睡眠をとることは、健康的な生活を送る上で必要不可欠。心臓病やアルツハイマーの予防から、減量、免疫力を高める効果まで、あらゆる面で体をサポートしてくれる。横になって眠っているだけで健康を保てるのなら、確かに簡単! でも実際は、ただ寝ていればいいというわけではない。

睡眠に関するあらゆる情報が錯綜しているけれど、本当に質の良い睡眠をとるためにやるべきこととは? 睡眠にまつわる5つのウワサをもとに、専門家とともにその真偽を確かめてみよう。

1)5時間の睡眠だけで平気な人もいる?

A:毎日5~6時間の睡眠で健康に影響がない人は、1%しかいない。

1%の人以外は、「健康を維持するために、7~8時間の睡眠が推奨されます」と話すのは、ベイラー大学で心理学と神経科学の准教授を務めるマイケル・スカリンさん。日常的に睡眠が少ないと、肥満や糖尿病、高血圧、記憶障害などのリスクが高くなってしまうとのこと。

また、睡眠時間が短くても大丈夫だと思っていても、実は心身の健康に与えている悪影響に気づいていない可能性もある、とスカリンさんは続ける。睡眠不足の人が推奨される睡眠時間を確保できるようになると、「幸福感が増すのがよくわかるでしょう」と述べている。

2)睡眠を促進するメラトニンは、摂取しても問題ない?

A:少量であれば一般的には安全だが、過剰摂取はNG。

脳が暗闇に反応して作るメラトニンは、概日リズム(体内時計)を調整し、睡眠を促す作用があるホルモンのこと。体内でも自然に生成されるが、サプリなどを摂取して補うこともできる。

研究によると、メラトニンの過剰摂取は頭痛や高血圧・低血圧、日中の眠気、嘔吐を引き起こす可能性があるという。推奨量(就寝1〜2時間前に0.3〜5ミリグラム)を摂取しただけでも、「ふらつきや、吐き気などの消化器系への負担を引き起こす場合があります」と、ヒューストン・メソジスト・プライマリ・ケア・グループの医師、ラシャド・ランキスーンさん。

medical capsule with clock on wood table
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また、避妊薬や血圧の薬などと相互作用する可能性もあり、妊娠中は服用すべきではない、とバッファロー大学看護学部で睡眠を専門とする医学博士のカルレアラ・ワイスさんも助言。服用する場合や、子どもに飲ませる前には必ず医師に確認を。

3)昼寝で夜の睡眠不足は補える?

A:その瞬間は調子が良くなっても、夜の睡眠と完全に置き換えることはできない。

昼寝では「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」を交互に繰り返す睡眠サイクルを回しきることができないため、長時間睡眠による免疫力を高める効果や、ケガを修復するメリットを得ることができなくなってしまう。

またランキスーンさんによると、不眠症や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の人にとって、昼寝をすることで概日リズムが崩れてしまい、逆効果になる可能性もあるという。それでも日中にどうしても眠くなる場合は、「30分程の短い昼寝をすることで、集中力や注意力が高まるでしょう」とワイスさんは補足。夜に眠れなくなるのを防ぐために、午後3時以降は避けたほうが◎。

4)いびきをかいてもOK?

A:周囲への影響以外にも、注意したいポイントはある。

いびきは、睡眠時無呼吸症候群の最たる症状とも言われている。「いびきをかくのは、呼吸経路に障害物があるからです」と、スカリンさん。酸素が不足すると、睡眠中に目が覚めて(1時間に何度も起こる場合も)、血液が送られにくくなり、高血圧につながる可能性も。睡眠時無呼吸症候群が、心臓病や心臓発作、糖尿病、早期死亡のリスクを高めると言われる理由のひとつが、この影響からくる。

ただ、いびきと無縁の人も安心できない。睡眠時無呼吸症候群の20%はいびきをかかないそうで、日中の眠気や朝の頭痛、高血圧などの症状がある場合は注意が必要、と全米睡眠財団の医学博士、ジョセフ・ドジェウスキさんは述べる。不安を感じるなら、医師に相談を。

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5)睡眠がとれている=ストレスフリー?

A:必ずしもそうとは限らない。

ワイスさんによると、ストレスを感じないと思っていても、横になると(あるいは座っているだけで)すぐ眠ってしまう人は、「未診断の睡眠障害の兆候」が出ている場合もあるという。実際には質の高い睡眠を十分にとれていないこともある、とドジェウスキさんも同意。

特に日中の職場など、公共の場で居眠りしてしまうほど頻繁に眠気を感じる際には、医師に相談することを推奨。こうした症状は、きちんと眠れていないことの手がかりになり得るので、見逃さないで。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

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Kate Rockwood

Kate Rockwood is a freelance writer based in New York. 

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 高校生時代にアメリカンカルチャーの影響を受け、大学在学時にアメリカ・シアトルにてホームステイを経験。海外ドラマに関するWEBメディアでライターを務める。海外エンタメ・セレブ、ロイヤルファミリー、ヘルス・ウェルネス記事をメインに、翻訳を担当。手話技能検定3級、世界遺産検定2級、アロマテラピー検定1級を持つ。