毎日、しっかりと眠れている? 「眠れていない」と感じている人は、 実は入浴方法が間違っているのかも。実は、睡眠の質と入浴には深い関係があり、お風呂の入り方を変えるだけで、眠りに変化が出るんだとか。そこで今回は、お風呂のソムリエの松永 武さんに、睡眠と入浴の関係、睡眠の質を下げてしまうお風呂のNG習慣や、正しい入浴方法を伺った。

入浴が「睡眠の質」に関係する?

caucasian woman sleeping in bed
John Fedele//Getty Images

睡眠の質に入浴が関係する理由は、「深部体温」が鍵を握るという。

人間の体温には、基礎体温と深部体温の2種類があります。基礎体温は、いわゆる表面体温といわれるもので、35〜37度で個体差がある体温。みなさんが体温計で計っている体温です。いっぽう深部体温とは、内臓の温度のこと。深部体温は個人差があまりないもので、あったとしても0.5度程度の差しかありません。

深部体温が高い状態を長く維持できると、疲れを癒やすことができ、代謝が上がります。さらに、基礎代謝が上がれば、免疫力が上がり、病気にもかかりにくくなります。ちなみに人間以外の動物は、1度程度深部体温が高いといわれています。そのため、人間以外の動物のほうが免疫力が高く、病気にかかりにくいのです」と松永さん。

深部体温が下がると眠くなる

人間には、深部体温が下がると眠くなる性質があり、その性質をうまく使うことが、睡眠の質向上につながるという。

睡眠の質は、最初の90分間が大切といわれています。この90分間の睡眠が深いと、質が高まる。たとえば、すごく疲れているときに1、2時間くらい寝ると、『短い時間なのにすっきりした』という経験はないでしょうか? 疲れていたり、すごく眠気を感じていたりするときに寝ると、最初の90分間で深い眠りに入ることができ、睡眠の質が高まるんです。

正しい入浴をすると、深部体温が上がり、お風呂から上がると、深部体温はだんだん元の温度に下がっていきます。人間は深部体温が下がると眠気を感じる性質があるので、寝る前の適切な時間に入浴をして深部体温を上げてあげることで、最初の90分間の眠りを深くしてくれるのです。しかし、ただ深部体温を上げるだけでは、十分とはいえません。副交感神経を優位にしながら深部体温を上げることが大切。“上げるプロセス”がポイントなのです

「睡眠の質が下がる」お風呂のNG習慣4

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Guido Mieth//Getty Images

睡眠のために入浴は大切だけれども、ただ入ればいいというわけではない。まずは、意外とやってしまいがちな4つのNGお風呂習慣を、松永さんが教えてくれた。

①熱いお風呂に入る

夜に入浴する際、熱いお湯(基礎体温プラス6度くらいの温度)に入るのはNG。熱いお風呂は交感神経を優位にしてしまうので、寝る前はぬるめのお風呂(基礎体温プラス2度)に入ることをおすすめします」

②お風呂でスマホをいじる

「入浴中はとにかくリラックスすることが大切なので、スマホやタブレット、テレビなどを見ることはおすすめできません。目から入る情報はすごく脳を使うので、頭が活性化して休まりません。電子機器に限らず、頭を使ってしまうような本なども、避けたいですね」

③明るい照明の中で入浴する

「実は、明るい照明の中でお風呂に入るもあまりおすすめできません。お風呂場の電気は消して、できるだけリラックスできる環境を整えましょう」

④食後すぐに入浴する

「食後は食べ物を消化するため、内臓に血流を集めることが必要です。しかし、入浴をすると全身に血流が回ってしまうので、消化が悪くなってしまいます。ご飯を食べたら、1〜1時間半は入浴を避けましょう

睡眠の質がみるみる上がる! 正しい「入浴方法」

feet in bath
YuriF//Getty Images

ぐっすり眠るための入浴方法は、お風呂に入る前からお風呂上がりに着替えるまで、大切なポイントがあるという。

お風呂に入る時間を計算する

「深部体温がベストなタイミングで下がる時間を計算するため、お風呂に入る時間は、寝る時間から逆算しましょう。ベッドに入る90分前には、お風呂から出ている必要があります。夜の12時に寝るのであれば、10時半にはお風呂から出る、ということです」

②お風呂に入る前の準備をする

お風呂の温度は、ぬるめ(基礎体温プラス2度くらいの温度)がベスト。首まで浸かれるくらいの湯量を溜めましょう。なぜ全身浴がいいかというと、浮力があると体の筋肉が緩み、血流がよくなって、リラックスできるためです。また、お風呂場の明かりを消しておくことも大切です。

いきなりお風呂に浸かるはNG。まずはかけ湯(シャワーでもOK)からスタートします。心臓の遠くから体をならしたいため、かけ湯は必ず右の脚先から行ってください。お湯に体が慣れたら、全身(頭皮を含む)を洗って、毛穴の汚れをしっかりと落としましょう。体が洗い終わったら、いざ湯船に入ってください」

③湯船に浸かる時間は15〜20分程度

「湯船に入ったら、ひたすらリラックスことが大切。疲れない程度に、リンパマッサージを行うことも効果的です。リンパを流してあげると血流がよくなり、深部体温が上がりやすくなります。入浴時間は、約15〜20分くらい。のぼせそうになったらお風呂から上がり、少し休みましょう。無理をしないことが大切です。また、水分補給をすることも重要なポイント。カフェインレスで、ミネラルが入っている麦茶はおすすめです」

④浴室内で体を拭く

「お風呂上がりは、浴室の中で体を拭きます。体が濡れたまま脱衣所に出てしまうと、体に付着した水分が蒸発してしまい、体温を奪ったり、乾燥したりしてしまいます。ですので、湿度の高い浴室で体を拭きましょう。そして、お風呂から出たらバスローブを着るのがおすすめ。バスローブは、羽織るだけで湯冷めを防止してくれますし、体に付いた水分を吸ってくれるので、保温・保湿をしてくれます。バスローブは寝るまでの時間着ていてOK。寝る直前にパジャマに着替えましょう。深部体温を下げていく工程まで着ているイメージです」

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入浴剤は「温浴効果」をサポートしてくれる

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Guido Mieth//Getty Images

さらに入浴剤を効果的に取り入れることで、入浴の質がグッと上がると松永さん。

「入浴剤は、ご飯でいうところのふりかけ的な存在。バスタイムをより充実させるために、ぜひ取り入れましょう。炭酸・水素系の入浴剤を使ってあげることで、通常よりぬるめのお風呂でも深部体温を上げることができます。炭酸や水素のガスは毛穴から体に入ろうとするため、それを押し出そうという力が血管を拡張し、血行を良くしてくれるのです」

入浴剤は、基本的に入浴する直前に入れるのがベスト。とくに炭酸・水素系の入浴剤は、長時間経つとお湯から抜けてしまうので注意。逆に、ハーブや漢方系の入浴剤は少し早めにお湯に入れて、しっかりと溶かしてあげるのがおすすめなんだとか。

お風呂のソムリエがおすすめする入浴剤

バスリエ 入浴剤 水素「BATHLIER H2 bath powder」

入浴剤 水素「BATHLIER H2 bath powder」

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「今回は睡眠の質を高めるための入浴方法をご紹介しました。しかし、とにかくリラックスをすることが大切なので、入り方の正解は一つではありません。よりご自身がリラックスできる、最高のお風呂を作り上げてみてください」

意外にも、睡眠の質と深い関係にあったお風呂。寝る前の入浴方法を見直し、ぜひ良質な睡眠を手に入れて!

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Kaoru Sawa
ウィメンズヘルス・エディター

美容・ダイエットを中心とした記事を担当。自他共に認める美容マニアで、ハマり症。その気質から、自分が挑戦する取材企画には必ず結果へのコミットにこだわる。男性ライフスタイル誌、女性向けアプリメディアなどを経て、2021年までウィメンズヘルス編集部に在籍。

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松永 武
お風呂のソムリエ

バスリエ代表取締役、一般社団法人HOT JAPAN代表理事。温泉ソムリエ、温泉入浴指導員、 温泉健康指導士、バスリエとしても活躍中。自身の体験から「良い眠りには良いお風呂が大切」と考え、2005年にバスリエを創業。「バスリエ」はお風呂(bath)とワインなどで知られるソムリエの造語。バスグッズを5万点試してきた。バスリエでは、ECサイト「 お風呂のソムリエSHOP!」の運営に加え、「今の仕事にお風呂をプラス」をコンセプトにした「+バスリエ」事業を立ち上げ、お風呂セミナーや、入浴剤のワークショップ、バスリエ検定、商品企画や卸売りを手掛ける。 バスリエHP :https://www.bathlier.com/ インスタグラム:@bathlier_ofuro