガニックのものを揃えるなど、モダンな使いやすさを備えている点にも注目したいところ。
富士山を眺めながら、ぬくもりあふれる昭和レトロなムードを味わってみましょう。
藍と農作物に囲まれて過ごす in 徳島県
1804年、江戸末期に建てられたこのリスティングは、この土地に莫大な富をもたらした藍の生産を担っていた“藍屋敷”。趣き深い数寄屋風書院造りの建物で、藍に関して学ぶことができます。また、隣接する畑で育ったさまざまな野菜や果物を、好きなだけいただくこともできるのが嬉しいポイント。大人も子どもも楽しく収穫できそうです。
さらに町内では、藍染めの工程を見学できる施設や、藍の灰を釉薬として使う陶芸教室、農業体験、徳島名物の「鳴門金時」を使った焼酎の仕込み体験など、ここにしかない伝統的な体験が多彩に用意されているので、必ず事前に予約して、ステイをいっそう充実させましょう。
農業、漁業、異文化交流…あらゆる体験を満喫する in 鳥取県
米子市の東端に立つこの古民家リスティングは、今なおリノベーションが進行中だというユニークなゲストハウス。
海、山、農場や牧場に近く、自家農園もあり、収穫から料理までが体験できるので、ローカルの恵みを存分に味わいたい人にはうってつけです。また、工芸品や民芸品づくり、古墳での歴史＆文化学習も体験することができるほか、施設における自然エネルギーによる自家発電、生ごみの堆肥化、古民家再生なども自身の目で確かめることも可能。
最大で14名で泊まれるので、新鮮な学びに満ちた賑やかなステイを楽しむのもいいでしょう。ワーケーションもOKです。
ツリーハウスで自然に溶け込む in 沖縄県
ジャングルに滞在したいなら、沖縄の世界自然遺産「やんばるの森」の中に2021年にオープンしたこのツリーハウスへ。
約8年かけて完成したというこの施設は、化石燃料は不使用、電力や温水システムは太陽光発電で、水は井戸から引いた天然水、トイレもコンポストトイレを一部採用しており、環境への負荷が非常に少なく、循環を重視していることがうかがえます。
いっぽうで、焚火ディナー、サウナにボディトリートメント、リバートレッキング、8輪車のアドベンチャーツアーなど、現代風のオプションも豊富。隣接するエアロハウスと繋がっており、2棟丸ごと貸し切りが可能なので、2家族や友人どうしで行くのがおすすめです。
広島県出身。大学卒業後、イタリアに留学してファッションを学び、雑誌編集部＆クリエイティブエージェンシーでのインターンを経て帰国。現在はカルチャー＆ライフスタイルをメインに、セレブやグルメ、ファッションなど、さまざまなジャンルの記事を担当。エンタメ全般、食べ歩き（特に甘いもの）、アート、靴収集、本、旅行が好き。
