これまで様々なドクターや専門家に取材をしてきて、心と体の健康を維持するために大切なのは、「運動」「睡眠」「食事」「ストレス対策」だということがわかった。運動は、歩くだけでもいいからとにかく動くこと。睡眠は質の良い睡眠時間をとること。食事は栄養バランスのいい食事をとること。でも、ストレス対策ってなんだろう?

ストレスをためないことが大切だと、これまでは発信してきた。そのベースにあるのは、ストレスは体に害を与えるものだという思い込み。 でも実は、必要なのはその思い込み(=マインドセット)を変えることだった。

ストレスはよくないものだ。ただ辛いものだ。そう思うと健康に悪影響が出る。
ストレスは自分の役に立つものだ、力になるものだ。そう思えば人生が好転する。

その理由を様々な研究結果や実話を交えながら解説してくれるのが、スタンフォード大学の名物講義を書籍化した『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』という本。健康心理学者のケリー・マクゴニガル博士の著書で、日本では2015年に出版されたのでご存知の方もいるかもしれない。

大和書房 スタンフォードのストレスを力に変える教科書 (だいわ文庫)

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この本の中で面白いと思ったトピックを少し紹介すると、忙しくてストレスが多い人の方が、ストレスが少ない人よりも幸福度が高いという話。過去に辛い体験(トラウマ)が少ない人よりも、ある程度ある人の方が健康上のリスクが少なく、人生に対する満足度が高かったという研究もある。その理由が気になる人はぜひ本を読んでみて欲しい。

もうひとつ、今すぐ実践してみようと思ったことが、ストレスフルなときこそ、他人のために行動すると逆に力が湧くという話。誰かをいたわろうとすると、体は勇気が出る状態になり、希望が湧くという。「時間がない!」と言っている人も、その中で人のための何かをすると、自分の時間が増えたような気持ちになるそう。

日々仕事に追われて、家族のご飯作りがおざなりになりがちな自分のことを言われているようで、忙しいときこそ、そういう時間をとることで、自分も元気になれるのかもしれないと思った。

日常の中には大小さまざまなストレスがつきもの。それを、「あーストレスでパンクしそう。体を壊しそう」と思っていたら、実際にそういう方向に向かう可能性が高くなる。でも、「私がストレスに感じているのってなんだっけ。私はこの状況の中でどう成長できるかな。この経験を通して私はどうなりたいかな」ということを考えてみると、そのストレスは大きな成長のチャンスにもなる。

大切なのは、「ストレスは悪でしかない」というマインドセットを切り替えること。今、何かしらのストレスを感じている人は、ぜひ試してみて。

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Kiriko Kageyama
エル・グルメ編集長/ウイメンズヘルス編集長

『エル・オンライン(現エル・デジタル)』のファッションエディターを経て、フリーランスに。女性ランナーによる企画集団「ランガール」を設立。その後女性誌立ち上げやWebメディアの立ち上げを経て2017年にウィメンズヘルス』日本版ローンチ時から編集長に。2023年夏よりエル・グルメ編集長も兼務。趣味は料理を作って友人たちに振る舞うこと。