英国の成人の14人に1人は日常的にストレスを感じている。スケジュールに遅れが生じて少しイライラするくらいならまだしも、2018年の調査結果を見ると、英国の成人の74%は精神的に押し潰されそうになったり、これ以上は耐えられないと感じたりするほどのストレスを抱えている。実に悩ましい状況だ。

ストレスにもいろいろあるのは事実で、ストレスがプラスに働き、モチベーションになることもあるけれど、私たちの対処能力を超えるレベルのストレスは悪い結果をもたらしかねない。慢性的に大きなストレスを感じていると、病気のリスクも高くなる。

昔から運動はストレスの発散に役立つことで知られている。体を動かすと幸福ホルモンの代表格エンドルフィンの産生が促進されて、ストレスホルモンのコルチゾールとアドレナリンの量が減る。そこで今回は、ストレスが溜まっているときにオススメのエクササイズを理解するべく、イギリス版ウィメンズヘルスのパネリストでパーソナルトレーナーのインディア・モースに話を聞いた。

ストレスが溜まっているときにオススメのエクササイズは?

エクササイズでストレスが解消される可能性は間違いなくあるけれど、エクササイズの種類によってはストレスが増幅してしまうので注意が必要。例えば、高強度の運動を健康によい他のアクティビティ(低強度の運動など)と並行して行えば、心血管代謝疾患のリスク因子や心の健康状態が改善される。でも、過去の研究結果を見ると、中等度~高強度の運動は血中のコルチゾール値を上昇させがち。よって、ストレスが溜まっているときは高強度の運動を控えたほうがいいかもしれない。

モースによると、ストレスの現れ方は人によって違うので、自分の限界を知っておくことが大切。「ストレスが溜まっている状態で高強度の運動をすると、体に余計負担がかかります。それに加えて活力レベルが下がっていれば、ケガのリスクも高くなります」。コンテンポラリーダンスの1年生を対象とした調査でも、ストレスはケガのリスクを高めるという結果になった。

そのため、特にストレスが多い時期は低強度のエクササイズを選ぶべき。モースによると、ストレスや不安を感じているときは心拍数と呼吸パターンが安定しない。「運動を楽しんで心配事を減らし、ちゃんと息をするためにも、ストレスが溜まっているときは低強度のエクササイズが最善のオプションと言えるでしょう」

これまでに何度も証明されている通り、低強度の運動は血圧や心肺機能を含むヘルスマーカーの改善に役立つ。中でも特にオススメなのは、あなたが心から楽しめるエクササイズ。「好きなことをしてストレスを発散しましょう」とモース。以下のリストに加えて「ヨガやブレスワークもいいですよ」

・ウォーキング

・水泳

・ピラティス

・サイクリング

・ジョギング

・衝撃の少ない筋力トレーニング

・ローイング

ストレスが溜まった状態で運動をするときは、マインドフルネスを意識することも大切。「ストレスホルモンのコルチゾール値は日中に備え朝方に上昇します。その間はコルチゾール値が低下する夜間よりも体が機敏に動くので、その状態を利用しましょう」とモース。また、「運動すると体からコルチゾールが放出されて、運動後はコルチゾール値が低下します」

いつだって、自分のことは自分が一番分かっているもの。ストレスが溜まっているときはなおさら心と体の声に耳を傾け、自分にとって一番気持ちよい方法で体を動かすようにしよう。その結果、開始から10分でエクササイズの種類を変えることになっても構わない。

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Abbi Henderson Translation: Ai Igamoto

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伊賀本 藍
翻訳者

ウィメンズヘルス立ち上げ直後から翻訳者として活動。スキューバダイビングインストラクターの資格を持ち、「旅は人生」をモットーに今日も世界を飛び回る。最近は折りたたみ式ヨガマットが手放せない。現在アラビア語を勉強中。