辛い時期(家族を亡くしたり、残酷なフラれ方をしたり、仕事のトラブルに見舞われたり)を乗り越えた経験のある人には、泣くための肩を貸してくれる友達の重要性が分かるはず。でも、友達の中には、腰の上に乗らせてくれたり、唇を吸わせてくれたり、胸の上で寝させてくれたりする人がいる。そう、これは他でもない“セフレ”の話。

ご存じの通り、セフレはセックスフレンドという言葉の略で、英語で言うところの“フレンズ・ウィズ・ベネフィット(利益を共有する友達)”。でも、私たちは何をもって、その友達を“セフレ”と呼ぶのか。

「セフレとは、通常なら付き合っている人とするような性行為を実際に付き合うことなくする友達と言えるでしょう」と話すのは、ウェルネスセンター『Love Discovery Institute』の共同設立者で、カップルセラピスト兼セックスセラピストのキャロライナ・パタキー博士。通常、セフレは一緒にいると楽しい友達。でも、セフレはショットを飲み干して、グータッチをして、荒っぽいハグをして去ったりしない。2人の時間が終わる前に、セフレは“すべて”を脱ぎ捨てる。

高級プレジャープロダクトブランド『LELO』のエキスパートで、クィアを支持するセックスセラピストのケイシー・タナーによると、コミットメント恐怖症の人、セクスプローラー(性の探検家)、まだ落ち着きたくない独身貴族、単純にいろいろな関係を経験してみたい人にとって、セフレという関係は非常においしい。

でも、パタキー博士いわく、コミットメントや深い心のつながりを求める人にセフレという関係は向いていない。

ここからは、セフレを持つことのメリットとデメリット、そして、あなたと相手の両方を大切にするコツをアメリカ版ウィメンズヘルスから見ていこう。

どこまでが友達で、どこからがセフレ?

何をもってセフレとするかは、あなたがどこで線引きをするか次第。一般的にセフレはセックスの相手なので、そこには性的なメリットしか存在しない。でも、タナーによると、後天的にロマンチックなメリットが生じる可能性もある。「プラトニックな交友関係にあった2人(とは限らず複数人)が話し合いか自然な流れで、その関係にセクシュアルまたはロマンチックな要素を追加すると決めたものがセフレの関係ですからね」。この追加要素を抱擁やキスとするか、オーラスセックスとするか、フルセックスとするかは、完全に2人次第。

映画『フレンズ・ウィズ・ベネフィット(邦題:ステイ・フレンズ)』では、正真正銘の友達同士が寝てみたら意外と良かったことに気付く。現実のセフレ関係も、これとまったく同じ感じで始まることが多い。逆に、それまで面識のなかった人や単なる知り合いレベルの人と定期的に会ってみたものの、体の関係には発展せず、知識や感情、心理的な要素を共有する関係で終わるというケースもある。

ちなみに、セックス“フレンド”だからといって、もともと2人が友達である必要は必ずしもない。「ここでの“フレンド”は、仮にセックスがNGになったとしても、その2人には気持ちの面でのプラトニックなつながりがあるので、友達としての関係は終わらないという意味合いです」とタナー。

セフレと彼氏/彼女の違い

これは、あなたが相手と、どのような取り決めをするかによる。

パタキー博士によると、パートナーシップとセフレの大きな違いの1つはタイムライン。モノガミー(一夫一婦主義)の人の大半は、いつかパートナーと婚約して、ゆくゆくは結婚したいと思っているので長期的な関係を求めるけれど、セフレ関係に長期的な要素はないし、セフレ関係が真剣な交際に発展することも少ない。言い換えれば、付き合ってから結婚という流れの中に、セフレというステップは存在しない。

セフレとの関係が、パートナーとの関係と同じだけ深くなることもまれ。一般的にセフレが求めるのは、感情の共有と性的なつながり。でも、ほとんどの人は、感情の共有と性的なつながりに加えて、パートナーと深く愛し合いたい、心理的/知的/スピリチュアルなつながりも得たいと思っている。

セフレを持つことのメリット

恋愛/セックスセラピストやメンタルヘルスの専門家たちに言わせると、セフレを持つことには幅広いメリットがある。

現実的なところからいくと、食事仲間を探す手間が省ける。たしかに出会い系アプリを使うより、気の合うセフレを誘うほうが早いしラク。「セフレがいれば、時間と労力の節約になります」とタナー。偽りの写真だらけの出会い系アプリでパートナーになり得そうな人を探し出し、いちいち出向いて相性のよさを確かめるのは、多大な時間と労力を要する作業。でも、セフレとならまず間違いない。

タナーによると、セフレの存在が気持ちの面や体の面でプラスに働くこともある。「信頼できる人とのカジュアルなセックスでは、自分のニーズを言葉にしたり、境界線を引いたりするのも難しくないでしょう。その中で、セクシュアル・ヘルスケアに関する取り決め(性感染症の検査を定期的に受けるなど)をしておけば、カジュアルなセックスによる性感染症のリスクも減らせます」

タナーの話では、長期的なパートナーではなく友達と性的な冒険をすることで、あなたの愛着スタイルが“不安型”や“回避・拒絶型”から“安定型”に変わる可能性もある。「セフレとの関係では不安型の愛着スタイルが発動しにくいので、(長期的なパートナーといるときよりも)落ち着いてコミュニケーションが取れるはずです」

もちろん、そこには性的なメリットもある。「セフレがいれば、自分の性を探究する機会も得られます」とターナー。この人となら大丈夫と思えることが前提ではあるけれど、セフレが相手なら、新しいポジションやトイ、シチュエーションや役割にもトライしやすい。

「絶対ゆずれない性的指向があると、同じ指向を同じだけ楽しんでくれるパートナーを見つけるのが大変です」とターナー。でも「セフレが相手なら、普段の相性は抜きにして、性的指向が思う存分楽しめるかもしれません」

セフレを持つことのデメリット

パタキー博士によると、セフレを持っていいのは相手の体にしか興味がないとき。「相手の気持ちを求める人には向きません」

コミットメント、モノガミー、長期的な関係や本格的な交際を求めている人も、セフレを作らないほうがいい。従来のコミットメントやモノガミー、長期的な付き合いは、もともとセフレの定義じゃない。

意中の人とセフレになるのもオススメできない。パタキー博士によると、セフレの関係が真剣な交際に発展するケースは非常に少ない。「いつかロマンティックな関係に発展することを期待して好きな人とセフレになると、大抵厄介なことになります」

セフレという関係を楽しむための5つのコツ

1.正しい相手を選ぶ

セフレを持つことにメリットがあるのは分かったけれど、それが実際に有益な関係となるか、悲惨な関係となるかは、相手の素質と2人のコミュニケーション能力次第。

誰かのセフレになる前に、以下の問いを自分の心に投げかけて。

・そもそも私は、その人(たち)を信頼してる?
・その人(たち)は、ベッドの外で私の境界線を尊重してくれている?
・私たちの関係が変わることを受け入れられる?
・セフレ関係を解消したくなったときは、ちゃんと相手にその意思を伝えられる?
・相手がセフレ関係を解消したら、私は精神的に大きなダメージを受けるだろうか?

2.話し合いを重ねる

セフレを含め、良好な人間関係を築くカギはコミュニケーションにある。「あなたの期待値、望みやニーズを分かりやすく率直に伝えましょう」とタナー。一度ではなく、何度も何度も。

「当初の取り決めの内容は、時間とともに自然と変わるかもしれませんし、意図的に変えなければならなくなるかもしれません」とタナー。数週間に一度は自分の気持ちを確かめて、必要であれば、取り決めの内容の一部を再交渉したほうがいいかもしれない。

3.内密にするかしないかを決めておく

あなたとセフレの間で他の人の話はタブー? それとも、お互い相手が外で何をしていてもOKで、その話をするのもOK? タナーによると、これは早めに決めておいたほうがいいし、必要に応じて見直すべき。

例えば、セフレと一緒にいる時間が増えたら、相手の他の“交友関係”を聞いておくべき。そうしないと、相手が誰かに本気になって、あなたと過ごす時間が減ったときに衝撃を受けてしまう。また、お互いのセフレの数とタイプは、どの避妊器具を、いつ使うか/使わないかにも関わってくる。

4.性感染症と避妊の話をする

相手がセフレでも長期的なパートナーでも、お互い服を脱ぐ前に、性感染症と望まない妊娠を防ぐためのアクションを話し合って。

タナーによると、セフレの関係では基本的に不特定多数との性交渉がよしとされるので、あなたとセフレを含む全員が、どのくらいの頻度で性感染症の検査を受けるのか、どうやって避妊するのかを話し合ったほうがいい。

5.モノガミーとコミットメントの違いを知っておく

セフレ関係の特徴の1つはモノガミーじゃないこと。言い換えれば、セクシュアルな意味でもロマンチックな意味でも、複数の相手を持っていいということ。でも、セフレ関係にあるからといって、お互いにコミットしてはいけないというわけじゃない。

「お互いを独占する関係になくても、忠誠心が芽生えることはあるでしょうし、それを伝えたり、感じたりすることに問題はありません」タナー。「これからもセフレでいたいという気持ちを伝えるのも、NGではありません」。モノガミーとコミットメントの違いを理解しておけば、お互いを尊重し合う関係が築きやすい。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Gabrielle Kassel Translation: Ai Igamoto